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第三章:学園生活スタート
49.言葉と思い②
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「やっと言ってくれたな。ありがとう、すごく嬉しいよ」
「言うのが遅くなっちゃって、ご、ごめんなさい……」
今まで散々恥ずかしいことをされてきたが、この瞬間はそれ以上に感じていた。
鼓動は先程から全く収まる気配もないし、頬に触れられただけなのに心臓が飛び跳ねてしまう。
私はこのままドキドキし過ぎて死んでしまうのではないだろうか。
「本当に遅すぎだな」
「うっ……」
「だけど、待っていた分喜びも倍増だからな」
「本当に嬉しいの? いつもとあんまり態度が変わってない気がするけど」
「私は喜んでいたとしても、ルティのように顔を真っ赤にはさせないからな。だけど今まで生きてきた中で、今日が一番幸せだと感じたな」
「大げさね」
「散々ルティには焦らされたからな」
「……っ」
ラインハルトは口端を僅かに上げて愉しげに笑うと、私の唇をなぞるように指で滑らせていく。
その僅かに刺激に小さく唇を震わせる。
「ルティが漸く私のことを受け入れてくれたから、もう待つのは終わりだな」
「え?」
ラインハルトはクスッと意地悪そうに笑う。
その瞬間、私の頭の中に昼間のあの言葉が思い浮かんだ。
(な、何をするつもり!? まさか、今からするつもりなの!? どうしよう、いきなりすぎて心の準備が!)
「いきなり動揺してどうしたんだ?」
「だって、ライがいきなり変なことを言い出すから」
「別に変なことなんて言ってない。ルティの気持ちが固まるまで待つつもりでいたからな。だけどもういいよな」
(うそ、やっぱり今なの!? 心の準備は出来てないけど……、でもライとなら構わない)
「わ、私……初めてなの、だからっ……」
私は目を泳がせながら恥ずかしそうに答えた。
「私だって初めてのことだ。今から準備を始めれば、卒業後にすぐに式を挙げられそうだな」
「……式?」
全く予想もしなかった返答が戻ってきて、私はきょとんとした顔をしてしまう。
「前にも言ったけど、私はルティに関しては独占欲が強いからな。早く私だけのものにしてしまいたい。ルティはいつもふらふらして危なっかしいしな」
「……っ!」
(何の話をしているの? 式って結婚式の話だったの?)
急に卑しいことを考えていた自分が恥ずかしくなり、体中が熱に包まれていく。
「さっきから表情が激しく変わっているが、何を考えているんだ?」
「な、なんでもないわっ!」
「ルティ、隠し事は許さないと言っただろう」
「本当に何でも無いの」
(お願いだからこの件はこれ以上突っ込まないでっ! あんなことを考えてしまって変態だと思われてしまうわっ)
ラインハルトの表情を見ていれば分かる。
これは絶対に見逃してくれない顔をしている。
「こんなに顔を真っ赤にさせて、その動揺ぶり。なんとなく予想は付くけどな」
「……ち、違うわ! 私、変なことなんて考えてない。昼間アーベルが変なことを言うから」
私は焦ってしまい、思わずアーベルの名前をぽろっと口に出してしまった。
アーベルの名前を聞いた瞬間ラインハルトの表情が変わる。
目を細めて、明らかに不満そうな表情をしている。
(やばっ……)
「またあの男に会っていたのか? 二人きりで?」
「ほ、報告よ。アーベルは協力者だし、昨日ライに全て話したことを一応伝えに行ったの。それに二人きりなのはお互い転生者であるからで……。それに話したのもほんの数分だけよっ!」
やましいことなど何もしていない。
事情がややこしいため、変に周りに聞かれてしまったら面倒なことになると思っただけだ。
「ルティは私に嫉妬をさせるのが好きなようだな。今回は事情も分かるから多めにみるが、これから二人で会うことは許さない」
「なっ、別にいいじゃない。ただの友達だし、協力者なんだからっ」
「それなら私も同席する」
「…………」
ラインハルトはそれなら問題はないだろうという顔をしている。
「ライだって同じじゃない」
「何がだ?」
「ヒロインであるコレットさんと一緒にいるし。私は寛大な心の持ち主だから許してあげるので、ライも少しくらい多めに見てよ」
私はムッとした顔で言い放った。
「同じクラスで生徒会役員であるから、顔を合わせる機会が多いだけだ。気になるのならルティも生徒会室に来ても構わないぞ。私の婚約者であることは周知されているしな」
「部外者が行ってもいいの?」
「別に来たらいけないという決まりはないからな。それにルティの知っている者ばかりだから、行きやすいんじゃないか? 少しでもルティと過ごせる時間が作れるのであれば、私としても嬉しい限りだからな」
「……っ」
あっさりと認められてしまい、私は言葉に詰まっていた。
アーベルが言っていたことが漸く分かった気がする。
こうなることを予感して、アーベルは二人で会うのは止めた方がいいと言ったのだろう。
「この件は解決だな」
「はい……」
「言うのが遅くなっちゃって、ご、ごめんなさい……」
今まで散々恥ずかしいことをされてきたが、この瞬間はそれ以上に感じていた。
鼓動は先程から全く収まる気配もないし、頬に触れられただけなのに心臓が飛び跳ねてしまう。
私はこのままドキドキし過ぎて死んでしまうのではないだろうか。
「本当に遅すぎだな」
「うっ……」
「だけど、待っていた分喜びも倍増だからな」
「本当に嬉しいの? いつもとあんまり態度が変わってない気がするけど」
「私は喜んでいたとしても、ルティのように顔を真っ赤にはさせないからな。だけど今まで生きてきた中で、今日が一番幸せだと感じたな」
「大げさね」
「散々ルティには焦らされたからな」
「……っ」
ラインハルトは口端を僅かに上げて愉しげに笑うと、私の唇をなぞるように指で滑らせていく。
その僅かに刺激に小さく唇を震わせる。
「ルティが漸く私のことを受け入れてくれたから、もう待つのは終わりだな」
「え?」
ラインハルトはクスッと意地悪そうに笑う。
その瞬間、私の頭の中に昼間のあの言葉が思い浮かんだ。
(な、何をするつもり!? まさか、今からするつもりなの!? どうしよう、いきなりすぎて心の準備が!)
「いきなり動揺してどうしたんだ?」
「だって、ライがいきなり変なことを言い出すから」
「別に変なことなんて言ってない。ルティの気持ちが固まるまで待つつもりでいたからな。だけどもういいよな」
(うそ、やっぱり今なの!? 心の準備は出来てないけど……、でもライとなら構わない)
「わ、私……初めてなの、だからっ……」
私は目を泳がせながら恥ずかしそうに答えた。
「私だって初めてのことだ。今から準備を始めれば、卒業後にすぐに式を挙げられそうだな」
「……式?」
全く予想もしなかった返答が戻ってきて、私はきょとんとした顔をしてしまう。
「前にも言ったけど、私はルティに関しては独占欲が強いからな。早く私だけのものにしてしまいたい。ルティはいつもふらふらして危なっかしいしな」
「……っ!」
(何の話をしているの? 式って結婚式の話だったの?)
急に卑しいことを考えていた自分が恥ずかしくなり、体中が熱に包まれていく。
「さっきから表情が激しく変わっているが、何を考えているんだ?」
「な、なんでもないわっ!」
「ルティ、隠し事は許さないと言っただろう」
「本当に何でも無いの」
(お願いだからこの件はこれ以上突っ込まないでっ! あんなことを考えてしまって変態だと思われてしまうわっ)
ラインハルトの表情を見ていれば分かる。
これは絶対に見逃してくれない顔をしている。
「こんなに顔を真っ赤にさせて、その動揺ぶり。なんとなく予想は付くけどな」
「……ち、違うわ! 私、変なことなんて考えてない。昼間アーベルが変なことを言うから」
私は焦ってしまい、思わずアーベルの名前をぽろっと口に出してしまった。
アーベルの名前を聞いた瞬間ラインハルトの表情が変わる。
目を細めて、明らかに不満そうな表情をしている。
(やばっ……)
「またあの男に会っていたのか? 二人きりで?」
「ほ、報告よ。アーベルは協力者だし、昨日ライに全て話したことを一応伝えに行ったの。それに二人きりなのはお互い転生者であるからで……。それに話したのもほんの数分だけよっ!」
やましいことなど何もしていない。
事情がややこしいため、変に周りに聞かれてしまったら面倒なことになると思っただけだ。
「ルティは私に嫉妬をさせるのが好きなようだな。今回は事情も分かるから多めにみるが、これから二人で会うことは許さない」
「なっ、別にいいじゃない。ただの友達だし、協力者なんだからっ」
「それなら私も同席する」
「…………」
ラインハルトはそれなら問題はないだろうという顔をしている。
「ライだって同じじゃない」
「何がだ?」
「ヒロインであるコレットさんと一緒にいるし。私は寛大な心の持ち主だから許してあげるので、ライも少しくらい多めに見てよ」
私はムッとした顔で言い放った。
「同じクラスで生徒会役員であるから、顔を合わせる機会が多いだけだ。気になるのならルティも生徒会室に来ても構わないぞ。私の婚約者であることは周知されているしな」
「部外者が行ってもいいの?」
「別に来たらいけないという決まりはないからな。それにルティの知っている者ばかりだから、行きやすいんじゃないか? 少しでもルティと過ごせる時間が作れるのであれば、私としても嬉しい限りだからな」
「……っ」
あっさりと認められてしまい、私は言葉に詰まっていた。
アーベルが言っていたことが漸く分かった気がする。
こうなることを予感して、アーベルは二人で会うのは止めた方がいいと言ったのだろう。
「この件は解決だな」
「はい……」
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