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第一章:幼少期(1)初めての友達と伝説の薬草
11.夜の森へ①
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翌日、私はラインハルトが手配してくれた馬車に乗り王宮へと向かっていた。
馬車の窓から覗く空は濃い赤に染まっていて、それがたまらなく綺麗に見えていたが、私が王宮へと付いた頃には夕陽は暗闇に飲み込まれようとしていた。
私が馬車から降りると、到着を待っていたラインハルトの姿がそこにはあった。
隣には騎士の様な装いの、いかつい男が立っていた。
「ルティ、無事に来れたみたいだな」
ラインハルトと視線が合うと、私は慌てて頭を下げた。
『無事に』と言うのは恐らく両親に許して貰えたという意味なのだろう。
「今日は、よろしくお願いしますっ!」
「頭を上げて、昨日堅苦しいのは無しだと話しただろう?」
私はゆっくりと顔を上げて「そうだった」と呟いた。
「君が噂のお嬢様か?」
そう答えたのはラインハルトの隣にいる男だった。
(すごく強そうな人! さすがライが選んだ護衛ね。でもどこかで見たことがある様な……)
「彼は王立騎士団の団長を務めているロイズだ。ルティは会うのは初めてかな?」
「き、騎士団長? ……っ!!」
ラインハルトはロイズを私に紹介してくれた。
私は騎士団長と聞いて驚きの表情を見せてしまうと、ラインハルトは可笑しそうに笑い「ルティは予想通りの反応をしてくれるな」満足そうにしていた。
(護衛が騎士団長って豪華すぎない? でもライは王子なんだし、当然か。だけどすごいわっ!)
「ロイズ、こちらは話していたルティナ・グレイス嬢だ」
「ルティナ嬢、俺が二人の事はしっかりと守るから、安心してくれて構わない」
「よ、よろしくお願いしますっ!」
ロイズの言葉に安心感を覚えてると、私は勢い良く頭を下げた。
そんな私の姿を眺めながら、二人はクスクスと楽しそうに笑っていた
挨拶をしている内に完全に外は暗闇に包まれ、空には満月が綺麗に輝いていた。
そして私達は森へと向かう事となった。
***
森に入ると先頭をロイズに歩いてもらい、私とラインハルトは並ぶ様にして後ろから付いて行く。
「やっぱり夜の森ってちょっと怖いね」
「その森に一人で来ようとしていたのは誰だったかな」
私が辺りを見ながらそわそわとしていると、ラインハルトは意地悪そうな口調で呟いた。
「……っ!」
私はその言葉に言葉を詰まらせた。
(ライって私の中では、もう意地悪な人にしか見えなくなってるわ)
「ラインハルト様、あまりルティナ嬢をいじめると可哀そうだぞ」
「いじめる? 本当の事を言ったまでだが」
ロイズはすぐにフォローしてくれたが、ラインハルトはさらりと返した。
その言葉に私もロイズも苦笑した。
「だけどこんなラインハルト様を見るのは中々珍しい事だな。ルティナ嬢はそれだけラインハルト様に気に入られているってことか。良かったな!」
「それって喜んで良いんですか?」
私が困った顔で聞き返していると、隣にいるラインハルトと目が合った。
「私達は友情の証で結ばれているんだったよな? 怖いなら、手を繋いでいてあげようか?」
「け、結構ですっ」
突然そんなことを言われて急いで拒否した。
正直そんな風に言われると恥ずかしいし、手なんて繋げるはずが無い。 相手はいくら友人と言っても王子だ。
私の様子を見てラインハルトは僅かに目を細めていた。
「私の申入れを断る気か?」
「……っ、こんな時に権力を使うなんて、なんかずるいです!」
「ずるい? ……ぷっ」
「なっ、なんですか!?」
突然ラインハルトは笑い出し、私は戸惑ってしまう。
「そんなことを言われたのは初めてだ。やっぱりルティは面白いな」
「面白いって言われても嬉しく無いですっ」
私が不満そうに話していると、自然に私の手を繋ぎ始めた。
「……っ!?」
「ルティが迷子にならない様に一応繋いでおこうか。もしかして、照れているの?」
「ま、まさかっ。照れてなんていません!」
「だったら問題無いな。そう言えば、ルティは夜の森に来るのは初めてか?」
私は顔を赤く染めながら小さく頷いた。
森の中が薄暗いせいで、ラインハルトには私の顔が赤く染まっていることは気付かれていない筈だ。
「私はね、割と夜の森って好きなんだ。どうしてだか分かる?」
「え?」
突然そんな質問をされ、私は首を傾げるとラインハルトは話し始めた
「耳を澄ますと、色々な音が聞こえてこないか?」
私はその言葉を聞いて耳を澄ましてみた。
意識して聞いてみると様々な音があちらこちらから聞こえて来る。
虫の鳴く声や、風が吹いて草木が揺れる音、そして遠くからは水が流れていく様な音も聞こえてくるような気がする。
それはとても穏やかな音で、癒される。
「本当だ。色んな音が聞こえて来る」
私が感動しながら声を上げると、ラインハルトは小さく笑った。
「夜は静かだから、昼間聞こえないものが聞けるんだ。私はどちらかと言うと昼よりも夜の方が好きだな」
「同感だ。この静けさが妙に癒されるんだよな」
私は二人の言葉に納得した。
ここに来たのはラフィーを助ける為ではあったけど、知らなかった感動を知ることが出来て今日ここに来て良かったと感じていた。
森に入って一時間程経つと、森の奥にある湖畔が見え始めて来た。
馬車の窓から覗く空は濃い赤に染まっていて、それがたまらなく綺麗に見えていたが、私が王宮へと付いた頃には夕陽は暗闇に飲み込まれようとしていた。
私が馬車から降りると、到着を待っていたラインハルトの姿がそこにはあった。
隣には騎士の様な装いの、いかつい男が立っていた。
「ルティ、無事に来れたみたいだな」
ラインハルトと視線が合うと、私は慌てて頭を下げた。
『無事に』と言うのは恐らく両親に許して貰えたという意味なのだろう。
「今日は、よろしくお願いしますっ!」
「頭を上げて、昨日堅苦しいのは無しだと話しただろう?」
私はゆっくりと顔を上げて「そうだった」と呟いた。
「君が噂のお嬢様か?」
そう答えたのはラインハルトの隣にいる男だった。
(すごく強そうな人! さすがライが選んだ護衛ね。でもどこかで見たことがある様な……)
「彼は王立騎士団の団長を務めているロイズだ。ルティは会うのは初めてかな?」
「き、騎士団長? ……っ!!」
ラインハルトはロイズを私に紹介してくれた。
私は騎士団長と聞いて驚きの表情を見せてしまうと、ラインハルトは可笑しそうに笑い「ルティは予想通りの反応をしてくれるな」満足そうにしていた。
(護衛が騎士団長って豪華すぎない? でもライは王子なんだし、当然か。だけどすごいわっ!)
「ロイズ、こちらは話していたルティナ・グレイス嬢だ」
「ルティナ嬢、俺が二人の事はしっかりと守るから、安心してくれて構わない」
「よ、よろしくお願いしますっ!」
ロイズの言葉に安心感を覚えてると、私は勢い良く頭を下げた。
そんな私の姿を眺めながら、二人はクスクスと楽しそうに笑っていた
挨拶をしている内に完全に外は暗闇に包まれ、空には満月が綺麗に輝いていた。
そして私達は森へと向かう事となった。
***
森に入ると先頭をロイズに歩いてもらい、私とラインハルトは並ぶ様にして後ろから付いて行く。
「やっぱり夜の森ってちょっと怖いね」
「その森に一人で来ようとしていたのは誰だったかな」
私が辺りを見ながらそわそわとしていると、ラインハルトは意地悪そうな口調で呟いた。
「……っ!」
私はその言葉に言葉を詰まらせた。
(ライって私の中では、もう意地悪な人にしか見えなくなってるわ)
「ラインハルト様、あまりルティナ嬢をいじめると可哀そうだぞ」
「いじめる? 本当の事を言ったまでだが」
ロイズはすぐにフォローしてくれたが、ラインハルトはさらりと返した。
その言葉に私もロイズも苦笑した。
「だけどこんなラインハルト様を見るのは中々珍しい事だな。ルティナ嬢はそれだけラインハルト様に気に入られているってことか。良かったな!」
「それって喜んで良いんですか?」
私が困った顔で聞き返していると、隣にいるラインハルトと目が合った。
「私達は友情の証で結ばれているんだったよな? 怖いなら、手を繋いでいてあげようか?」
「け、結構ですっ」
突然そんなことを言われて急いで拒否した。
正直そんな風に言われると恥ずかしいし、手なんて繋げるはずが無い。 相手はいくら友人と言っても王子だ。
私の様子を見てラインハルトは僅かに目を細めていた。
「私の申入れを断る気か?」
「……っ、こんな時に権力を使うなんて、なんかずるいです!」
「ずるい? ……ぷっ」
「なっ、なんですか!?」
突然ラインハルトは笑い出し、私は戸惑ってしまう。
「そんなことを言われたのは初めてだ。やっぱりルティは面白いな」
「面白いって言われても嬉しく無いですっ」
私が不満そうに話していると、自然に私の手を繋ぎ始めた。
「……っ!?」
「ルティが迷子にならない様に一応繋いでおこうか。もしかして、照れているの?」
「ま、まさかっ。照れてなんていません!」
「だったら問題無いな。そう言えば、ルティは夜の森に来るのは初めてか?」
私は顔を赤く染めながら小さく頷いた。
森の中が薄暗いせいで、ラインハルトには私の顔が赤く染まっていることは気付かれていない筈だ。
「私はね、割と夜の森って好きなんだ。どうしてだか分かる?」
「え?」
突然そんな質問をされ、私は首を傾げるとラインハルトは話し始めた
「耳を澄ますと、色々な音が聞こえてこないか?」
私はその言葉を聞いて耳を澄ましてみた。
意識して聞いてみると様々な音があちらこちらから聞こえて来る。
虫の鳴く声や、風が吹いて草木が揺れる音、そして遠くからは水が流れていく様な音も聞こえてくるような気がする。
それはとても穏やかな音で、癒される。
「本当だ。色んな音が聞こえて来る」
私が感動しながら声を上げると、ラインハルトは小さく笑った。
「夜は静かだから、昼間聞こえないものが聞けるんだ。私はどちらかと言うと昼よりも夜の方が好きだな」
「同感だ。この静けさが妙に癒されるんだよな」
私は二人の言葉に納得した。
ここに来たのはラフィーを助ける為ではあったけど、知らなかった感動を知ることが出来て今日ここに来て良かったと感じていた。
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