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44.愛されていること
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私達はその後ベッドに移動して、何度も愛し合った。
お互いを貪るように、気持ちを確かめる様に、何度も…。
何時間繋がったままでいたのかは分からないが、気付けば外が薄らと明るくなり始めていた。
「レオンさん、朝みたい」
「ああ、そうだな。ニナはこのまま眠っていいぞ…、色々と疲れただろう?半分は俺の所為だけどな…」
今の私はレオンに腕枕をしてもらった状態で横になっている。
「レオンさん、ずっと激しいんだもん…。でも、沢山私の名前呼んでくれて…求めてくれて…すごく嬉しかった」
私は仄かに頬を染めながら嬉しそうな声で呟いた。
(今の私、レオンさんの匂いに包まれている気がする…。なんか幸せだなぁ…)
「ニナ、そうやって無自覚で煽るなよ…」
「ち、違っ…、別にそういうつもりで言ったわけじゃっ…」
私が慌てて反論すると、そのまま唇を塞がれた。
「……っん…」
それは触れるだけのキスだった。
ゆっくりとレオンの唇が離れて行ってしまうと、私は切なそうな表情を浮かべてしまう。
それを見たレオンは苦笑していた。
「ニナ、そんなに物欲しそうな顔をしないでくれ…。またしたくなる…」
「……っ…」
突然レオンにそんな事を言われ、私は困った顔でレオンを見つめていた。
(さすがにこれ以上は…。レオンさん元気だなぁ…)
大好きなレオンとなら何度だって抱かれたいと思うし、求めてくれることはすごく嬉しい事だ。
だけど数時間ひたすらお互いを求め合っていたので、今の私の体力はゼロに近かった。
「冗談だ…。大事なニナにそんな無理はさせないよ。だから安心してこのまま眠ってくれ…」
レオンは小さく笑って、私の額にそっと口付けた。
(冗談か…。それはそれでちょっと寂しい気もするけど…)
「レオンさん、眠る前に少し聞きたい事があるんです。聞いてもいいですか?」
私はじっとレオンの目を見つめながら呟いた。
多分これを聞かない限り、私は気になって眠れないだろう。
折角の機会だし不安材料になるものは全て取り払ってしまいたかった。
「何だ?ニナの質問ならなんだって答えるよ…」
「ありがとう、レオンさん。あのねっ…、レオンさんと、エリーヌさんの事なんだけど。エリーヌさんは…レオンさんの事が好きなの?」
私はドキドキしながら、心配そうな表情で問いかけた。
レオンは一瞬驚いた顔を見せたが、直ぐにいつも通りの表情に戻った。
(き、聞いちゃった…。でもレオンさんに聞くのって変だったかな…)
「言っておくがエリーヌが好きなのは俺じゃないぞ。ニナには明日にでも話そうと思っていたけど、眠いなら起きてからでも構わないよ…」
私はレオンの言葉に首を横に振った。
(レオンさんじゃないんだ…。良かった…!それなら…やっぱりまだディレクさんの事…)
「今聞きたい。気になって、多分眠れないから…」
「そうか…。ならば少し…話そうか。途中で眠くなったら寝てしまっても構わないからな…」
レオンは優しい口調答えると、ゆっくりと話し始めた。
「ニナがカインに攫われた事は、エリーヌから知らされたんだ…」
「え…?どういう…こと?」
「カインは事前にエリーヌに手紙を書いていたらしい。恐らくカインが王宮から出る際に、誰かに頼んでその手紙をエリーヌに渡す様に依頼したんだろうな…」
「それって、誘拐は計画的だったってこと?」
(手紙には…なんて書かれていたんだろう…)
「いや…、突発的に考えたことだと思う。カインがニナを抱き上げて運ぶ所を見ている者も多かったし、森の方向に馬を走らせているのも数人に見られているから計画性は薄いな」
「でもっ、私…変な匂いを嗅がされて。そしたら急に意識が薄れていって…」
(あれは事前に用意されたものじゃないのかな…?)
「多分それは簡単な魔法だな。匂いの方に意識を集中させて、その間にニナの耳元で魔法を吹き込んだのだろう。割と程度の低い魔法だけど、耐性が無い者には効果はそれなりにあるからな」
「そういう事だったんだ…」
私は学園に通う前に家を出てしまったので、魔法に関わった事は殆どなかった。
なので耐性は無いに等しいだろう。
「でも思いつきでそんなことをするなんて、カインさんも相当追い詰められていたのかな?カインさんと少し話していて気付いたけど…、あの人…エリーヌさんの事大好きなのに、レオンさんに譲ろうとしてたし…」
私はあの時の話を思い出すと胸の奥が切なくなった。
誰だって好きな人を諦めるのは辛い事なのに、それを他の誰かに譲ろうとするなんて…。
「そのことなんだけどな、エリーヌはちゃんとカインの事を思ってる。だからニナがそんな顔をする必要なんてないぞ…」
「え…?そうなんですかっ…!?じゃあ…カインさんの勘違い?」
私は驚いて思わず声を荒げてしまった。
(嘘!?そうなの?)
「カインが勘違いするのも分かる。エリーヌがカインの前で気持ちを隠していたのは、カインに惹かれていく自分への戒めの気持ちがあった様だからな。ディレクの事は決して忘れてはいけない、そう思っていたらしい。エリーヌはいつも傍にいたカインに惹かれていた、だけどその反面…ディレクの事を忘れてしまうのが怖かったって言っていたよ」
(ああ、なるほど…。そんな理由だったんだ…)
「エリーヌさんはカインさんに、本当はディレクさんと思い合ってる事は伝えて無かったみたいだけど…どうしてなんだろう…」
「その事は俺も今日初めて聞いて少し戸惑った。エリーヌ曰く、俺は当分王都には戻って来ないと思っていたから、利用したそうだ。俺もあの時は逃げる様に王都から去ってしまったからな。エリーヌの事を今更責めるつもりはない。カインにその事を伝えなかったのは両親から止められたのが理由らしい。一応俺は王族だし、そんな事情を周りの貴族に知られるのが怖かったんだろうな。カインとの縁談が決まったのは、カインの強い要望があったからだと聞いたな」
(あー…、そういう事情なら仕方ないのかな。噂が広まるのって早いし…)
「エリーヌは今回の件で相当落ち込んでいる様子だったな。自分の態度でここまでカインのことを追い込んでしまったのだからな。これからカインとはしっかりと向き合っていくと話していた。この件については後は二人に任せればいいと思う。ああ、それと…ニナに酷い事を言ってしまった事を謝っていた」
「もしかして、エリーヌさんが私に酷い事を言ったのは、レオンさんにディレクさんの事を忘れないで欲しかったから?」
私とレオンを引き離そうとしたのは、レオンが私の傍にいる事でディレクの事を忘れてしまうのが怖かったのだろうか。
自分がそこまで必死になって忘れまいとしている位だから、きっとそんな理由なのだろうと想像がついた。
「らしいな。エリーヌが後日ニナに直接謝りたいって言っていたから、詳しい事はその時に聞けばいいと思う。あと、これだけは俺から言わせてもらうな…」
「……?」
レオンはすっと手を私の顔の方に伸ばし、頬に触れて真直ぐに私の瞳を捉えていた。
「俺は、ニナの事を絶対手放すつもりは無いからな。俺の一番はいつだってニナだ。今までも…これからも、な。俺さ、ニナに関しては結構心配性な所があるみたいで、今朝渡した指輪に離れていても居場所が分かる魔法をかけておいたんだ。まさかこれがこんなにも早く役に立つとは思わなかったけどな。それ程までにニナの事ばかり気になってしまう位だから、ニナの傍から居なくなるなんて事は絶対にないから…」
「……っ…」
レオンは優しい表情ではあるが、僅かにはにかんでいる様にも見えた。
その表情を見た瞬間、私の胸はバクバクと激しく鳴っていた。
(い、今のレオンさん…少し照れていて…めちゃくちゃ可愛いっ!だめっ、にやけてしまうっ…こんなの我慢なんて無理っ…!)
「ニナ、そんなに嬉しそうな顔をするなよ…」
「無理ですっ…だって……(今のレオンさん可愛すぎるからっ…)」
私がにこにこしながら答えると、レオンは少し不満そうな顔をして私の事を自分の胸の中へと押し込んだ。
「笑うなよ。俺はニナに関しては余裕がないんだ…。もうこの話はいいだろ。そろそろ寝よう…」
「ふふっ…、そうですねっ…」
レオンの体温が少しだけ上がっている様な気がして、私は嬉しい気持ちが声に現れてしまっている様だ。
私はレオンに抱きしめられながらゆっくりと眠りに入った。
お互いを貪るように、気持ちを確かめる様に、何度も…。
何時間繋がったままでいたのかは分からないが、気付けば外が薄らと明るくなり始めていた。
「レオンさん、朝みたい」
「ああ、そうだな。ニナはこのまま眠っていいぞ…、色々と疲れただろう?半分は俺の所為だけどな…」
今の私はレオンに腕枕をしてもらった状態で横になっている。
「レオンさん、ずっと激しいんだもん…。でも、沢山私の名前呼んでくれて…求めてくれて…すごく嬉しかった」
私は仄かに頬を染めながら嬉しそうな声で呟いた。
(今の私、レオンさんの匂いに包まれている気がする…。なんか幸せだなぁ…)
「ニナ、そうやって無自覚で煽るなよ…」
「ち、違っ…、別にそういうつもりで言ったわけじゃっ…」
私が慌てて反論すると、そのまま唇を塞がれた。
「……っん…」
それは触れるだけのキスだった。
ゆっくりとレオンの唇が離れて行ってしまうと、私は切なそうな表情を浮かべてしまう。
それを見たレオンは苦笑していた。
「ニナ、そんなに物欲しそうな顔をしないでくれ…。またしたくなる…」
「……っ…」
突然レオンにそんな事を言われ、私は困った顔でレオンを見つめていた。
(さすがにこれ以上は…。レオンさん元気だなぁ…)
大好きなレオンとなら何度だって抱かれたいと思うし、求めてくれることはすごく嬉しい事だ。
だけど数時間ひたすらお互いを求め合っていたので、今の私の体力はゼロに近かった。
「冗談だ…。大事なニナにそんな無理はさせないよ。だから安心してこのまま眠ってくれ…」
レオンは小さく笑って、私の額にそっと口付けた。
(冗談か…。それはそれでちょっと寂しい気もするけど…)
「レオンさん、眠る前に少し聞きたい事があるんです。聞いてもいいですか?」
私はじっとレオンの目を見つめながら呟いた。
多分これを聞かない限り、私は気になって眠れないだろう。
折角の機会だし不安材料になるものは全て取り払ってしまいたかった。
「何だ?ニナの質問ならなんだって答えるよ…」
「ありがとう、レオンさん。あのねっ…、レオンさんと、エリーヌさんの事なんだけど。エリーヌさんは…レオンさんの事が好きなの?」
私はドキドキしながら、心配そうな表情で問いかけた。
レオンは一瞬驚いた顔を見せたが、直ぐにいつも通りの表情に戻った。
(き、聞いちゃった…。でもレオンさんに聞くのって変だったかな…)
「言っておくがエリーヌが好きなのは俺じゃないぞ。ニナには明日にでも話そうと思っていたけど、眠いなら起きてからでも構わないよ…」
私はレオンの言葉に首を横に振った。
(レオンさんじゃないんだ…。良かった…!それなら…やっぱりまだディレクさんの事…)
「今聞きたい。気になって、多分眠れないから…」
「そうか…。ならば少し…話そうか。途中で眠くなったら寝てしまっても構わないからな…」
レオンは優しい口調答えると、ゆっくりと話し始めた。
「ニナがカインに攫われた事は、エリーヌから知らされたんだ…」
「え…?どういう…こと?」
「カインは事前にエリーヌに手紙を書いていたらしい。恐らくカインが王宮から出る際に、誰かに頼んでその手紙をエリーヌに渡す様に依頼したんだろうな…」
「それって、誘拐は計画的だったってこと?」
(手紙には…なんて書かれていたんだろう…)
「いや…、突発的に考えたことだと思う。カインがニナを抱き上げて運ぶ所を見ている者も多かったし、森の方向に馬を走らせているのも数人に見られているから計画性は薄いな」
「でもっ、私…変な匂いを嗅がされて。そしたら急に意識が薄れていって…」
(あれは事前に用意されたものじゃないのかな…?)
「多分それは簡単な魔法だな。匂いの方に意識を集中させて、その間にニナの耳元で魔法を吹き込んだのだろう。割と程度の低い魔法だけど、耐性が無い者には効果はそれなりにあるからな」
「そういう事だったんだ…」
私は学園に通う前に家を出てしまったので、魔法に関わった事は殆どなかった。
なので耐性は無いに等しいだろう。
「でも思いつきでそんなことをするなんて、カインさんも相当追い詰められていたのかな?カインさんと少し話していて気付いたけど…、あの人…エリーヌさんの事大好きなのに、レオンさんに譲ろうとしてたし…」
私はあの時の話を思い出すと胸の奥が切なくなった。
誰だって好きな人を諦めるのは辛い事なのに、それを他の誰かに譲ろうとするなんて…。
「そのことなんだけどな、エリーヌはちゃんとカインの事を思ってる。だからニナがそんな顔をする必要なんてないぞ…」
「え…?そうなんですかっ…!?じゃあ…カインさんの勘違い?」
私は驚いて思わず声を荒げてしまった。
(嘘!?そうなの?)
「カインが勘違いするのも分かる。エリーヌがカインの前で気持ちを隠していたのは、カインに惹かれていく自分への戒めの気持ちがあった様だからな。ディレクの事は決して忘れてはいけない、そう思っていたらしい。エリーヌはいつも傍にいたカインに惹かれていた、だけどその反面…ディレクの事を忘れてしまうのが怖かったって言っていたよ」
(ああ、なるほど…。そんな理由だったんだ…)
「エリーヌさんはカインさんに、本当はディレクさんと思い合ってる事は伝えて無かったみたいだけど…どうしてなんだろう…」
「その事は俺も今日初めて聞いて少し戸惑った。エリーヌ曰く、俺は当分王都には戻って来ないと思っていたから、利用したそうだ。俺もあの時は逃げる様に王都から去ってしまったからな。エリーヌの事を今更責めるつもりはない。カインにその事を伝えなかったのは両親から止められたのが理由らしい。一応俺は王族だし、そんな事情を周りの貴族に知られるのが怖かったんだろうな。カインとの縁談が決まったのは、カインの強い要望があったからだと聞いたな」
(あー…、そういう事情なら仕方ないのかな。噂が広まるのって早いし…)
「エリーヌは今回の件で相当落ち込んでいる様子だったな。自分の態度でここまでカインのことを追い込んでしまったのだからな。これからカインとはしっかりと向き合っていくと話していた。この件については後は二人に任せればいいと思う。ああ、それと…ニナに酷い事を言ってしまった事を謝っていた」
「もしかして、エリーヌさんが私に酷い事を言ったのは、レオンさんにディレクさんの事を忘れないで欲しかったから?」
私とレオンを引き離そうとしたのは、レオンが私の傍にいる事でディレクの事を忘れてしまうのが怖かったのだろうか。
自分がそこまで必死になって忘れまいとしている位だから、きっとそんな理由なのだろうと想像がついた。
「らしいな。エリーヌが後日ニナに直接謝りたいって言っていたから、詳しい事はその時に聞けばいいと思う。あと、これだけは俺から言わせてもらうな…」
「……?」
レオンはすっと手を私の顔の方に伸ばし、頬に触れて真直ぐに私の瞳を捉えていた。
「俺は、ニナの事を絶対手放すつもりは無いからな。俺の一番はいつだってニナだ。今までも…これからも、な。俺さ、ニナに関しては結構心配性な所があるみたいで、今朝渡した指輪に離れていても居場所が分かる魔法をかけておいたんだ。まさかこれがこんなにも早く役に立つとは思わなかったけどな。それ程までにニナの事ばかり気になってしまう位だから、ニナの傍から居なくなるなんて事は絶対にないから…」
「……っ…」
レオンは優しい表情ではあるが、僅かにはにかんでいる様にも見えた。
その表情を見た瞬間、私の胸はバクバクと激しく鳴っていた。
(い、今のレオンさん…少し照れていて…めちゃくちゃ可愛いっ!だめっ、にやけてしまうっ…こんなの我慢なんて無理っ…!)
「ニナ、そんなに嬉しそうな顔をするなよ…」
「無理ですっ…だって……(今のレオンさん可愛すぎるからっ…)」
私がにこにこしながら答えると、レオンは少し不満そうな顔をして私の事を自分の胸の中へと押し込んだ。
「笑うなよ。俺はニナに関しては余裕がないんだ…。もうこの話はいいだろ。そろそろ寝よう…」
「ふふっ…、そうですねっ…」
レオンの体温が少しだけ上がっている様な気がして、私は嬉しい気持ちが声に現れてしまっている様だ。
私はレオンに抱きしめられながらゆっくりと眠りに入った。
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