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12.甘い時間

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 屋敷の中に入ってからはずっと緊張していた。
 室内を見渡せば高そうなアンティークの家具が並んでいて、天井には大きなシャンデリアが吊るされている。
 そして私は今居間にいるのだが、とにかく広い…!
 広すぎて落ちつかない…。

 私が終始そわそわとしていると、それに気付いたレオンは私を私室まで連れて行ってくれることになった。


***


 レオンの私室は予想通り広かった。
 そして窓も大きい為、陽の光が良く入って来て明るいし、ぽかぽかとしていてとても暖かい。
 中央に置かれている、ふわふわのソファーはとても座り心地が良くて私は気に入ってしまった。
 そのソファーに腰掛けながら、先程使用人が用意してくれたお茶を啜り、出されたお菓子を食べていた。
 その他にもフルーツやサンドイッチなどの軽食が色々と用意されている。

(ここがレオンさんの部屋なんだ…。レオンさんの生活している所を見られるなんて、なんだか嬉しいな…)

「少しは緊張は解けたか…?」
「はいっ、おかげさまで…。この部屋最高ですね…!このソファーでお昼寝したら気持ち良さそう…」

 私は漸く気持ちが落ち着き、寛ぐことが出来ていた。

「確かに、昼寝は出来そうだな…。ニナは食べたら眠くなったのか?」
「いえ、そんなことはないですっ!眠ってしまったら時間が勿体ないので…」

「勿体ない?」
「折角レオンさんと一緒に過ごせる時間なのにって意味です。この時間帯に一緒にいる事ってそうそう無いから…」

 私が嬉しそうに話すと、レオンの掌が私の方に伸びて来て、頬に添えられた。
 レオンは真直ぐな瞳で私の事をを見つめて来たので、ドキドキして鼓動が速くなる。

「恥ずかしがる癖に…そう言う事、さらっと言うよな」

 レオンの熱っぽい視線を感じて私は恥ずかしくなり、顔を背けようとすると「逃げるな」と止められてしまう。
 そして私が再びレオンに視線を戻そうとした瞬間、唇に温かいものが触れた。

「……んっ…」

 レオンは私の唇を何度も啄む様に口付けて行く。
 唇を軽く吸われる度に、ぞくぞくとした甘い刺激が体中に伝わっていく様だった。
 私は抵抗することもせず、レオンからの口付けを受け入れていた。

 それからゆっくりと唇を剥がされると、離れて行くのが寂しく思えて切なそうな顔をしてしまう。

「ニナ、口を開けて…?」
「……うん…」

 そんな私の表情に気付いたレオンは小さく笑って呟いた。
 私はレオンに言われた通り、薄く唇を開いた。
 何をされるか分かると、更に鼓動は激しく鳴り始める。

「……んんっ…はぁっ…」

 私が唇を開くと同時に再びレオンの唇が重なり、咥内の中に熱いものが入り込んで来る。
 私の舌を捕えると絡める様に動き回り、擦られる度に舌のざらざらとした感触を感じて鳥肌が立ちそうになる。

(レオンさんの舌…熱い…)

「ニナも舌…絡めて」
「んんっ…っ…」

 レオンの声が聞こえて来て、私はレオンの首に手を回して気付けば夢中で舌を絡めていた。
 レオンをもっと感じたい、もっと触れていたいと言う思いがどんどん溢れて来る。

(レオンさんとのキス…気持ちいいっ…もっとしたい…)

 何度も深い口付けを繰り返していると、口の中が蕩けてしまいそうな程熱くなり、頭の奥もなんだかぼーっとして来る。
 もう何も考えられなくなってしまいそうになるが、レオンの体温だけはずっと感じることが出来て、私の心は幸福感で満たされている様だった。

 それから暫くすると、ゆっくりと唇は剥がされていく。
 その頃には私の顔はのぼせた後の様に真っ赤に染まり、瞳はとろんとして虚ろな顔になっていた。
 口端からはお互いの混ざり合った唾液が垂れていて、レオンはそれに気付くと舌先を使って綺麗に舐めとってくれた。

「その顔、たまらないくらい可愛いな…。このままニナを抱きたいと言ったら受け入れてくれるか?」
「……っ…!?…き、聞かないでっ…」

 レオンにそんなことを言われると、私は恥ずかしそうに小さく答え目を逸らした。
 私の言葉を聞いて、レオンはどこか嬉しそうな表情を見せると、私の額にそっと口付けた。

 突然のことだったけど、私はレオンとだったらいいと思ってしまった。
 雰囲気に完全に流されていることは分かっている。
 だけど、私もどこかでそうなりたいと期待していたのかもしれない。

「ニナ、そのまま俺の首に手を巻き付けといて。このまま持ち上げるから、落とされない様にちゃんとくっついているんだぞ…」
「……は、はいっ…」

 私はレオンの首にぎゅっと捕まる様に手を回すと、ふわっと浮き上がった。
 レオンは私を横向きで抱きかかえると、奥にある大きなベッドの方に近づいて行く。

 私の心臓はバクバクと鳴り響いていた。
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