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第三章:学園生活スタート
19.学園生活の始まり
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あれから月日は流れ、私は18歳になった。
そして今日からいよいよ乙女ゲームの舞台となる魔法学園へと入学することになる。
ちなみにこの世界では魔法の力が開花するのは18歳前後とされている。
その為この国では魔法学園の入学を18歳からと定めているようだ。
通常の生徒は1、2年在学することになる。
魔力量は人によって異なるため、ばらつきがあるようだ。
学園は王都内に存在し、魔力を持つ者であれば誰でも入学資格を持つことが出来る。
入学は強制ではないのだが、この世界では上位貴族ほど高い魔力を持つとされている為、在学生の殆どが貴族があり約8割を占めている。
入学するには試験がある為、それなりに勉強をしなければ入る事は出来ないのだが、貴族出身の者は幼い頃からそれなりの良い教育を受けている為、それも貴族が多い理由になっているようだ。
魔法学以外にも、その他の知識や教養を学ぶことが出来る。
そして王族の者は特に魔力量が多いとされ、魔力制御を学ぶために、2年間は必ず在籍しなければならないという決まりがあるらしい。
それは王族の血を引いている者全てに適応されるとか。
私の家は公爵家であり、王家とは遠い親戚らしいのだが、何故か私に限っては驚く程に魔力量が低い。
9歳の頃から私は一生懸命魔法の勉強をし、毎日魔法を使って魔力量を増やす努力をしているのにも関わらず、未だに1日に使える魔法は中級魔法1回のみで、初級魔法で考えたら3回だけ。
残念な悪役令嬢だから、こういう仕様なのだろうか。
だとしたら、酷すぎる!
そしてこの学園は全寮制になっている。
寮は基本的に男女別棟に分かれていて、それとは別に王族やそれに近い上位貴族達の為の特別棟が用意されている。
王族であるラインハルトとクライス、そしてディスの部屋は特別棟になる。
そしてラインハルトの婚約者という立場から、私まで特別棟に配置される事になってしまった。
ここが乙女ゲームの本編の舞台であるのなら、当然ヒロインである聖女もこの学園に入学してくるはずだ。
光の力を持つ者はこの世界では希少で、注目される存在。
今はまだ名前は分からないけど、彼女がここに入学すればその噂はすぐに広がり私の耳にも入って来る、――そう思っていた。
しかし入学から1週間が経っても、そんな噂はちっとも聞こえてこない。
(一体どうなってるの? ここは乙女ゲームの世界じゃなかったの?)
私は少し焦っていた。
ヒロインの行動により私の今後の人生がかかっている為、早く見つけて対策を考えなければならないっていうのに。
肝心のヒロインが未だに見つからない。
***
「ルティ、おはよう」
「あ、おはよう。ライ」
教室の入口でラインハルトに声を掛けられると私は挨拶を返した。
この人は幼い頃から端麗な顔立ちだったけど、年々それに磨きがかかっていく様な気がする。
もう何度もこの顔は見ているはずなのに、気を抜くと見惚れてしまいそうになる。
そして現在、私には大きな悩みがあった。
「あのっ、あまり人前でこういう事をするのはやめて欲しいです」
「なぜだ?」
ラインハルトは私を見つけると直ぐに手に触れて、体を引き寄せた。
そして人前だというのに、額にそっとキスを落とす。
最初はこんなラインハルトの行動を見て、周りの令嬢達はキャーキャー騒いでいたけど、1週間も経つと見慣れて来たのかそれを見て騒ぐ者は少なくなったようだ。
ラインハルト曰く『婚約者だから何も問題無い』ようだが、私にとっては問題大アリだ。
私が焦っていると、ラインハルトは意地悪そうな顔で私の反応を満足げに眺めていた。
「わ、私が困るんです!」
「照れているのか? 可愛いな。もう何年もしている事なのに、未だにルティは照れるんだな? 日課だと思えば良いんじゃないか?」
真っ赤になった顔で私が慌てて答えると、ラインハルトは当然のようにさらりと言った。
「日課って。昔は二人っきりの時だったし、今とは全く違いますっ!」
「ルティは、私と二人きりの時にこういうことをして欲しいのか?」
「ち、違っ」
私が慌てて言い返そうとすると、ラインハルトは耳元で「ルティが騒ぐから、皆がこちらを見ているな」と意地悪そうな声で囁いてきた。
私はハッとして周囲に視線を向けると、令嬢達が仄かに頬を染めながらコソコソと噂話をしている光景が目に入る。
恥ずかしさから、むっとした顔でラインハルトを睨みつけた。
「どうした? 言いたい事があれば言えばいい」
「……っ、ないです……」
私が悔しそうに答えると、ラインハルトは「そうか」と笑顔で答えた。
(この人、年々意地悪さが増してる気がするっ! 絶対気のせいではないわ!)
そんなことをしていると、校内に予鈴が響き渡った。
「残念だけど、時間か。ルティ、また後でな」
そう言ってラインハルトは自分の教室に帰って行った。
漸くラインハルトから解放されてほっとし、自分の席へと向かった。
ちなみに私とラインハルトはクラスが違う。
1学年は2クラスまであり、クラス分けは成績順にされている。
勿論優秀なラインハルトはAクラスで、勉強が苦手な私はBクラスだ。
クラスが違うのにも関わらず、毎朝ラインハルトは私の教室の前に何故かいる。
(毎朝、来てくれなくてもいいのに)
***
休み時間になり廊下を歩いていると、人だかりを見つけた。
気になって人混みの中に入って行くと、奥には入学後に行った学力試験の結果が張り出されていた。
人混みをかき分けて中心へと入ると、結果を確認した。
(なになに……、1位はライか。まあ、当然よね。2位はディス様、納得だわ。3位はコレット? 知らない名前ね。4位にクライス様かー。クライス様勉強は苦手って言っていたけど、頑張ったのね。やっぱり攻略対象者は上位独占しているのか。ということはやっぱりここは乙女ゲームの舞台で間違いないってことよね……)
その後自分の名前を探していくと、34位の所で漸く名前を見つけることが出来た。
ちなみにAクラスは25名、Bクラスは30名に割り振られているそうだ。
(34位って。結構自信あったのにな……)
私はガクッと肩を落とし、ため息を漏らした。
そして再び結果の紙に視線を向けた。
(あれ? そう言えば見慣れない名前が混ざっていたわね。コレット・フェリシアって女の子みたいな名前ね。って事は攻略対象者ではないよね、さすがに)
女の子……?
「ああああっ!!」
私は思わずその場で大声を出してしまった。
奇声に驚いた生徒達は一斉に私の方に視線を向けた。
(やば、思わず叫んじゃった)
「な、なんでもないです。ごめんなさいっ」
私は笑って誤魔化すと逃げる様にその場から立ち去った。
ずっと探していたものを見つけた私の胸は高鳴っていた。
(ついに見つけたわ! 彼女こそこのゲームのヒロイン聖女様に間違いないはずよっ!)
とりあえずどんな子か気になったので、お顔を拝見しに行くことにした。
成績順に決められているため、Aクラスであるのは間違い無い。
それにヒロインなのだから、超絶美少女に決まっている。
そんな期待を抱きながら、私は廊下を走り彼女のいる教室へと向かった。
そして今日からいよいよ乙女ゲームの舞台となる魔法学園へと入学することになる。
ちなみにこの世界では魔法の力が開花するのは18歳前後とされている。
その為この国では魔法学園の入学を18歳からと定めているようだ。
通常の生徒は1、2年在学することになる。
魔力量は人によって異なるため、ばらつきがあるようだ。
学園は王都内に存在し、魔力を持つ者であれば誰でも入学資格を持つことが出来る。
入学は強制ではないのだが、この世界では上位貴族ほど高い魔力を持つとされている為、在学生の殆どが貴族があり約8割を占めている。
入学するには試験がある為、それなりに勉強をしなければ入る事は出来ないのだが、貴族出身の者は幼い頃からそれなりの良い教育を受けている為、それも貴族が多い理由になっているようだ。
魔法学以外にも、その他の知識や教養を学ぶことが出来る。
そして王族の者は特に魔力量が多いとされ、魔力制御を学ぶために、2年間は必ず在籍しなければならないという決まりがあるらしい。
それは王族の血を引いている者全てに適応されるとか。
私の家は公爵家であり、王家とは遠い親戚らしいのだが、何故か私に限っては驚く程に魔力量が低い。
9歳の頃から私は一生懸命魔法の勉強をし、毎日魔法を使って魔力量を増やす努力をしているのにも関わらず、未だに1日に使える魔法は中級魔法1回のみで、初級魔法で考えたら3回だけ。
残念な悪役令嬢だから、こういう仕様なのだろうか。
だとしたら、酷すぎる!
そしてこの学園は全寮制になっている。
寮は基本的に男女別棟に分かれていて、それとは別に王族やそれに近い上位貴族達の為の特別棟が用意されている。
王族であるラインハルトとクライス、そしてディスの部屋は特別棟になる。
そしてラインハルトの婚約者という立場から、私まで特別棟に配置される事になってしまった。
ここが乙女ゲームの本編の舞台であるのなら、当然ヒロインである聖女もこの学園に入学してくるはずだ。
光の力を持つ者はこの世界では希少で、注目される存在。
今はまだ名前は分からないけど、彼女がここに入学すればその噂はすぐに広がり私の耳にも入って来る、――そう思っていた。
しかし入学から1週間が経っても、そんな噂はちっとも聞こえてこない。
(一体どうなってるの? ここは乙女ゲームの世界じゃなかったの?)
私は少し焦っていた。
ヒロインの行動により私の今後の人生がかかっている為、早く見つけて対策を考えなければならないっていうのに。
肝心のヒロインが未だに見つからない。
***
「ルティ、おはよう」
「あ、おはよう。ライ」
教室の入口でラインハルトに声を掛けられると私は挨拶を返した。
この人は幼い頃から端麗な顔立ちだったけど、年々それに磨きがかかっていく様な気がする。
もう何度もこの顔は見ているはずなのに、気を抜くと見惚れてしまいそうになる。
そして現在、私には大きな悩みがあった。
「あのっ、あまり人前でこういう事をするのはやめて欲しいです」
「なぜだ?」
ラインハルトは私を見つけると直ぐに手に触れて、体を引き寄せた。
そして人前だというのに、額にそっとキスを落とす。
最初はこんなラインハルトの行動を見て、周りの令嬢達はキャーキャー騒いでいたけど、1週間も経つと見慣れて来たのかそれを見て騒ぐ者は少なくなったようだ。
ラインハルト曰く『婚約者だから何も問題無い』ようだが、私にとっては問題大アリだ。
私が焦っていると、ラインハルトは意地悪そうな顔で私の反応を満足げに眺めていた。
「わ、私が困るんです!」
「照れているのか? 可愛いな。もう何年もしている事なのに、未だにルティは照れるんだな? 日課だと思えば良いんじゃないか?」
真っ赤になった顔で私が慌てて答えると、ラインハルトは当然のようにさらりと言った。
「日課って。昔は二人っきりの時だったし、今とは全く違いますっ!」
「ルティは、私と二人きりの時にこういうことをして欲しいのか?」
「ち、違っ」
私が慌てて言い返そうとすると、ラインハルトは耳元で「ルティが騒ぐから、皆がこちらを見ているな」と意地悪そうな声で囁いてきた。
私はハッとして周囲に視線を向けると、令嬢達が仄かに頬を染めながらコソコソと噂話をしている光景が目に入る。
恥ずかしさから、むっとした顔でラインハルトを睨みつけた。
「どうした? 言いたい事があれば言えばいい」
「……っ、ないです……」
私が悔しそうに答えると、ラインハルトは「そうか」と笑顔で答えた。
(この人、年々意地悪さが増してる気がするっ! 絶対気のせいではないわ!)
そんなことをしていると、校内に予鈴が響き渡った。
「残念だけど、時間か。ルティ、また後でな」
そう言ってラインハルトは自分の教室に帰って行った。
漸くラインハルトから解放されてほっとし、自分の席へと向かった。
ちなみに私とラインハルトはクラスが違う。
1学年は2クラスまであり、クラス分けは成績順にされている。
勿論優秀なラインハルトはAクラスで、勉強が苦手な私はBクラスだ。
クラスが違うのにも関わらず、毎朝ラインハルトは私の教室の前に何故かいる。
(毎朝、来てくれなくてもいいのに)
***
休み時間になり廊下を歩いていると、人だかりを見つけた。
気になって人混みの中に入って行くと、奥には入学後に行った学力試験の結果が張り出されていた。
人混みをかき分けて中心へと入ると、結果を確認した。
(なになに……、1位はライか。まあ、当然よね。2位はディス様、納得だわ。3位はコレット? 知らない名前ね。4位にクライス様かー。クライス様勉強は苦手って言っていたけど、頑張ったのね。やっぱり攻略対象者は上位独占しているのか。ということはやっぱりここは乙女ゲームの舞台で間違いないってことよね……)
その後自分の名前を探していくと、34位の所で漸く名前を見つけることが出来た。
ちなみにAクラスは25名、Bクラスは30名に割り振られているそうだ。
(34位って。結構自信あったのにな……)
私はガクッと肩を落とし、ため息を漏らした。
そして再び結果の紙に視線を向けた。
(あれ? そう言えば見慣れない名前が混ざっていたわね。コレット・フェリシアって女の子みたいな名前ね。って事は攻略対象者ではないよね、さすがに)
女の子……?
「ああああっ!!」
私は思わずその場で大声を出してしまった。
奇声に驚いた生徒達は一斉に私の方に視線を向けた。
(やば、思わず叫んじゃった)
「な、なんでもないです。ごめんなさいっ」
私は笑って誤魔化すと逃げる様にその場から立ち去った。
ずっと探していたものを見つけた私の胸は高鳴っていた。
(ついに見つけたわ! 彼女こそこのゲームのヒロイン聖女様に間違いないはずよっ!)
とりあえずどんな子か気になったので、お顔を拝見しに行くことにした。
成績順に決められているため、Aクラスであるのは間違い無い。
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