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楽園へのトンネル 第1話
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数多の世界から一つを選び、大成だった者・・・ガイアはそれを作り上げていく・・・
自らに与えられた力を使い、ルールを構築し、残った寿命を使って神の力を行使していく・・・
既に人とは違う存在となったガイアは、変わらず老婆で占い師の姿で居る維持神ヴィシュヌにそれをお披露目していた。
『凄い凄い面白いじゃないか!』
「ありがとうございます」
神ではないガイアは維持神ヴィシュヌと違い、幾つかの制約を自ら課す事でデスゲームをより面白く楽しませる事を提案していた。
それが以下の3つである。
1つ、メインのターゲットとなる何人かの人物が生存できる可能性を作り、対価として自らの命を賭ける。
1つ、自らもその世界に滞在し、途中で死んだ場合は妹と世界諸共消滅する。
1つ、報酬の寿命は閲覧した神の采配で増減する。
そして、ガイアが初めて作り上げたデスゲームが遂に幕を開ける・・・
初回と言う事もありガイアと共にヴィシュヌも人の身となりその世界へ入り込んでいった・・・
猛烈な吹雪が吹く闇に覆われた空の下、数名の男女がそこを目指していた。
空を闇が覆い日光が届かなくなった大地、草木は枯れ生物は絶滅の危機を迎えていた。
僅かな生き残りの数名が目指す先に安息の地が在ると信じて歩み続ける・・・
「もう俺達だけになっちまったな・・・」
一人の男が誰かに話しかけるわけでもなく口にした。
僅かに残っていた食料も底を尽き、戦闘を歩く一人の男に視線をやった。
その人物こそ神の啓示を受けたマイケルである。
「もう少しの筈なんだ、皆頑張ってくれ!」
先頭を歩く彼の目には何が見えているのか、数メートル先も見通せない吹雪の中真っすぐにマイケルだけは道なき道を進んでいた。
次々と死んでいく仲間がいた集落を出発して早5日・・・
あのまま集落に残ったとしても生き残れる可能性は皆無、ならばとマイケルの提案に乗ったのだ。
だが、道中15名ほど居た仲間は行方不明になったり怪我が原因で動けなくなり置き去りにしたりと既に6名にまで減っていた。
「お願い・・・誰か水を・・・分けて下さい・・・」
茶髪の女性が声を出すが、それに耳を貸す者は居ない。
彼女の名はキャシー、途中で怪我をした友人を見捨てた事で他の5名から信頼されてはいなかった。
それはそうであろう、彼女を助けた所で自分が困った時に助け返して貰える筈が無いのだ。
情けは人の為にあらず、周り巡って己の為に行うべしという言葉の通りである。
「おね・・・がい・・・しま・・・す・・・」
吹雪の中、か細い声が聞こえているのか分からないが、キャシーは既に限界が近かった。
だがついてこれないのであれば置いていくだけ、残された自分の運命がどうなるのか分かりきっているキャシーは少し遅れながらも必死に後を付いて行った・・・
そして・・・
「あった・・・あったぞ!ここだ!」
先頭を歩いていたマイケルが声を上げた。
それを見た他の者はそれを見て絶望の表情を浮かべた。
それはそうであろう、そこに在ったのはただのトンネルだったのだから・・・
「うそ・・・でしょ・・・」
遅れて付いてきたキャシーが漏らしたその言葉に、振り返ったマイケルは笑みを浮かべながら述べた。
「ここを出た時に楽園が汝らにその姿を現すであろう」
それはマイケルが神から授かった啓示の一文。
そして、吹雪から数日振りに解放された一同が中へ入るとそこに在ったのは・・・
「この中で休もうか!」
マイケルが指差す懐かしい物、それは大型バスであった。
自らに与えられた力を使い、ルールを構築し、残った寿命を使って神の力を行使していく・・・
既に人とは違う存在となったガイアは、変わらず老婆で占い師の姿で居る維持神ヴィシュヌにそれをお披露目していた。
『凄い凄い面白いじゃないか!』
「ありがとうございます」
神ではないガイアは維持神ヴィシュヌと違い、幾つかの制約を自ら課す事でデスゲームをより面白く楽しませる事を提案していた。
それが以下の3つである。
1つ、メインのターゲットとなる何人かの人物が生存できる可能性を作り、対価として自らの命を賭ける。
1つ、自らもその世界に滞在し、途中で死んだ場合は妹と世界諸共消滅する。
1つ、報酬の寿命は閲覧した神の采配で増減する。
そして、ガイアが初めて作り上げたデスゲームが遂に幕を開ける・・・
初回と言う事もありガイアと共にヴィシュヌも人の身となりその世界へ入り込んでいった・・・
猛烈な吹雪が吹く闇に覆われた空の下、数名の男女がそこを目指していた。
空を闇が覆い日光が届かなくなった大地、草木は枯れ生物は絶滅の危機を迎えていた。
僅かな生き残りの数名が目指す先に安息の地が在ると信じて歩み続ける・・・
「もう俺達だけになっちまったな・・・」
一人の男が誰かに話しかけるわけでもなく口にした。
僅かに残っていた食料も底を尽き、戦闘を歩く一人の男に視線をやった。
その人物こそ神の啓示を受けたマイケルである。
「もう少しの筈なんだ、皆頑張ってくれ!」
先頭を歩く彼の目には何が見えているのか、数メートル先も見通せない吹雪の中真っすぐにマイケルだけは道なき道を進んでいた。
次々と死んでいく仲間がいた集落を出発して早5日・・・
あのまま集落に残ったとしても生き残れる可能性は皆無、ならばとマイケルの提案に乗ったのだ。
だが、道中15名ほど居た仲間は行方不明になったり怪我が原因で動けなくなり置き去りにしたりと既に6名にまで減っていた。
「お願い・・・誰か水を・・・分けて下さい・・・」
茶髪の女性が声を出すが、それに耳を貸す者は居ない。
彼女の名はキャシー、途中で怪我をした友人を見捨てた事で他の5名から信頼されてはいなかった。
それはそうであろう、彼女を助けた所で自分が困った時に助け返して貰える筈が無いのだ。
情けは人の為にあらず、周り巡って己の為に行うべしという言葉の通りである。
「おね・・・がい・・・しま・・・す・・・」
吹雪の中、か細い声が聞こえているのか分からないが、キャシーは既に限界が近かった。
だがついてこれないのであれば置いていくだけ、残された自分の運命がどうなるのか分かりきっているキャシーは少し遅れながらも必死に後を付いて行った・・・
そして・・・
「あった・・・あったぞ!ここだ!」
先頭を歩いていたマイケルが声を上げた。
それを見た他の者はそれを見て絶望の表情を浮かべた。
それはそうであろう、そこに在ったのはただのトンネルだったのだから・・・
「うそ・・・でしょ・・・」
遅れて付いてきたキャシーが漏らしたその言葉に、振り返ったマイケルは笑みを浮かべながら述べた。
「ここを出た時に楽園が汝らにその姿を現すであろう」
それはマイケルが神から授かった啓示の一文。
そして、吹雪から数日振りに解放された一同が中へ入るとそこに在ったのは・・・
「この中で休もうか!」
マイケルが指差す懐かしい物、それは大型バスであった。
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