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30.新たな人生
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あれから数年の月日が流れていた。
私はルーカスが悪魔だということを信じている反面、どこかで違うかもしれないと疑っていた。
けれど、それは月日が流れるに連れて、真実だと思い知らされていくことになる。
私は安易な気持ちでルーカスと契約を交わしてしまった。
そのことにより、私はあの日から時間が止まったかのように全く見た目が変わらないまま過ごしている。
周りが変化していく中、自分がだけが十八歳の姿で。
こうなってくると、周りからは不審な目で見られたり、心配されることもある。
ルーカスが私のことを無理矢理連れて行かなかったのは、遅かれ早かれこうなることが分かっていたからなのだろう。
分かっていて、あえて私にはなにも言わなかった。
そういう卑怯なところは、やはり悪魔の考えなのだと思えてしまう。
とはいえ、彼との関係はあの日から大きくは変わっていない。
私たちは結構仲良くやっていると思うし、過ごした時間が長くなるに連れて彼に対しての恐怖心も殆ど感じなくなっていった。
それに彼は私と交わした約束をちゃんと守ってくれている。
私が彼の世界に行くと告げるまで、一切催促をしてこない。
本気で私を彼の世界に連れて行く気があるのか、と疑ってしまうほどに。
「ルーカス様」
「どうした?」
「私、まだこの世界にいたいです」
「そうか。いいんじゃないか?」
私が不意にそんな質問を投げかけると、彼はあっさりと答えた。
「ここにいられなくなったら、とりあえず世界を旅してみたいな」
「それも楽しそうだな」
「え? 旅してもいいんですか?」
「別に構わない。ミアと一緒に旅をするのは楽しそうだ」
冗談で言ったつもりだったのだが、予想外な答えが返ってきて私はきょとんとしていた。
「随分驚いた反応だな。俺がだめだとでも言うと思ったか?」
「だって、ルーカス様は私を向こうの世界に連れて行きたいんですよね?」
私が怪訝そうな顔で答えると、彼はふっと小さく笑った。
「いずれはそうするつもりだが、時間はいくらでもある。それに、この世界も意外と悪くはない。だから、ミアがしたいことは全てすればいい。俺はそれに付き合うから」
「それ、なんかすごく魅力的です!」
「そう言っていられるのも今だけかもしれないぞ? やることがなくなると退屈が苦痛になるからな」
「大丈夫です! その時は、一緒になにか面白いことを探しましょう?」
私がはしゃぎながら答えると、ルーカスは突然クスクスと笑い出した。
「くくっ、ミアは前向きだな。素直で前向きで、だからこそ俺はミアに惹かれた気がするよ」
「……っ」
ルーカスは優しい表情で私のことを見つめていた。
急にそんな顔をされるとドキドキしてしまう。
「ミアの人間としての人生を奪ってしまった責任は取るつもりだよ。だけど、その笑顔だけは守るつもりだから、ずっと俺の傍にいてくれるか?」
「……はい」
彼の言葉に私は嬉しそうにはにかみながら答えた。
最初は色々なことを考え過ぎて不安ばかり感じてしまったけど、今は違う。
ルーカスは悪魔だけど、私にはかなり甘いようだ。
意地悪なところはあるけど、基本的にいつも穏やかで優しい。
私で本気で嫌がることは決してしないし、いつも私のことを見ていてくれる。
そんな人……、ではなく悪魔だけど、他にはいないだろう。
彼に出会えて良かったと今では思っている。
乙女ゲームよりもドキドキするし、私はこの世界を十分満喫できているのだと思う。
これから先はどうなるのか分からないけど、私なりに思いっきり楽しんでいくつもりだ。
私の愛した悪魔とともに。
END
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より
長い間、更新を止めてしまっていた作品ですが、ようやく完結することが出来ました。
最後は魔界の話も入れようかと考えたのですが、このような終わりの方がハッピーエンドぽい感じで良いかなと思いこうなりました。
1話~29話まで読みやすいように修正を少しいれておきました。
文章の変更と加筆を加えてあります。
後半はほぼR回だった(笑)
最後の更新から2年以上経ってしまい、申し訳ないです。
そして、最後まで読んで頂きありがとうございました!
私はルーカスが悪魔だということを信じている反面、どこかで違うかもしれないと疑っていた。
けれど、それは月日が流れるに連れて、真実だと思い知らされていくことになる。
私は安易な気持ちでルーカスと契約を交わしてしまった。
そのことにより、私はあの日から時間が止まったかのように全く見た目が変わらないまま過ごしている。
周りが変化していく中、自分がだけが十八歳の姿で。
こうなってくると、周りからは不審な目で見られたり、心配されることもある。
ルーカスが私のことを無理矢理連れて行かなかったのは、遅かれ早かれこうなることが分かっていたからなのだろう。
分かっていて、あえて私にはなにも言わなかった。
そういう卑怯なところは、やはり悪魔の考えなのだと思えてしまう。
とはいえ、彼との関係はあの日から大きくは変わっていない。
私たちは結構仲良くやっていると思うし、過ごした時間が長くなるに連れて彼に対しての恐怖心も殆ど感じなくなっていった。
それに彼は私と交わした約束をちゃんと守ってくれている。
私が彼の世界に行くと告げるまで、一切催促をしてこない。
本気で私を彼の世界に連れて行く気があるのか、と疑ってしまうほどに。
「ルーカス様」
「どうした?」
「私、まだこの世界にいたいです」
「そうか。いいんじゃないか?」
私が不意にそんな質問を投げかけると、彼はあっさりと答えた。
「ここにいられなくなったら、とりあえず世界を旅してみたいな」
「それも楽しそうだな」
「え? 旅してもいいんですか?」
「別に構わない。ミアと一緒に旅をするのは楽しそうだ」
冗談で言ったつもりだったのだが、予想外な答えが返ってきて私はきょとんとしていた。
「随分驚いた反応だな。俺がだめだとでも言うと思ったか?」
「だって、ルーカス様は私を向こうの世界に連れて行きたいんですよね?」
私が怪訝そうな顔で答えると、彼はふっと小さく笑った。
「いずれはそうするつもりだが、時間はいくらでもある。それに、この世界も意外と悪くはない。だから、ミアがしたいことは全てすればいい。俺はそれに付き合うから」
「それ、なんかすごく魅力的です!」
「そう言っていられるのも今だけかもしれないぞ? やることがなくなると退屈が苦痛になるからな」
「大丈夫です! その時は、一緒になにか面白いことを探しましょう?」
私がはしゃぎながら答えると、ルーカスは突然クスクスと笑い出した。
「くくっ、ミアは前向きだな。素直で前向きで、だからこそ俺はミアに惹かれた気がするよ」
「……っ」
ルーカスは優しい表情で私のことを見つめていた。
急にそんな顔をされるとドキドキしてしまう。
「ミアの人間としての人生を奪ってしまった責任は取るつもりだよ。だけど、その笑顔だけは守るつもりだから、ずっと俺の傍にいてくれるか?」
「……はい」
彼の言葉に私は嬉しそうにはにかみながら答えた。
最初は色々なことを考え過ぎて不安ばかり感じてしまったけど、今は違う。
ルーカスは悪魔だけど、私にはかなり甘いようだ。
意地悪なところはあるけど、基本的にいつも穏やかで優しい。
私で本気で嫌がることは決してしないし、いつも私のことを見ていてくれる。
そんな人……、ではなく悪魔だけど、他にはいないだろう。
彼に出会えて良かったと今では思っている。
乙女ゲームよりもドキドキするし、私はこの世界を十分満喫できているのだと思う。
これから先はどうなるのか分からないけど、私なりに思いっきり楽しんでいくつもりだ。
私の愛した悪魔とともに。
END
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作者より
長い間、更新を止めてしまっていた作品ですが、ようやく完結することが出来ました。
最後は魔界の話も入れようかと考えたのですが、このような終わりの方がハッピーエンドぽい感じで良いかなと思いこうなりました。
1話~29話まで読みやすいように修正を少しいれておきました。
文章の変更と加筆を加えてあります。
後半はほぼR回だった(笑)
最後の更新から2年以上経ってしまい、申し訳ないです。
そして、最後まで読んで頂きありがとうございました!
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