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第2話 平凡
しおりを挟む「悠真、帰る準備しないのか?」
菊地に声をかけられた僕はゆっくりと机に伏せていた体を起こす。
いつの間にか6限目が終わり、周りの何人かのクラスメイトは鞄に教科書を詰め込み始めていた。
「ああ、今からするよ、起こしてくれてありがとう菊地」
「いいってことよ、それより帰りにカラオケいかね?」
「今から? 別にいいけど」
「じゃあ、今日オールな、金曜日だしいいだろ?」
「オールはさすがに嫌だよ、再来週テストだし」
「まだ、再来週じゃん、来週からすればいいんだよ」
「はあー、分かった行けばいいんでしょ?」
「悠真ならそう言ってくれると思ったわ」
本当は、こんなことに時間使いたくないが、付き合いが悪いと雰囲気が悪くなるからしょうがない。帰ってから復習したかったんだけど……。
僕はため息をつきながら、明日の時間割と持ってくる物をノートに書き込む。
「それでさ、聞いてくれよ今日ピックアップガチャ引いたらついに出たんだよ! もうめっちゃかっこよくてさ」
「そう、よかったね」
「しかも、やっぱりめっちゃ強いんだよ、ただでさえ強いのにこれから育てたらどんだけ強くなるのか考えられないわ」
菊地は興奮しているのか、いつもより大声で喋る。いや、いつもこんな感じか。
書き終わったノートを鞄に入れ、菊地の話を聞く。菊地は本当に勝手に話しててくれるから楽だ。
「それにしても、今日先生遅くね? 早くカラオケ行きたいんだけど」
「それも、そうだね、僕らのクラスの担任が遅れるなんて珍しいけど」
周りのクラスメイトも同じように思っているようで、不満そうな声が上がっている。
僕の高校では、最後に帰りの挨拶をしてから帰るので先生が来ないと帰ることができない。
教室の時計の短針は、もう5の数字を指していた。
「先生忘れてるのかもな、誰か呼んできてくれないかな」
「そうだね、会議とか今日はなかったから忘れてるのが1番可能性高いかな」
「もう帰っちゃだめかな」
「とりあえず、後少し待ってみようか」
クラスで学級委員が先生を呼びにいくと申し出た時、放送から今までに聞いたことのないノイズ音が流れ出した。
ズッズッズズ
「なんだ、この音?」
「故障?」
ザワザワと教室がざわめく。
キーーーンッ
僕は、突然の不快な音に耳を塞ぐ。
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