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快速殺人電車 第1話
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「悪はこの身に代えても必ず成敗する!それがこの俺!ジャスティスマントだ!」
テレビの中の特撮ヒーロー、赤いマントを装備したそのヒーローを真似てテレビの前でポーズを決める高校生が一人。
小学生の頃から何度も何度もこの番組を繰り返し見ている彼の名は『諸星 大成』。
ごく普通の男子高生なのだが、この番組の影響か曲がった事が大っ嫌いなのだ!
今日の学校で虐められていた名も知らぬ同級生を見掛けて・・・
『止めてよー』
『なんだお前?こんな幼稚な物カバンにぶら下げているのかよ?だっせー』
『返して!』
『やーだね、悔しかったら取り換えしてみな!』
『何やってるんだお前!』
とその場に乱入し大喧嘩を行った程の男子なのだ。
その結果、顔に大きな青あざが沢山できたが・・・
『へーきへーき!傷は男の勲章だ!それに悪はこの身に代えても必ず成敗する!』
と助けた名も知らぬ同級生に自信満々に宣言する程であった。
これはそんな彼が体験したとある出来事・・・
『7番線、快速列車が参ります。危険ですので黄色い線の内側までお下がり下さい』
大成が先日の喧嘩の件で職員室に呼び出され、帰って反省文を書いてくるように言われた日であった。
昼過ぎの帰宅と言う事もあり普段とは違いまばらにしか人が居ない駅、大成は自宅へ帰る電車に乗ろうと改札を通過した。
だがその時、ベンチとベンチの間に立つ一人の老婆が目に入った。
特に変なところは無いのだが、その老婆の周りだけ妙に暗い感じがしたのだ。
そして、その前を通過しようとした大成の耳に老婆の声が届いた。
「そこの坊や、あの電車には乗らない方が良い」
突然言われた言葉に大成は足を止めた。
まだ改札を抜けたばかりだというのに老婆が大成の乗ろうとしている電車を知っている違和感に気付いたからだ。
勿論適当に言ったと言われれば納得しそうなものだが、大成は老婆がもうすぐ到着する電車の事を指して言っているのだと感じ取ってしまったのだ。
「お婆さん、あの電車がどうかしたんですか?」
そう返した大成にニッコリと微笑んだ老婆はスッと手を前に出して続ける。
「お前さんの運命が乱れている、どうかあの電車には乗るのを止めた方が良い」
「・・・」
胡散臭い感じはする、だがお婆さんが自分を心配して言ってくれているとも感じる・・・
少し迷っている大成に老婆は続けた。
「お前さんだけでも助けたいんじゃ」
「俺だけでも?」
「あぁそうじゃ」
そう言われ大成は老婆の前から走り出す!
そして老婆に一言・・・
「俺は自分を犠牲にしてでも他の人を助ける!それが俺の生き方なんでね!」
笑顔でそう伝えた大成はそのまま7番ホームの方へ駆けて行った・・・
その大成の背中を見ながら老婆は・・・
「なら、その生き方を貫くんじゃぞ・・・」
そう告げ、改札の方へ歩いて行った・・・
最後の言葉はきっと大成には届いていなかっただろう・・・
だが、老婆のその横顔は笑みを浮かべており何処か満足気であった・・・
大成は気付かない、これから地獄の様な体験が始まる事など・・・
テレビの中の特撮ヒーロー、赤いマントを装備したそのヒーローを真似てテレビの前でポーズを決める高校生が一人。
小学生の頃から何度も何度もこの番組を繰り返し見ている彼の名は『諸星 大成』。
ごく普通の男子高生なのだが、この番組の影響か曲がった事が大っ嫌いなのだ!
今日の学校で虐められていた名も知らぬ同級生を見掛けて・・・
『止めてよー』
『なんだお前?こんな幼稚な物カバンにぶら下げているのかよ?だっせー』
『返して!』
『やーだね、悔しかったら取り換えしてみな!』
『何やってるんだお前!』
とその場に乱入し大喧嘩を行った程の男子なのだ。
その結果、顔に大きな青あざが沢山できたが・・・
『へーきへーき!傷は男の勲章だ!それに悪はこの身に代えても必ず成敗する!』
と助けた名も知らぬ同級生に自信満々に宣言する程であった。
これはそんな彼が体験したとある出来事・・・
『7番線、快速列車が参ります。危険ですので黄色い線の内側までお下がり下さい』
大成が先日の喧嘩の件で職員室に呼び出され、帰って反省文を書いてくるように言われた日であった。
昼過ぎの帰宅と言う事もあり普段とは違いまばらにしか人が居ない駅、大成は自宅へ帰る電車に乗ろうと改札を通過した。
だがその時、ベンチとベンチの間に立つ一人の老婆が目に入った。
特に変なところは無いのだが、その老婆の周りだけ妙に暗い感じがしたのだ。
そして、その前を通過しようとした大成の耳に老婆の声が届いた。
「そこの坊や、あの電車には乗らない方が良い」
突然言われた言葉に大成は足を止めた。
まだ改札を抜けたばかりだというのに老婆が大成の乗ろうとしている電車を知っている違和感に気付いたからだ。
勿論適当に言ったと言われれば納得しそうなものだが、大成は老婆がもうすぐ到着する電車の事を指して言っているのだと感じ取ってしまったのだ。
「お婆さん、あの電車がどうかしたんですか?」
そう返した大成にニッコリと微笑んだ老婆はスッと手を前に出して続ける。
「お前さんの運命が乱れている、どうかあの電車には乗るのを止めた方が良い」
「・・・」
胡散臭い感じはする、だがお婆さんが自分を心配して言ってくれているとも感じる・・・
少し迷っている大成に老婆は続けた。
「お前さんだけでも助けたいんじゃ」
「俺だけでも?」
「あぁそうじゃ」
そう言われ大成は老婆の前から走り出す!
そして老婆に一言・・・
「俺は自分を犠牲にしてでも他の人を助ける!それが俺の生き方なんでね!」
笑顔でそう伝えた大成はそのまま7番ホームの方へ駆けて行った・・・
その大成の背中を見ながら老婆は・・・
「なら、その生き方を貫くんじゃぞ・・・」
そう告げ、改札の方へ歩いて行った・・・
最後の言葉はきっと大成には届いていなかっただろう・・・
だが、老婆のその横顔は笑みを浮かべており何処か満足気であった・・・
大成は気付かない、これから地獄の様な体験が始まる事など・・・
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