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第一章:幼少期(1)初めての友達と伝説の薬草
5.初めて出来た友達①
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昨日は久しぶりに歩き回った事と前日の寝不足がたたり、すぐに休んでしまった。
翌日、私は昨日の出来事を楽しそうにお父様に話していた。
「昨日はすごく楽しかったのっ! 行って良かったわ」
思い出すだけで胸が高鳴り、私は声を弾ませながら楽しそうに話していた。
「そうか。そんなに楽しめたなら良かったな」
「うんっ! それにね、すごく可愛いお友達が出来たの」
(そういえば私に友達っていたっけ? いなかった……。じゃあラフィーちゃんが初めてのお友達ってことか。あんな可愛い子が初めてのお友達だなんて素敵!)
「お父様、ラフィーって名前の子知ってますか? わたしよりも少し年齢は下の子で。どこの家の子か聞かなかったんだけど、多分良く王宮に遊びに来ている子だと思うんだけど」
「ラフィー?」
私は社交界にはまだ出たことも無いし、お茶会に参加するのも初めてだった為、ラフィーがどこの家の子か分からなかった。
父は私の言葉を聞いて僅かに目を細めた。
「お父様? 心当たりがあるんですか?」
「恐らくその子はラフィー王女のことじゃないか?」
「……王女?」
私は意外な言葉が返ってきた為、思わず聞き直してしまった。
「王宮にいてラフィーと言う名であるのなら、間違いないだろうな」
「…………」
父の言葉に絶句した。
確かにラフィーちゃんは可愛くて天使みたいだと思ったし、王女と言われたら納得は多分出来る。
私が動揺していると、お父様は顔を曇らせていた。
「ルティ、こんな事を言うのは心苦しいんだが。少しラフィー王女について話をさせてもらってもいいか?」
「……はい」
お父様の曇った表情から察するに、いい話ではないことは分かってしまった。
「ラフィー王女はラインハルト王子の3歳下になる妹君なんだが、昔から体がとても弱くてね。部屋から出ることは殆ど無く、ベッドの上で生活を送っているらしい。きっとルティが会った時は体調が良かったんだろうね」
「体が弱いって。でも昨日は普通に遊んでたわ。そんなに弱いの?」
「そうだね。状態は良くない方に進んでいるらしい。ラフィー王女の病を治す薬見つからないんだ。各地から優秀な医師を呼んで診てもらっても結果はいつも同じだそうだ。病名が分からないからこそ、治療する方法が分からない。それが病気なのか呪いなのかも分からない。そんな状態で手の打ちようがないそうだ。だけど病気は待ってはくれない。刻一刻と悪い方向へは進んでいて、最近は中々外に出る事も出来ないと聞いた」
「そん、なっ……」
私の声は震えていた。
昨日会ったラフィーちゃんは、私と何ら変わらないくらい元気そうに笑っていた。
あの時病気だなんて微塵も感じなかった。
(信じられない。そんな事……)
「わたし、王宮に行ってラフィーちゃんに会って来る!」
私は居ても立っても居られなくなり、席を立とうとした。
「ルティ、やめなさい。今の話を聞いて分かるだろう。ラフィー王女は昨日元気だったからと言って、今日も元気だとは限らない」
「で、でもっ……」
普段なら優しく答えてくれるお父様だが、今日は真面目な顔で私の事を止めていた。
私の瞳には涙が浮かび、耐えていなければ溢れてしまいそうだった。
「それなら手紙を書いてみたらどうだ? きっとラフィー王女も喜んでくれるんじゃないか?」
「手紙……? そうね。わたし、手紙書くわ!」
私は席を立ち、慌てる様に自室へと戻った。
***
自室に戻ると、私は机の上に置かれている花柄の便箋と睨めっこをしていた。
(なんて書こう)
あまり病気の事には触れない方が良いだろうし、この前の遊んだ時のお礼とか書けばいいのだろうか。
(お花の冠の作り方を教えてもらったことと、また遊ぼうって事を書けばいいかな)
私は置いてあるペンを手にすると、ゆっくりと書き始めた。
翌日、私は昨日の出来事を楽しそうにお父様に話していた。
「昨日はすごく楽しかったのっ! 行って良かったわ」
思い出すだけで胸が高鳴り、私は声を弾ませながら楽しそうに話していた。
「そうか。そんなに楽しめたなら良かったな」
「うんっ! それにね、すごく可愛いお友達が出来たの」
(そういえば私に友達っていたっけ? いなかった……。じゃあラフィーちゃんが初めてのお友達ってことか。あんな可愛い子が初めてのお友達だなんて素敵!)
「お父様、ラフィーって名前の子知ってますか? わたしよりも少し年齢は下の子で。どこの家の子か聞かなかったんだけど、多分良く王宮に遊びに来ている子だと思うんだけど」
「ラフィー?」
私は社交界にはまだ出たことも無いし、お茶会に参加するのも初めてだった為、ラフィーがどこの家の子か分からなかった。
父は私の言葉を聞いて僅かに目を細めた。
「お父様? 心当たりがあるんですか?」
「恐らくその子はラフィー王女のことじゃないか?」
「……王女?」
私は意外な言葉が返ってきた為、思わず聞き直してしまった。
「王宮にいてラフィーと言う名であるのなら、間違いないだろうな」
「…………」
父の言葉に絶句した。
確かにラフィーちゃんは可愛くて天使みたいだと思ったし、王女と言われたら納得は多分出来る。
私が動揺していると、お父様は顔を曇らせていた。
「ルティ、こんな事を言うのは心苦しいんだが。少しラフィー王女について話をさせてもらってもいいか?」
「……はい」
お父様の曇った表情から察するに、いい話ではないことは分かってしまった。
「ラフィー王女はラインハルト王子の3歳下になる妹君なんだが、昔から体がとても弱くてね。部屋から出ることは殆ど無く、ベッドの上で生活を送っているらしい。きっとルティが会った時は体調が良かったんだろうね」
「体が弱いって。でも昨日は普通に遊んでたわ。そんなに弱いの?」
「そうだね。状態は良くない方に進んでいるらしい。ラフィー王女の病を治す薬見つからないんだ。各地から優秀な医師を呼んで診てもらっても結果はいつも同じだそうだ。病名が分からないからこそ、治療する方法が分からない。それが病気なのか呪いなのかも分からない。そんな状態で手の打ちようがないそうだ。だけど病気は待ってはくれない。刻一刻と悪い方向へは進んでいて、最近は中々外に出る事も出来ないと聞いた」
「そん、なっ……」
私の声は震えていた。
昨日会ったラフィーちゃんは、私と何ら変わらないくらい元気そうに笑っていた。
あの時病気だなんて微塵も感じなかった。
(信じられない。そんな事……)
「わたし、王宮に行ってラフィーちゃんに会って来る!」
私は居ても立っても居られなくなり、席を立とうとした。
「ルティ、やめなさい。今の話を聞いて分かるだろう。ラフィー王女は昨日元気だったからと言って、今日も元気だとは限らない」
「で、でもっ……」
普段なら優しく答えてくれるお父様だが、今日は真面目な顔で私の事を止めていた。
私の瞳には涙が浮かび、耐えていなければ溢れてしまいそうだった。
「それなら手紙を書いてみたらどうだ? きっとラフィー王女も喜んでくれるんじゃないか?」
「手紙……? そうね。わたし、手紙書くわ!」
私は席を立ち、慌てる様に自室へと戻った。
***
自室に戻ると、私は机の上に置かれている花柄の便箋と睨めっこをしていた。
(なんて書こう)
あまり病気の事には触れない方が良いだろうし、この前の遊んだ時のお礼とか書けばいいのだろうか。
(お花の冠の作り方を教えてもらったことと、また遊ぼうって事を書けばいいかな)
私は置いてあるペンを手にすると、ゆっくりと書き始めた。
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