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第一部
13.待ち伏せ
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急ではあるけど、ライズの計らいで暫くの間王城にある離宮の方で生活をすることになった。
どれくらいの期間かは考えてはいなかったけど、とりあえず身の回りの物をトランクの中に詰め込んだ。
足りないものは後でメイドに持って来てもらえば良い。
「一応執事長には話を通してあるから、何かあったら何でも言ってね。さすがにここなら彼も簡単には入って来れないはずだからね」
「本当に…ありがとうございます」
私は深々と頭を下げて感謝した。
「それじゃあ、僕はこれで失礼させてもらうね。また明日学校でね、アリア嬢」
そう言ってライズは離宮を後にした。
その後メイドに案内されてこれから使わせてもらう部屋に移動した。
部屋は私の部屋よりも広く、さすが王宮と思わせる部屋だった。
まさかここまで大事になってしまうなんて私は思っても見なかった。
だけど暫くこれでローレンから離れることが出来ると思うと心は落ち着いた。
ローレンは異常だ。
婚約者でもない私に強引にキスをしてきた。
それはあの言葉が嘘では無いと私に知らしめる為なのだろう。
行動に出た事を考えると、距離を置くのが一番得策だと思った。
学園にいる間は会う機会はどうしても増えてしまうけど、周りに人がいればローレンでもさすがに手出しは出来ないはず。
二人きりにさえならなければきっと、大丈夫。
そう思っていたはずなのに…。
翌日、私が教室の前まで行くと入口の所にローレンの姿があった。
私の足はそこで止まり、どうしようと戸惑っている間にローレンに気づかれてしまう。
ローレンは私を見つけると即座にこっちに向かってきた。
「アリア、ちょっといい?」
「……ごめん、今ローレンとは話したくない」
ローレンの表情は少し苛立ってる様に見えた。
私は俯きながら、小さく答えて無視して足を進めようとするとローレンに腕を掴まれた。
「昨日キスした事…怒ってるのか?」
「……っ!?ちょっと…こんな所でそんなこと言わないでっ…」
突然ローレンは周りに気にすることなくそんな話をし始めた。
周囲には登校して来てる生徒もちらほらいて、そんな話を誰かに聞かれたらまずいと私は焦っていた。
「その事で俺の事避けているのか?」
「ローレン…お願い。その話はしないで…」
私が困った顔で言っても、ローレンは私の言葉を無視して話を進めようとしてくる。
仕方ないと思いローレンの腕を掴んで、人気がない場所まで連れて行った。
二人きりになんてなりたくなかったけど、こうする他無かった。
「どういうつもりなの…!」
「それはこっちの台詞だ。昨日俺と一緒に帰る約束も破っておいて、今日も避けるつもりなのか?」
私が少し怒り口調で言うと、ローレンは逆に私を責めはじめた。
「だって…あんな事されたら誰だって怒るよ」
「…どうしてだ?俺達はお互い好き同士なんだからキスくらい大した事じゃないだろ?」
私はその言葉に大きくため息を漏らした。
「ローレンはシレーネの婚約者でしょ?この意味わかるよね…?」
「シレーネの事なら心配いらない。アリアとの事なら許してくれるよ」
ローレンは当然の様に答えた。
「は…?…許す訳ないよ、普通。ローレンの考え方おかしいよ。それに私だってローレンの事もう好きじゃないし…。もうあんな事されると困るの…だからやめて、お願い…」
「アリアは優しいな。だけどシレーネも理解しているから、何も問題はいらないよ。そうか…アリアは恥ずかしがっているんだね。学校で…あんなことされて。照れるアリアも可愛いよ」
完全に私の言葉はローレンには伝わっていなかった。
ローレンは勝手に解釈した挙句、私が照れ隠しで怒ってる様にされてしまった。
私は唖然としながらただローレンを見つめていた。
「…もういい。私、教室に戻る」
諦めて私がそう呟くと、不意にローレンの手が私の顔の方に伸びて来て顎を持ち上げられ自然と顔を上に向けてしまう。
考える間も無く自然にそうなり、気づいた時には唇を奪われていた。
「っ……!」
私はその感触に思わず顔を赤く染めてしまう。
それと同時にローレンの胸板を押して離れるとローレンを睨みつけた。
「不意打ちも良いだろ?」
ローレンはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
そんなローレンを睨みつけて私は「最低」と罵った。
もう付き合いきれないと思い、ローレンを無視して教室に戻ることにした。
何歩か歩き出した所で背後に気配を感じると、肩に手を置かれ止められる。
「もういい加減に…」
私が苛立ちながら答えようとすると耳元に吐息がかかる。
ぞくっと体が震える。
「俺から離れようとする事は許さないよ。だって…アリアは俺のモノなんだから…」
ローレンは私の耳元で低く囁いた。
私は恐怖と鳥肌が立つのを感じて、振り返らず走ってそのまま逃げた。
暫くして恐る恐る振り返ったらローレンの姿は無くなっていた。
私はそのまま足早に教室に戻った。
ローレンが怖い。
完全にストーカー化してる気がするは気のせい…じゃないよね?
どうしてこんなことになってるのか考えても分からない。
ローレンはシレーネの事が好きだったんじゃなかったの…?
そんな事を考えながら教室に入るとライズと目が合った。
ライズは私に気付くと少し心配そうな表情をしながら私に声をかけてくれた。
「おはよう、アリア嬢。昨日はゆっくり休めたかな?」
「ライズ殿下、おはようございます。はい、昨日は色々良くしてもらってありがとうございました。おかげで気持ちが楽になって落ち着けました」
私が答えるとライズはほっとしたような表情を浮かべ「良かった」と答えた。
折角ライズに気を使わせてしまったのに、このままだと何も意味がなくなってしまう。
何か…良い方法はないのかな…。
どれくらいの期間かは考えてはいなかったけど、とりあえず身の回りの物をトランクの中に詰め込んだ。
足りないものは後でメイドに持って来てもらえば良い。
「一応執事長には話を通してあるから、何かあったら何でも言ってね。さすがにここなら彼も簡単には入って来れないはずだからね」
「本当に…ありがとうございます」
私は深々と頭を下げて感謝した。
「それじゃあ、僕はこれで失礼させてもらうね。また明日学校でね、アリア嬢」
そう言ってライズは離宮を後にした。
その後メイドに案内されてこれから使わせてもらう部屋に移動した。
部屋は私の部屋よりも広く、さすが王宮と思わせる部屋だった。
まさかここまで大事になってしまうなんて私は思っても見なかった。
だけど暫くこれでローレンから離れることが出来ると思うと心は落ち着いた。
ローレンは異常だ。
婚約者でもない私に強引にキスをしてきた。
それはあの言葉が嘘では無いと私に知らしめる為なのだろう。
行動に出た事を考えると、距離を置くのが一番得策だと思った。
学園にいる間は会う機会はどうしても増えてしまうけど、周りに人がいればローレンでもさすがに手出しは出来ないはず。
二人きりにさえならなければきっと、大丈夫。
そう思っていたはずなのに…。
翌日、私が教室の前まで行くと入口の所にローレンの姿があった。
私の足はそこで止まり、どうしようと戸惑っている間にローレンに気づかれてしまう。
ローレンは私を見つけると即座にこっちに向かってきた。
「アリア、ちょっといい?」
「……ごめん、今ローレンとは話したくない」
ローレンの表情は少し苛立ってる様に見えた。
私は俯きながら、小さく答えて無視して足を進めようとするとローレンに腕を掴まれた。
「昨日キスした事…怒ってるのか?」
「……っ!?ちょっと…こんな所でそんなこと言わないでっ…」
突然ローレンは周りに気にすることなくそんな話をし始めた。
周囲には登校して来てる生徒もちらほらいて、そんな話を誰かに聞かれたらまずいと私は焦っていた。
「その事で俺の事避けているのか?」
「ローレン…お願い。その話はしないで…」
私が困った顔で言っても、ローレンは私の言葉を無視して話を進めようとしてくる。
仕方ないと思いローレンの腕を掴んで、人気がない場所まで連れて行った。
二人きりになんてなりたくなかったけど、こうする他無かった。
「どういうつもりなの…!」
「それはこっちの台詞だ。昨日俺と一緒に帰る約束も破っておいて、今日も避けるつもりなのか?」
私が少し怒り口調で言うと、ローレンは逆に私を責めはじめた。
「だって…あんな事されたら誰だって怒るよ」
「…どうしてだ?俺達はお互い好き同士なんだからキスくらい大した事じゃないだろ?」
私はその言葉に大きくため息を漏らした。
「ローレンはシレーネの婚約者でしょ?この意味わかるよね…?」
「シレーネの事なら心配いらない。アリアとの事なら許してくれるよ」
ローレンは当然の様に答えた。
「は…?…許す訳ないよ、普通。ローレンの考え方おかしいよ。それに私だってローレンの事もう好きじゃないし…。もうあんな事されると困るの…だからやめて、お願い…」
「アリアは優しいな。だけどシレーネも理解しているから、何も問題はいらないよ。そうか…アリアは恥ずかしがっているんだね。学校で…あんなことされて。照れるアリアも可愛いよ」
完全に私の言葉はローレンには伝わっていなかった。
ローレンは勝手に解釈した挙句、私が照れ隠しで怒ってる様にされてしまった。
私は唖然としながらただローレンを見つめていた。
「…もういい。私、教室に戻る」
諦めて私がそう呟くと、不意にローレンの手が私の顔の方に伸びて来て顎を持ち上げられ自然と顔を上に向けてしまう。
考える間も無く自然にそうなり、気づいた時には唇を奪われていた。
「っ……!」
私はその感触に思わず顔を赤く染めてしまう。
それと同時にローレンの胸板を押して離れるとローレンを睨みつけた。
「不意打ちも良いだろ?」
ローレンはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
そんなローレンを睨みつけて私は「最低」と罵った。
もう付き合いきれないと思い、ローレンを無視して教室に戻ることにした。
何歩か歩き出した所で背後に気配を感じると、肩に手を置かれ止められる。
「もういい加減に…」
私が苛立ちながら答えようとすると耳元に吐息がかかる。
ぞくっと体が震える。
「俺から離れようとする事は許さないよ。だって…アリアは俺のモノなんだから…」
ローレンは私の耳元で低く囁いた。
私は恐怖と鳥肌が立つのを感じて、振り返らず走ってそのまま逃げた。
暫くして恐る恐る振り返ったらローレンの姿は無くなっていた。
私はそのまま足早に教室に戻った。
ローレンが怖い。
完全にストーカー化してる気がするは気のせい…じゃないよね?
どうしてこんなことになってるのか考えても分からない。
ローレンはシレーネの事が好きだったんじゃなかったの…?
そんな事を考えながら教室に入るとライズと目が合った。
ライズは私に気付くと少し心配そうな表情をしながら私に声をかけてくれた。
「おはよう、アリア嬢。昨日はゆっくり休めたかな?」
「ライズ殿下、おはようございます。はい、昨日は色々良くしてもらってありがとうございました。おかげで気持ちが楽になって落ち着けました」
私が答えるとライズはほっとしたような表情を浮かべ「良かった」と答えた。
折角ライズに気を使わせてしまったのに、このままだと何も意味がなくなってしまう。
何か…良い方法はないのかな…。
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