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第三章:学園生活スタート
46.コレットの悩み事②
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私達は昼食の後、中庭へと移動していた。
ベンチに並ぶようにして腰掛けると、コレットはゆっくりと話し始めた。
「相談というのは、来月行われる夜会のことなんです」
夜会と言うのは学園内で毎年行われる行事の一つだ。
学内の交流を深めるために全学年合同で行われる。
平民出身の者はこういった夜会に参加するのは初めてだろう。
その為、貸し出し用のドレスなども用意されている。
コレットもそのことは知っているはずだ。
「もしかしてパートナーのこと、かな?」
「……はい」
私が思いついたことを口にすると、コレットは表情を曇らせて呟いた。
「最近色々な方から、一緒に参加してくれないかとお誘いを受けていて。中には貴族の方などもいらっしゃって、どう断って良いのか分からなくて困っているんです」
「なるほどね」
(そっちの問題か。こんなに容姿が可愛らしくて、婚約者がいないとなれば当然よね)
「今まではどう断ってきたの?」
「相手は決まっているのかって聞かれる度に、笑って誤魔化して逃げてました。特に貴族の方に対しては断る勇気がなくて……。でもその中に何度も聞いてくる人がいて」
「それは災難ね。もし自分より身分が下だったら、強引にパートナーにするつもりなのかも」
「どうしよう。私が一人でいる時にいつもその方が現れるんです。なんだか見張られているみたいで怖くて。でも貴族の方だから、失礼な態度も取れないし」
(うわぁ、完全にそれストーカーじゃない。怖すぎるわ)
「その話、ライとかクライス様には話したの?」
「いえ、してません。こんな私の事情に巻き込むなんて出来ませんので」
(コレットには護衛が付けてたんじゃ無かったの? それともストーカーの方が一枚上手なのかな。だけどこんな話を聞いてしまった以上、放っておくなんてことは出来ないわ)
「その人の名前分かる?」
「二学年のエルヴィン・リーネル様です。たしか伯爵家の方だったと思います」
「二学年か。名前を聞いただけじゃ分からないけど、少し調べてみるわ」
「巻き込んでしまってごめんなさい。ルティナ様ならどうやって断ったら良いと思いますか?」
「そうね……。やっぱり既に相手がいるから諦めて貰うのが一番手っ取り早いとは思うけど、簡単に諦める相手ではなさそうよね。エルヴィンって人より爵位が上の者なら問題ないとは思うけど。あ……、クラウス様にお願いしてみたらどうかな? 確か婚約者はいなかったと思うし」
クラウスの性格ならば、事情を話せば協力してくれる気がする。
彼は人に頼られるのが好きだし、コレットとは近い位置にいるので、事情を話せば受け入れて貰えそうだ。
「そ、そんな。クラウス様のお相手なんて、私には無理です」
「それじゃあ、イザーク様は? 確かイザーク様も婚約者の話は聞いたこと無かったわ。ちょっと見た目は怖いから、威嚇には丁度良いのかも」
「……っ」
イザークの名前を出すとコレットの表情が変わった。
その顔は朝見た表情に近い気がする。
(うそ……。もしかしてコレットの好きな相手ってイザーク様なの!?)
「コレットってイザーク様のことが好きだったりする?」
「……っ!」
私は思わず口に出してしまった。
コレットの頬は僅かに赤く染まっているように見える。
(そっか。コレットが好きなのってイザーク様だったんだ。意外だけど、アーベルの話だと一作目はイザーク様が一番人気だって言ってたっけ……)
「このことは秘密にしといてください。私が一方的に気になっているだけですし。それに自分の身分は弁えています。だからイザーク様に気持ちを伝えるつもりもありません」
「…………」
コレットは少し寂しそうに笑っていた。
私はその表情を見ていたら何も言葉を返すことが出来なかった。
コレットはヒロインであるため、聖女だと分かれば特例で貴族との婚約は認められるはずだ。
だけど今のコレットはそのことを知らないのだろう。
今この場でそのことを話をしたら喜ぶのかも知れない。
だけど本当にそれでいいのだろうか。
きっと色々困難を乗り越えて、自分の気持ちが本物であることに気付いていくのだろう。
そしてその過程でイザークとの絆が深く結ばれる。
私はコレットの友人であるが、今深入りはしないほうがいいだろう。
ヒロインであるのだからきっと失恋することはないはずだ。
だから今は見守ることにした。
(伝えられなくてごめんね。だけど応援しているわ!)
「分かったわ。コレットの気持ちは私の胸の中に留めておくことにします。だけど、この状況は伝えるべきだと思う。しつこく付きまとってる時点で危険人物確定よ。それにコレットの傍には頼れる人が沢山いるでしょ。同じクラスだし生徒会役員だし。だから少しでも目を向けておいてもらう為に、事情だけは説明しておこう。きっと力になってくれるはずよ。言いづらいなら私が伝えておくわ」
「ありがとうございます、ルティナ様」
「友達が困っていたら力になりたいって思うのは当然でしょ? それに、私を頼ってくれてありがとう。イザーク様のことは誰にも言わないけど、そのことで悩んでいたらいつでも話してね。胸に溜め込むよりは話してしまった方が楽だから」
「はいっ!」
コレットの表情からはいつの間にか不安の色は消え、安心した明るい笑顔に変わっていた。
私はその姿を見て安心していた。
コレットの好きな相手が、ラインハルトでは無かったことにほっとしているのだと思う。
同時に不安も感じている。
一作目で一番人気のあるイザークのことをコレットは好きになった。
二作目で選ばれたのはラインハルトだ。
そしてその相手は私では無くシーラという、全く知らないヒロイン。
この学園を卒業するまでは、まだ油断は出来ないということになる。
ベンチに並ぶようにして腰掛けると、コレットはゆっくりと話し始めた。
「相談というのは、来月行われる夜会のことなんです」
夜会と言うのは学園内で毎年行われる行事の一つだ。
学内の交流を深めるために全学年合同で行われる。
平民出身の者はこういった夜会に参加するのは初めてだろう。
その為、貸し出し用のドレスなども用意されている。
コレットもそのことは知っているはずだ。
「もしかしてパートナーのこと、かな?」
「……はい」
私が思いついたことを口にすると、コレットは表情を曇らせて呟いた。
「最近色々な方から、一緒に参加してくれないかとお誘いを受けていて。中には貴族の方などもいらっしゃって、どう断って良いのか分からなくて困っているんです」
「なるほどね」
(そっちの問題か。こんなに容姿が可愛らしくて、婚約者がいないとなれば当然よね)
「今まではどう断ってきたの?」
「相手は決まっているのかって聞かれる度に、笑って誤魔化して逃げてました。特に貴族の方に対しては断る勇気がなくて……。でもその中に何度も聞いてくる人がいて」
「それは災難ね。もし自分より身分が下だったら、強引にパートナーにするつもりなのかも」
「どうしよう。私が一人でいる時にいつもその方が現れるんです。なんだか見張られているみたいで怖くて。でも貴族の方だから、失礼な態度も取れないし」
(うわぁ、完全にそれストーカーじゃない。怖すぎるわ)
「その話、ライとかクライス様には話したの?」
「いえ、してません。こんな私の事情に巻き込むなんて出来ませんので」
(コレットには護衛が付けてたんじゃ無かったの? それともストーカーの方が一枚上手なのかな。だけどこんな話を聞いてしまった以上、放っておくなんてことは出来ないわ)
「その人の名前分かる?」
「二学年のエルヴィン・リーネル様です。たしか伯爵家の方だったと思います」
「二学年か。名前を聞いただけじゃ分からないけど、少し調べてみるわ」
「巻き込んでしまってごめんなさい。ルティナ様ならどうやって断ったら良いと思いますか?」
「そうね……。やっぱり既に相手がいるから諦めて貰うのが一番手っ取り早いとは思うけど、簡単に諦める相手ではなさそうよね。エルヴィンって人より爵位が上の者なら問題ないとは思うけど。あ……、クラウス様にお願いしてみたらどうかな? 確か婚約者はいなかったと思うし」
クラウスの性格ならば、事情を話せば協力してくれる気がする。
彼は人に頼られるのが好きだし、コレットとは近い位置にいるので、事情を話せば受け入れて貰えそうだ。
「そ、そんな。クラウス様のお相手なんて、私には無理です」
「それじゃあ、イザーク様は? 確かイザーク様も婚約者の話は聞いたこと無かったわ。ちょっと見た目は怖いから、威嚇には丁度良いのかも」
「……っ」
イザークの名前を出すとコレットの表情が変わった。
その顔は朝見た表情に近い気がする。
(うそ……。もしかしてコレットの好きな相手ってイザーク様なの!?)
「コレットってイザーク様のことが好きだったりする?」
「……っ!」
私は思わず口に出してしまった。
コレットの頬は僅かに赤く染まっているように見える。
(そっか。コレットが好きなのってイザーク様だったんだ。意外だけど、アーベルの話だと一作目はイザーク様が一番人気だって言ってたっけ……)
「このことは秘密にしといてください。私が一方的に気になっているだけですし。それに自分の身分は弁えています。だからイザーク様に気持ちを伝えるつもりもありません」
「…………」
コレットは少し寂しそうに笑っていた。
私はその表情を見ていたら何も言葉を返すことが出来なかった。
コレットはヒロインであるため、聖女だと分かれば特例で貴族との婚約は認められるはずだ。
だけど今のコレットはそのことを知らないのだろう。
今この場でそのことを話をしたら喜ぶのかも知れない。
だけど本当にそれでいいのだろうか。
きっと色々困難を乗り越えて、自分の気持ちが本物であることに気付いていくのだろう。
そしてその過程でイザークとの絆が深く結ばれる。
私はコレットの友人であるが、今深入りはしないほうがいいだろう。
ヒロインであるのだからきっと失恋することはないはずだ。
だから今は見守ることにした。
(伝えられなくてごめんね。だけど応援しているわ!)
「分かったわ。コレットの気持ちは私の胸の中に留めておくことにします。だけど、この状況は伝えるべきだと思う。しつこく付きまとってる時点で危険人物確定よ。それにコレットの傍には頼れる人が沢山いるでしょ。同じクラスだし生徒会役員だし。だから少しでも目を向けておいてもらう為に、事情だけは説明しておこう。きっと力になってくれるはずよ。言いづらいなら私が伝えておくわ」
「ありがとうございます、ルティナ様」
「友達が困っていたら力になりたいって思うのは当然でしょ? それに、私を頼ってくれてありがとう。イザーク様のことは誰にも言わないけど、そのことで悩んでいたらいつでも話してね。胸に溜め込むよりは話してしまった方が楽だから」
「はいっ!」
コレットの表情からはいつの間にか不安の色は消え、安心した明るい笑顔に変わっていた。
私はその姿を見て安心していた。
コレットの好きな相手が、ラインハルトでは無かったことにほっとしているのだと思う。
同時に不安も感じている。
一作目で一番人気のあるイザークのことをコレットは好きになった。
二作目で選ばれたのはラインハルトだ。
そしてその相手は私では無くシーラという、全く知らないヒロイン。
この学園を卒業するまでは、まだ油断は出来ないということになる。
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