残念系悪役令嬢に転生したら、婚約破棄される予定の王太子に溺愛されています【R-18】

Rila

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第一章:幼少期(1)初めての友達と伝説の薬草

8.伝説の薬草②

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 私はラインハルトに案内され王立図書館に来ていた。
 王立図書館とは王宮の敷地内にあり、建物一つがまるまる図書館となっている。
 中には厳重に保管されるような貴重な書物もあり、そう言ったものを読む為には特別な許可証が無ければ入れない部屋もあるそうだ。

「うわぁ……、すごい」

 私はラインハルトに案内させれて図書館内部に入ると、余りの広さに驚いていた。

「ふふっ、ルティナ嬢はここに来るのは初めてですか?」
「はいっ」

 ここは建物自体が球状に作られていて、中に入ると360度見渡せるくらい、本、本、本という感じになっていた。
 しかも私が見る限り3階まであり、本当に多くの書物が置かれているのだと分かった。

(ここにあるのって全部本だよね。さすが王宮図書館)

「こんなにあると探すのが大変そう」
「大丈夫ですよ。探しやすい様に本の種類で分類されているので。私達が向かうのは伝奇の棚かな。とりあえず受付に行って聞いてみようか」

 私が周囲を見渡しているとラインハルトが説明をしてくれて、まずは中央にある受付へと向かった。 

「これはラインハルト殿下! 本日はどのような件で」
「伝説の薬草『月下草』について書かれている本を探しに来たのですが、伝奇について記されている本の棚はどこにあるかな?」

 ラインハルトが聞くと、すぐに受付の者が案内してくれることになった。


***


「こちらになります。えーっと、月下草の本なら、たしかこの辺りに。あ、ありました。この本ですね!」
「見つかったみたいですね。案内ありがとう」
「あ、ありがとうございますっ!」

 そこには多くの伝奇について書かれた本が並んでいたが、月下草について書かれている本はたった1冊しかなかった。

「とりあえず見つかって良かったね」
「はいっ、早速見てみましょう!」

 私達はその本を持って机の方に移動すると、ラインハルトと隣り合うように座り、本をパラパラと捲り始めた。

『月下草、それはどんな病でも治せるという伝説の薬草。満月の光に照らされて咲き、月の雫が零れる。それを飲むとどんな病でもたちまち治るとされている』

「満月限定ってこと?」
「この本を見る限り、その様ですね」

「どこで咲くんだろう」
「場所については、詳しくは書かれていないみたいですね」

「私が昔読んだ絵本には、森の深いところって書いてあったような気がします」
「森か。たしかに人目に付かない場所って事を考えれば、森の奥深い所っていうのは強ち間違ってはいないかもしれないな」

 情報は思ったよりも少なかったけど、何も見つからなかったよりは全然いい。

(満月の日限定か。ってことチャンスは月に一度だけってことよね。次の満月の日に行ってみよう!)

「満月の日に森に入って探してきますね!」
「もしかして、一人でいくつもりですか?」

「はい!」
「夜の森に?」

 私が強気に返事を返すと、ラインハルトは僅かに目を細めた。

「大丈夫です。この辺の森って魔物の出現は無かったはずです」
「確かに森には魔物はいないけど、小さな少女が一人で森に。ましてや夜に行くのは感心出来ないな」

 ここでラインハルトに止められるなんて思ってもいなかったため、私は言葉に詰まってしまう。

「じゃあ誰か連れて行きますっ!」
「誰か、ね。誰を連れて行くのか聞いてもいいですか?」

「そ、それは……これから探しますっ!」

 私は引き攣った笑みを浮かべて誤魔化そうとした。
 咄嗟に答えてしまったが、そんな当てなどなかった。
 過保護のお父様に話せばきっと危険だと反対されるだろう。
 私に対してはかなりの心配性だから、許してくれるとは到底思えない。

(どうしよう……)

「ルティナ嬢の気持ちはとても有難いことです。だけどそれでもしルティナ嬢に何かあれば、きっとラフィーだって悲しむはずだ。だからあまり無茶な考えはしないでください」

 私だって、そんな事は分かっている。
 だけど今は悠長にを考えている余裕なんてない。
 ラフィーの体は日に日に弱まっているのは間違い無くて、そんな辛そうな姿をこれ以上は見たくはなかった。

 チャンスは月に1度だけ。
 その限られた時間で月下草を探さなくてはならないのだから。

(多少の無理は覚悟しているわ)

「分かっています、大丈夫です!」

 ラインハルトはじっと疑いの眼差しで私の顔を見つめていた。

「な、なにか?」
「私は、嘘を付いてる人間を見抜くのは割と得意なんです」

「……っ!?」

 私はその言葉を聞いて、ドキッとしてしまう。

「ふふっ、ルティナ嬢はすぐ顔に出るタイプのようだ」
「そ、そんなことはないですっ! 気のせいじゃないですか?」

 私が必死に笑顔を作っていると、ラインハルトは私に顔を近づけて来た。
 突然綺麗なラインハルトの顔が迫って来て、私の心臓はバクバクとうるさい程に鳴り始めた。
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