残念系悪役令嬢に転生したら、婚約破棄される予定の王太子に溺愛されています【R-18】

Rila

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第一章:幼少期(1)初めての友達と伝説の薬草

10.今の私と前世の私

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 私は屋敷に戻ると、お父様に包み隠さず全て事情を話した。
 いくら王子であるラインハルトの付き添いがあるとは言っても過保護なお父様のことだ。
 絶対に反対されると思っていた。
 だけど実際は私の話をすんなりと受け入れてくれて、反対など一切されることは無かった。
 意外過ぎて、私は拍子抜けしてしまっていた。


「そうか。そんな事があったのだな。最近のルティはどこか変わったと思っていたが、随分と成長したんだね。昔の甘えて来るルティも私は好きだったが、一生懸命になっているルティの事も私は大好きだよ」
「……お父様っ!」

 お父様の言葉に胸の奥がじーんと熱くなり、私は泣きそうな顔をしてしまう。

(お父様優し過ぎよ。ルティナって本当に愛されているのね)

 私がここまで大きく変わったのは、ラフィーとの出会いがあったからだろう。
 初めて出来た友達で、これから先もずっと友達でいたくて、絶対に失いたくは無かった。
 それが私の心をここまで突き進ませた。

 今までは自分中心で周りの事なんて考えたことは殆ど無かったが、ラフィーと出会う事で誰かの為に何かしたいと言う感情が芽生えた。
 それは今の私、ルティナ・グレイスという令嬢の人生を大きく変えるきっかけだったのだと思う。

 確かに私は前世を思い出し、その過去の人格を思い出した。
 だけど今のルティナも私であることには変わりない。

 ここは乙女ゲームの世界だから、シナリオ通りに進まなければならないの?
 申し訳ないけど、そんな気は更々ない。
 どんな理由で私がこの世界に転生したのかは分からないけど、私は自分が思うように生きていくつもりだ。

(だから、ラフィーは絶対に私が救う!)

「護衛がいるのなら安心だとは思うが、あまり無茶はしないようにな。それにしても、ラインハルト殿下とも仲良くなるなんて中々やるな」
「ふふっ、ライとも友達になったのよっ!」

 私がラインハルトの事を愛称で呼ぶと、父は目を見開いて驚いた表情をさせた。

(私が王子の名前をあだ名で気安く呼んでいるから驚いたのかな?)

 今の私の中には前世の人格もあり、気軽に愛称で呼ぶことには何ら抵抗が無かった。
 それに本人から直々に許可は貰った。
『ライ』と呼んでも何ら問題はないはずだ。

「お父様、そう呼ぶ様に言い出したのは私じゃなくて、ライの方ですっ! だから大丈夫です」
「そ、そうか……」

 私は慌てて説明するが、それでも父は驚いた顔をしたままだった。

(ライが良いって言ったんだから何も問題はないよね? 私から言い出したことじゃないし!)

「まあ、殿下には迷惑を掛けない様にするんだよ」
「はいっ!」
 
 無事お父様にも報告が出来て、後ろめたい気持ちも無くなり明日は余計な事を気にせず月下草を探しに行けそうだ。
 そう思うと今から明日が楽しみで仕方なくなった。

(ラフィーちゃん、待っていてね! 絶対明日、見つけて帰るから!)
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