82 / 113
ANOTHER 第74話 押し扉の中の異臭
しおりを挟む
冷たい空気が少しずつ入ってきた方向へと流れる真っ暗な通路を男とルナは進んでいた。
「もう歩いた距離から家の敷地は出てると思うんだけど…方向的にこの先って…教会?」
町の隅っこにポツンと建っている教会を男は思い出していた。
初めて町に入った時に高く建っていたそれには一目目を引かれたので覚えていたのだ。
「この町の教会って何をするところなの?」
「アンディの住んでた所には教会は無かったの?基本的に子供が生まれた時や成人した時、死んだ時に神様から命を頂いた事に対して感謝のお祈りを行う場所よ」
「死んだ時も?」
「人が死ぬと体から魂ってのが神様の元へ帰るんだって。それを迷わず送り届けるのに教会が在るんだって」
ルナは誰かから教わったであろう話を胸を張ってしてくれた。
カンテラの揺らめく明かりに照らされた胸が存在を強調するが、そんな二人の歩く通路の途中にドアがありそれを視界に入れた二人は決めてたかのように黙る。
奥へも通路は続いており風は奥の通路から流れてきていた。
男はルナと顔を見合わせ小さく頷き合ってからドアに手をかけゆっくりと押し開ける。
「っ?!」
ルナは慌てて自身の鼻を摘まんで塞いだ。
漂ってきたその濃厚な臭いに驚いたのだ。
しかし、男はその臭いが直ぐに何か理解した。
それは、人間の血の臭いであった…
「もう歩いた距離から家の敷地は出てると思うんだけど…方向的にこの先って…教会?」
町の隅っこにポツンと建っている教会を男は思い出していた。
初めて町に入った時に高く建っていたそれには一目目を引かれたので覚えていたのだ。
「この町の教会って何をするところなの?」
「アンディの住んでた所には教会は無かったの?基本的に子供が生まれた時や成人した時、死んだ時に神様から命を頂いた事に対して感謝のお祈りを行う場所よ」
「死んだ時も?」
「人が死ぬと体から魂ってのが神様の元へ帰るんだって。それを迷わず送り届けるのに教会が在るんだって」
ルナは誰かから教わったであろう話を胸を張ってしてくれた。
カンテラの揺らめく明かりに照らされた胸が存在を強調するが、そんな二人の歩く通路の途中にドアがありそれを視界に入れた二人は決めてたかのように黙る。
奥へも通路は続いており風は奥の通路から流れてきていた。
男はルナと顔を見合わせ小さく頷き合ってからドアに手をかけゆっくりと押し開ける。
「っ?!」
ルナは慌てて自身の鼻を摘まんで塞いだ。
漂ってきたその濃厚な臭いに驚いたのだ。
しかし、男はその臭いが直ぐに何か理解した。
それは、人間の血の臭いであった…
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
雷命の造娘
凰太郎
ホラー
闇暦二八年──。
〈娘〉は、独りだった……。
〈娘〉は、虚だった……。
そして、闇暦二九年──。
残酷なる〈命〉が、運命を刻み始める!
人間の業に汚れた罪深き己が宿命を!
人類が支配権を失い、魔界より顕現した〈怪物〉達が覇権を狙った戦乱を繰り広げる闇の新世紀〈闇暦〉──。
豪雷が産み落とした命は、はたして何を心に刻み生きるのか?
闇暦戦史、第二弾開幕!
心友
みぅ✩.*˚
ホラー
高校生になって
新しい友達 新しい先生
初めての「恋」……
皆優しくて毎日楽しくて…
でも…
少しずつ何かが変わって行く…
「親友」?「心友」?
「友達」って何?
私…誰を信じたら良いの?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ゾンビ発生が台風並みの扱いで報道される中、ニートの俺は普通にゾンビ倒して普通に生活する
黄札
ホラー
朝、何気なくテレビを付けると流れる天気予報。お馴染みの花粉や紫外線情報も流してくれるのはありがたいことだが……ゾンビ発生注意報?……いやいや、それも普通よ。いつものこと。
だが、お気に入りのアニメを見ようとしたところ、母親から買い物に行ってくれという電話がかかってきた。
どうする俺? 今、ゾンビ発生してるんですけど? 注意報、発令されてるんですけど??
ニートである立場上、断れずしぶしぶ重い腰を上げ外へ出る事に──
家でアニメを見ていても、同人誌を売りに行っても、バイトへ出ても、ゾンビに襲われる主人公。
何で俺ばかりこんな目に……嘆きつつもだんだん耐性ができてくる。
しまいには、サバゲーフィールドにゾンビを放って遊んだり、ゾンビ災害ボランティアにまで参加する始末。
友人はゾンビをペットにし、効率よくゾンビを倒すためエアガンを改造する。
ゾンビのいることが日常となった世界で、当たり前のようにゾンビと戦う日常的ゾンビアクション。ノベルアッププラス、ツギクル、小説家になろうでも公開中。
表紙絵は姫嶋ヤシコさんからいただきました、
©2020黄札
怪異探偵 井ノ原圭
村井 彰
ホラー
この廃ペンションには、霊が出る。
事の始まりは二年前。オーナー夫妻が不審な死を遂げたその日から、このペンションではそんな噂がまことしやかに囁かれるようになった。
そして先日、ついにこの場所で男が死んだ。自らの喉を切り裂いて、"女"の声で叫び声をあげながら―
*
大学生の早坂奏太は、人には言えないアルバイトをしている。
時に廃墟、時に事故物件、様々な場所に赴き、人ならざる怪異を祓う霊媒師……の、助手だ。
怪異を以て怪異を祓う、奇妙な霊媒師・井ノ原圭と、その助手・早坂奏太。
これはそんな二人が出会う、普通から少し外れた世界の話だ。
迷い家と麗しき怪画〜雨宮健の心霊事件簿〜②
蒼琉璃
ホラー
――――今度の依頼人は幽霊?
行方不明になった高校教師の有村克明を追って、健と梨子の前に現れたのは美しい女性が描かれた絵画だった。そして15年前に島で起こった残酷な未解決事件。点と線を結ぶ時、新たな恐怖の幕開けとなる。
健と梨子、そして強力な守護霊の楓ばぁちゃんと共に心霊事件に挑む!
※雨宮健の心霊事件簿第二弾!
※毎回、2000〜3000前後の文字数で更新します。
※残酷なシーンが入る場合があります。
※Illustration Suico様(@SuiCo_0)
【完結済】昼と夜〜闇に生きる住人〜
野花マリオ
ホラー
この世の中の人間は昼と夜に分けられる。
昼は我々のことである。
では、夜とは闇に生きる住人達のことであり、彼らは闇社会に生きるモノではなく、異界に棲むモノとして生きる住人達のことだ。
彼らは善悪関係なく夜の時間帯を基本として活動するので、とある街には24時間眠らない街であり、それを可能としてるのは我々昼の住人と闇に溶けこむ夜の住人と分けられて活動するからだ。そりゃあ彼らにも同じムジナ生きる住人だから、生きるためヒト社会に溶け込むのだから……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる