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僕が幸せになりたかった話。
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「遅いなぁ。」
集合場所、人通りが多くて若干蒸し暑い。
舞はどうやら修学旅行の役員で集まりがあるそうだ。そのため一旦帰り着替えて来たのだが。
「もう18時…大丈夫かなぁ。」
舞からはまだ学校にいるとの事。ここから学校までそう遠くはないが急いでも20分はかかる。仕方がないのでカフェで待とうと思い、移動しようとしたら男の人に話しかけられた。
「お姉さん何してるのー?」
「え、待ってめっちゃ可愛いじゃん、大学生?」
「人待ってるんで、すいません。」
「えー?いいじゃん、見たとこしばらく来てないみたいだし?ドタキャンされた感じでしょ?」
2人組の男に絡まれ、逃げようとするも後ろは壁。塞ぐように男の人が立っており逃げるに逃げられなかった。
「あの、本当に…。」
「うちの娘に何か用かな。」
「え…?」
声がするほうを見ると父がいた。
「お父さん!」
「げ、まじもんのパパっすか?すいません、なんでもないでーす。」
「ほら早く行こうぜ。」
そそくさと立ち去ろうとする男達に父はにこにこと笑顔で
「うちの娘に謝るべきなんじゃあないかな?」
「…。」
静かな怒りというのはこういうことなんだろう。威圧感がすごく、男達はたじたじになっていた。
「す、すいません。ほらお前も。」
「すいませんでした。もう行こうぜ。」
平謝りだけして早々のその場を去った。
遥陽は父の方へ向き、ぎゅうっと抱きしめた。
「怖かったぁ!なんでお父さんここにいるの!?」
「あはは、講演帰りに少しね。駅前には多いんだよなぁ、ナンパする若者が。」
「お父さんも充分若いじゃん。」
「はいはい、お世辞はいいとして、気をつけなさいね。」
「…うん。」
頭をぽんぽんと、遥陽を落ち着かせるように撫でた。それに安心し、遥陽はより一層強く抱き締めた。
「…遥陽、お父さんそろそろ離してくれないと照れ臭いなぁ。」
「やだ、てかナンパ多いってなんで知ってるの。お父さんもしかして今日みたいなこと他にもしてるの!?」
「えっ、いや、困ってる人がいたら助けるでしょ。」
「…やっぱりやだ。離さない、このまま帰る。」
「えぇ!?ここで1人ってことは誰か待ってたんじゃないのかい?」
「もう遅いし、それにお父さん1人だと逆ナンされちゃう。」
「それは無いよ。」
ピロリンと通知が来た。確認すると舞からだった。
『ごめん!遅くなったから今日はなしで!待っててくれたのにごめんね!気をつけて帰ってね!』
「…お父さん、今日の夜外食デートしよ。」
「え、お父さん手持ちあったかなぁ。」
体から腕につかみ変え、そのまま2人はお店へと向かった。
「もう、長谷川さんのせいで遅れちゃったじゃん!」
「ちが、なにもして、ないのに…。」
「ん?長谷川さんは悪い事したよね?」
「なにもしてなッ!」
座り込んでいる長谷川さんの横のロッカーを強く蹴り、甲高い音が教室に響いた。
「9時35分遥陽のことを見ていた。10時18分話し合いの場で遥陽に話しかけた。10時45分遥陽にプリントを渡した。」
他にもこと細かく見た、話した、触ったなどの行為を告げられ、その様子に長谷川さんは狂気を感じていた。
「モブのくせにッ!私の遥陽に!話しかけてんじゃねぇよ!!」
「ヒッ!!」
連続でロッカーを蹴り、恐ろしい顔で長谷川さんを責め立てる。涙が溢れ出してしまった姿を見た舞はハッとし、長谷川さんの手を取った。
「ごめんね長谷川さん!泣かせるなんてそんなつもり無かったの。だからね、約束して?私の遥陽に二度と近づかないで。」
「わ、わか、わかった。」
「うん!良い子だね!じゃあ、またあしたね。」
清々しい笑顔で長谷川さんを置き、学校を出た。スマホの画面には遥陽の位置情報。その後に遥陽の部屋の中が映し出された。
「へへへ、遥陽まだ帰ってないのかなぁ?」
集合場所、人通りが多くて若干蒸し暑い。
舞はどうやら修学旅行の役員で集まりがあるそうだ。そのため一旦帰り着替えて来たのだが。
「もう18時…大丈夫かなぁ。」
舞からはまだ学校にいるとの事。ここから学校までそう遠くはないが急いでも20分はかかる。仕方がないのでカフェで待とうと思い、移動しようとしたら男の人に話しかけられた。
「お姉さん何してるのー?」
「え、待ってめっちゃ可愛いじゃん、大学生?」
「人待ってるんで、すいません。」
「えー?いいじゃん、見たとこしばらく来てないみたいだし?ドタキャンされた感じでしょ?」
2人組の男に絡まれ、逃げようとするも後ろは壁。塞ぐように男の人が立っており逃げるに逃げられなかった。
「あの、本当に…。」
「うちの娘に何か用かな。」
「え…?」
声がするほうを見ると父がいた。
「お父さん!」
「げ、まじもんのパパっすか?すいません、なんでもないでーす。」
「ほら早く行こうぜ。」
そそくさと立ち去ろうとする男達に父はにこにこと笑顔で
「うちの娘に謝るべきなんじゃあないかな?」
「…。」
静かな怒りというのはこういうことなんだろう。威圧感がすごく、男達はたじたじになっていた。
「す、すいません。ほらお前も。」
「すいませんでした。もう行こうぜ。」
平謝りだけして早々のその場を去った。
遥陽は父の方へ向き、ぎゅうっと抱きしめた。
「怖かったぁ!なんでお父さんここにいるの!?」
「あはは、講演帰りに少しね。駅前には多いんだよなぁ、ナンパする若者が。」
「お父さんも充分若いじゃん。」
「はいはい、お世辞はいいとして、気をつけなさいね。」
「…うん。」
頭をぽんぽんと、遥陽を落ち着かせるように撫でた。それに安心し、遥陽はより一層強く抱き締めた。
「…遥陽、お父さんそろそろ離してくれないと照れ臭いなぁ。」
「やだ、てかナンパ多いってなんで知ってるの。お父さんもしかして今日みたいなこと他にもしてるの!?」
「えっ、いや、困ってる人がいたら助けるでしょ。」
「…やっぱりやだ。離さない、このまま帰る。」
「えぇ!?ここで1人ってことは誰か待ってたんじゃないのかい?」
「もう遅いし、それにお父さん1人だと逆ナンされちゃう。」
「それは無いよ。」
ピロリンと通知が来た。確認すると舞からだった。
『ごめん!遅くなったから今日はなしで!待っててくれたのにごめんね!気をつけて帰ってね!』
「…お父さん、今日の夜外食デートしよ。」
「え、お父さん手持ちあったかなぁ。」
体から腕につかみ変え、そのまま2人はお店へと向かった。
「もう、長谷川さんのせいで遅れちゃったじゃん!」
「ちが、なにもして、ないのに…。」
「ん?長谷川さんは悪い事したよね?」
「なにもしてなッ!」
座り込んでいる長谷川さんの横のロッカーを強く蹴り、甲高い音が教室に響いた。
「9時35分遥陽のことを見ていた。10時18分話し合いの場で遥陽に話しかけた。10時45分遥陽にプリントを渡した。」
他にもこと細かく見た、話した、触ったなどの行為を告げられ、その様子に長谷川さんは狂気を感じていた。
「モブのくせにッ!私の遥陽に!話しかけてんじゃねぇよ!!」
「ヒッ!!」
連続でロッカーを蹴り、恐ろしい顔で長谷川さんを責め立てる。涙が溢れ出してしまった姿を見た舞はハッとし、長谷川さんの手を取った。
「ごめんね長谷川さん!泣かせるなんてそんなつもり無かったの。だからね、約束して?私の遥陽に二度と近づかないで。」
「わ、わか、わかった。」
「うん!良い子だね!じゃあ、またあしたね。」
清々しい笑顔で長谷川さんを置き、学校を出た。スマホの画面には遥陽の位置情報。その後に遥陽の部屋の中が映し出された。
「へへへ、遥陽まだ帰ってないのかなぁ?」
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