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第一章:私の婚約者を奪おうとしないでくださいっ!
24.真夜中の決意
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「…………」
ゆっくりと瞼を開くと、周囲は暗闇に包まれていた。
私はベッドの上にいたので、寝ていたのだろうと推測した。
(……今って夜中?)
こんな時間に目覚めてしまったが、体をゆっくりと起こした。
真夜中だというのに頭の中は妙にすっきりしていて、気持ちがいい目覚めだった。
(こんな真夜中にすっきり目覚めるって……。あれ?だけど私、あの時ロジェと一緒に廊下を歩いていたような。そうしたら突然すごい目眩に襲われて……)
倒れる前の断片的な記憶が蘇る。
その後の記憶はいくら考えても思い出せなかったので、自分がそこで意識を失ったのだと察した。
薄れていく意識の中、私の名前を必死に呼んでいる者がいた。
(ロジェ……)
その姿を脳裏に思い浮かべると、次第に表情が険しくなる。
同時にミレーユのことも思い出す。
私はこれから先も、ロジェを見る度にミレーユの姿を思い浮かべてしまうのだろう。
そんな事を思うと苦笑してしまう。
そして新たな問題に頭を悩まされていた。
婚約を解消されると思っていたが、何故かそれとは真逆な展開に進んでいた。
私があの時、具合が悪くなり席を立ってしまったことで、この話は持ち越しになった。
(危なかったな。だけどあの雰囲気だと、次に侯爵様が見えた時には確実に決められてしまいそうね。早急に手を打たないと……)
ロジェは私との婚約にひどく前向きだった。
お父様達の前で白々しくあんな態度をとって、心底軽蔑した。
私なら何も言わないから、平気で浮気が出来るとでも思っているのだろうか。
そう思うと悔しくて仕方が無い。
次第に怒りが込み上げて来て、掌をぎゅっと握りしめた。
(お父様に全て事情を話したら、婚約を考え直して貰えるかな。絶対にロジェなんかと婚約なんてしたくないっ!)
私は決意した。
もう我慢をするのはやめると。
折角ミレーユから解放されたというのに、今度はロジェに振り回されるなんてごめんだ。
明日父に全てを打ち明けて、この婚約は望んでないものだと伝えよう。
侯爵家であるロジェの方が爵位は上なので、こちらから断るのは難しいかもしれない。
だけど、父ならきっと一緒に解決策を考えてくれるはずだ。
(うん、大丈夫。きっと何とかなる)
ミレーユの件も無事に解決出来たのだから、今回のことだってきっと上手くいくはずだ。
特に根拠があるわけでは無いが、強い気持ちさえ持っていればそれが原動力に繋がる。
前向きになれるのだ。
皮肉にも、それはミレーユに苦しめられた時に考え出した方法だった。
だけど、そのおかげで私は少し強くなれた気がする。
ロジェなんかいなくても、私は大丈夫。
やる気が満ち溢れて来ると目は冴えてしまったが、再びベッドに体を倒した。
(明日は頑張ってお父様を説得しなきゃ!)
私は再び目を瞑った。
*******
作者より
いつも私の小説を読んで頂きありがとうございます。
一週間圏外だったのに突然hotに入って、昨日から1位になっていてかなり驚いています。
沢山の方に読んで貰えていることに感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。
Rはもう少し先になります。(今回は遅めで申し訳ないです)
ロジェ視点は他の話を跨いで入れようと思っています。
サブタイトルは後悔①のように番号を入れて進めて行く予定です(その方が分かりやすいかなと)
ゆっくりと瞼を開くと、周囲は暗闇に包まれていた。
私はベッドの上にいたので、寝ていたのだろうと推測した。
(……今って夜中?)
こんな時間に目覚めてしまったが、体をゆっくりと起こした。
真夜中だというのに頭の中は妙にすっきりしていて、気持ちがいい目覚めだった。
(こんな真夜中にすっきり目覚めるって……。あれ?だけど私、あの時ロジェと一緒に廊下を歩いていたような。そうしたら突然すごい目眩に襲われて……)
倒れる前の断片的な記憶が蘇る。
その後の記憶はいくら考えても思い出せなかったので、自分がそこで意識を失ったのだと察した。
薄れていく意識の中、私の名前を必死に呼んでいる者がいた。
(ロジェ……)
その姿を脳裏に思い浮かべると、次第に表情が険しくなる。
同時にミレーユのことも思い出す。
私はこれから先も、ロジェを見る度にミレーユの姿を思い浮かべてしまうのだろう。
そんな事を思うと苦笑してしまう。
そして新たな問題に頭を悩まされていた。
婚約を解消されると思っていたが、何故かそれとは真逆な展開に進んでいた。
私があの時、具合が悪くなり席を立ってしまったことで、この話は持ち越しになった。
(危なかったな。だけどあの雰囲気だと、次に侯爵様が見えた時には確実に決められてしまいそうね。早急に手を打たないと……)
ロジェは私との婚約にひどく前向きだった。
お父様達の前で白々しくあんな態度をとって、心底軽蔑した。
私なら何も言わないから、平気で浮気が出来るとでも思っているのだろうか。
そう思うと悔しくて仕方が無い。
次第に怒りが込み上げて来て、掌をぎゅっと握りしめた。
(お父様に全て事情を話したら、婚約を考え直して貰えるかな。絶対にロジェなんかと婚約なんてしたくないっ!)
私は決意した。
もう我慢をするのはやめると。
折角ミレーユから解放されたというのに、今度はロジェに振り回されるなんてごめんだ。
明日父に全てを打ち明けて、この婚約は望んでないものだと伝えよう。
侯爵家であるロジェの方が爵位は上なので、こちらから断るのは難しいかもしれない。
だけど、父ならきっと一緒に解決策を考えてくれるはずだ。
(うん、大丈夫。きっと何とかなる)
ミレーユの件も無事に解決出来たのだから、今回のことだってきっと上手くいくはずだ。
特に根拠があるわけでは無いが、強い気持ちさえ持っていればそれが原動力に繋がる。
前向きになれるのだ。
皮肉にも、それはミレーユに苦しめられた時に考え出した方法だった。
だけど、そのおかげで私は少し強くなれた気がする。
ロジェなんかいなくても、私は大丈夫。
やる気が満ち溢れて来ると目は冴えてしまったが、再びベッドに体を倒した。
(明日は頑張ってお父様を説得しなきゃ!)
私は再び目を瞑った。
*******
作者より
いつも私の小説を読んで頂きありがとうございます。
一週間圏外だったのに突然hotに入って、昨日から1位になっていてかなり驚いています。
沢山の方に読んで貰えていることに感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。
Rはもう少し先になります。(今回は遅めで申し訳ないです)
ロジェ視点は他の話を跨いで入れようと思っています。
サブタイトルは後悔①のように番号を入れて進めて行く予定です(その方が分かりやすいかなと)
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