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27.邪魔な者達①-sideルーカス-
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俺の本来の名前はルーカス・レイス・ローデンヴァルト。
吸血鬼ではあるが、魔界は退屈過ぎて度々人間界に来ては人に混ざり行動している。
魔界ではそれなりに名の知れた悪魔貴族だ。
そのため、人間界で陽の光を浴びても死ぬことはない。
ただ、喉の渇きについては、どうにも抑えることができない。
そこで俺は学園内にある温室で特殊な薔薇を栽培することにした。
魔界から持ってきた薔薇を一部植えて、喉の渇きを抑えている。
今人間界にいるのは、聖女がこの時代に現れたと予言を聞いたからだ。
聖女個人に対して興味を持っているわけではない。
極上と言われるその血がどれほどのものか、前々から一度味わってみたいと思っていた。
目的が果たせたら、この地を離れるつもりだった。
しかし、俺はミアを本気で手に入れたいと思うほど、惹かれてしまった。
こんな気持ちを誰かに抱いたのは初めてだし、まさか人間にここまで入れ込むなんて予想もしていなかった。
どんな手を使ってでも、ミアを手に入れたい。
いずれ彼女を俺の住む世界に連れ帰り、妻に迎え入れる。絶対に。
しかし、彼女は聖女であるが人間であるため、簡単に連れていくことはできない。
俺の住む世界は魔素に包まれているため、人間が立ち入ると直ぐに精神がおかしくなってしまう。
だからこそ、彼女の体を少しづつ俺に慣らしていかなければならなかった。
手間がかかり面倒ではあるが、彼女の心を手に入れるためなら努力は惜しまない。
魔界に帰ってもやることはないし、俺の世界での時間は無に等しいのだから、惜しむ理由などなかった。
それに彼女と過ごす時間は楽しくて、苦痛に思うことなんて一つもない。
最初は体から落としてしまおうと考えていたが、逆に恐怖を植え付けてしまったようだ。
俺のかけた魅了の魔法には、彼女は聖女であるためか殆どかからなかった。
だからこそ夢の中の出来事にして、少しづつ彼女の体に触れて俺の存在を慣らせていくことにした。
彼女が俺のことを好きだと言ってくれた時は、最初は信じられなかったが、本当に嬉しかった。
けれど、あの時の俺は感情が暴走して、初めてだというのに強引な抱きかたをしてしまった。
これは反省すべき点だと思っている。
彼女の体はまだ人間に近いため無理をさせてはいけないと頭では分かっているのだが、触れていると自分がどんどん強欲になって求めてしまうのも事実だ。
これは悪魔の特性であるため、治すのはなかなか難しい。
けれど、彼女に嫌われないためにも、少し抑えなければならない問題ではある。
俺はミアのことを心底愛している。
だからこそ、俺たちの邪魔をしようとする者は誰だって許さない。
***
「ローゼマリー・ドレヴィス嬢、こんなところに呼び出して俺に何の用かな?」
「貴方が、ルーカス様ね。私のことはご存知のようですね」
ある日の放課後、俺が教室から出ようとするとクラスメイトの一人に呼び止められ、白い封筒に入った手紙を渡された。
手紙には差出人は書かれてなく、渡してきたクラスメイトに聞くと「行けば分かる」とだけ言われ、その場では誰か教えてはくれなかった。
けれど、微かに手紙に残った匂いから、それが誰なのかはすぐに特定できた。
手紙を開くと『放課後、サロンにてお待ちしております』とだけ書かれていた。
面倒ではあったが、向こうから近づいてきてくれるのであれば、余計な手間が省けると思い俺は会いに行くことにした。
ローゼマリー・ドレヴィス。
公爵令嬢で聖女だと言われているようだが、本物の聖女であるミアの匂いを知れば、この女が偽物であることは言うまでもない。
きっと何か魅了のような魔法を使い、聖女になりすましているのだろう。
「ルーカス様は、ミアさんと恋人同士なのよね?」
「ミアは俺の婚約者だ。どうしてそんなことを聞くのか尋ねても?」
サロンに入ると、きつい香水の匂いを漂わせたローゼマリーと対面した。
そして唐突に俺たちの関係について聞いてきた。
「ミアさんの婚約者である、ルーカス様にこんなことを言って良いのか分からないのだけど……。ミアさん、私の婚約者のギル、いえ、ギルベルト殿下に気があるみたいなの」
「…………」
ローゼマリーの言葉に俺は怪訝そうに眉を顰めた。
「ミアさんは、浮気をしている可能性があるのよ。だから、その証拠を掴むために、ミアさんの近況報告を私に教えて欲しいの」
ローゼマリーは思い詰めた顔で、あたかも自分が被害者であるかのように訴えてきた。
正直、ミアを悪者に陥れようとするこの女に苛立ちを覚えたが、俺は感情を表に出さないように静か彼女の話を聞くことにした。
(まずはこの女の思惑を探るのが先か。まあ、大体想像は付くが……)
ミアがギルベルトを嫌っていることは知っている。
それに彼だけじゃない。
今、目の前にいるローゼマリーに、その弟のオリヴァー、そしてラファエル。この四人を避けるために俺はミアの婚約者のフリをすることになったのだから。
「証拠を掴んでどうするつもりだ?」
「勿論、この学園から追い出すつもりよ。あの子がいると落ち着かないのよ。私の未来を脅かす存在なの。ミアさんは」
ローゼマリーの言ってることが俺には良く分からなかった。
ミアはギルベルトには好意を持っていない。それで十分ではないのだろうか。
それに、ミアがローゼマリーに危害をもたらすような存在になるとはどうしても思えない。
なぜならミアは関わりたくないと、自ら避けているくらいだからだ。
放っておけば済む話ではないのだろうか。
どうして、この女は自分より地位の低いミアのことをここまで敵視しているのだろう。
(以前、ミアがこの女の婚約者に襲われそうになったことがあったが、それが理由か?)
話を聞いている限り、ローゼマリーがあの王子に執着しているのは間違いないなさそうだ。
嫌がらせであれ、好いた男が他の女に気を向けるのが許せないといったところだろうか。
「勿論、ただでとは言わないわ。ルーカス様が協力してくれるのなら、報酬は出すわよ」
「……報酬とは?」
「私のことを好きにしていいわ。ねえ、悪い話じゃないでしょ?」
ローゼマリーは俺に近づいてくると、俺の前髪を掻き分け真直ぐ見つめてきた。
良く見ているとローゼマリーの瞳の色が薄紫色に変わっている。
(ああ、そういうことか。これを使って他の奴らを惑わせたのだな)
恐らくローゼマリーが今使ったものは、魅了の類の魔法だろう。
この瞳を見つめていると、通常の人間であればローゼマリーの言葉が脳に響き、意思を書き換えられてしまうのだろう。
そしてこれにかかってしまうと、ローゼマリーの意のままに操られてしまうということになる。
ミアが俺の魅了にかからなかったことを考えると、彼女の術も避けられたのだろう。
吸血鬼ではあるが、魔界は退屈過ぎて度々人間界に来ては人に混ざり行動している。
魔界ではそれなりに名の知れた悪魔貴族だ。
そのため、人間界で陽の光を浴びても死ぬことはない。
ただ、喉の渇きについては、どうにも抑えることができない。
そこで俺は学園内にある温室で特殊な薔薇を栽培することにした。
魔界から持ってきた薔薇を一部植えて、喉の渇きを抑えている。
今人間界にいるのは、聖女がこの時代に現れたと予言を聞いたからだ。
聖女個人に対して興味を持っているわけではない。
極上と言われるその血がどれほどのものか、前々から一度味わってみたいと思っていた。
目的が果たせたら、この地を離れるつもりだった。
しかし、俺はミアを本気で手に入れたいと思うほど、惹かれてしまった。
こんな気持ちを誰かに抱いたのは初めてだし、まさか人間にここまで入れ込むなんて予想もしていなかった。
どんな手を使ってでも、ミアを手に入れたい。
いずれ彼女を俺の住む世界に連れ帰り、妻に迎え入れる。絶対に。
しかし、彼女は聖女であるが人間であるため、簡単に連れていくことはできない。
俺の住む世界は魔素に包まれているため、人間が立ち入ると直ぐに精神がおかしくなってしまう。
だからこそ、彼女の体を少しづつ俺に慣らしていかなければならなかった。
手間がかかり面倒ではあるが、彼女の心を手に入れるためなら努力は惜しまない。
魔界に帰ってもやることはないし、俺の世界での時間は無に等しいのだから、惜しむ理由などなかった。
それに彼女と過ごす時間は楽しくて、苦痛に思うことなんて一つもない。
最初は体から落としてしまおうと考えていたが、逆に恐怖を植え付けてしまったようだ。
俺のかけた魅了の魔法には、彼女は聖女であるためか殆どかからなかった。
だからこそ夢の中の出来事にして、少しづつ彼女の体に触れて俺の存在を慣らせていくことにした。
彼女が俺のことを好きだと言ってくれた時は、最初は信じられなかったが、本当に嬉しかった。
けれど、あの時の俺は感情が暴走して、初めてだというのに強引な抱きかたをしてしまった。
これは反省すべき点だと思っている。
彼女の体はまだ人間に近いため無理をさせてはいけないと頭では分かっているのだが、触れていると自分がどんどん強欲になって求めてしまうのも事実だ。
これは悪魔の特性であるため、治すのはなかなか難しい。
けれど、彼女に嫌われないためにも、少し抑えなければならない問題ではある。
俺はミアのことを心底愛している。
だからこそ、俺たちの邪魔をしようとする者は誰だって許さない。
***
「ローゼマリー・ドレヴィス嬢、こんなところに呼び出して俺に何の用かな?」
「貴方が、ルーカス様ね。私のことはご存知のようですね」
ある日の放課後、俺が教室から出ようとするとクラスメイトの一人に呼び止められ、白い封筒に入った手紙を渡された。
手紙には差出人は書かれてなく、渡してきたクラスメイトに聞くと「行けば分かる」とだけ言われ、その場では誰か教えてはくれなかった。
けれど、微かに手紙に残った匂いから、それが誰なのかはすぐに特定できた。
手紙を開くと『放課後、サロンにてお待ちしております』とだけ書かれていた。
面倒ではあったが、向こうから近づいてきてくれるのであれば、余計な手間が省けると思い俺は会いに行くことにした。
ローゼマリー・ドレヴィス。
公爵令嬢で聖女だと言われているようだが、本物の聖女であるミアの匂いを知れば、この女が偽物であることは言うまでもない。
きっと何か魅了のような魔法を使い、聖女になりすましているのだろう。
「ルーカス様は、ミアさんと恋人同士なのよね?」
「ミアは俺の婚約者だ。どうしてそんなことを聞くのか尋ねても?」
サロンに入ると、きつい香水の匂いを漂わせたローゼマリーと対面した。
そして唐突に俺たちの関係について聞いてきた。
「ミアさんの婚約者である、ルーカス様にこんなことを言って良いのか分からないのだけど……。ミアさん、私の婚約者のギル、いえ、ギルベルト殿下に気があるみたいなの」
「…………」
ローゼマリーの言葉に俺は怪訝そうに眉を顰めた。
「ミアさんは、浮気をしている可能性があるのよ。だから、その証拠を掴むために、ミアさんの近況報告を私に教えて欲しいの」
ローゼマリーは思い詰めた顔で、あたかも自分が被害者であるかのように訴えてきた。
正直、ミアを悪者に陥れようとするこの女に苛立ちを覚えたが、俺は感情を表に出さないように静か彼女の話を聞くことにした。
(まずはこの女の思惑を探るのが先か。まあ、大体想像は付くが……)
ミアがギルベルトを嫌っていることは知っている。
それに彼だけじゃない。
今、目の前にいるローゼマリーに、その弟のオリヴァー、そしてラファエル。この四人を避けるために俺はミアの婚約者のフリをすることになったのだから。
「証拠を掴んでどうするつもりだ?」
「勿論、この学園から追い出すつもりよ。あの子がいると落ち着かないのよ。私の未来を脅かす存在なの。ミアさんは」
ローゼマリーの言ってることが俺には良く分からなかった。
ミアはギルベルトには好意を持っていない。それで十分ではないのだろうか。
それに、ミアがローゼマリーに危害をもたらすような存在になるとはどうしても思えない。
なぜならミアは関わりたくないと、自ら避けているくらいだからだ。
放っておけば済む話ではないのだろうか。
どうして、この女は自分より地位の低いミアのことをここまで敵視しているのだろう。
(以前、ミアがこの女の婚約者に襲われそうになったことがあったが、それが理由か?)
話を聞いている限り、ローゼマリーがあの王子に執着しているのは間違いないなさそうだ。
嫌がらせであれ、好いた男が他の女に気を向けるのが許せないといったところだろうか。
「勿論、ただでとは言わないわ。ルーカス様が協力してくれるのなら、報酬は出すわよ」
「……報酬とは?」
「私のことを好きにしていいわ。ねえ、悪い話じゃないでしょ?」
ローゼマリーは俺に近づいてくると、俺の前髪を掻き分け真直ぐ見つめてきた。
良く見ているとローゼマリーの瞳の色が薄紫色に変わっている。
(ああ、そういうことか。これを使って他の奴らを惑わせたのだな)
恐らくローゼマリーが今使ったものは、魅了の類の魔法だろう。
この瞳を見つめていると、通常の人間であればローゼマリーの言葉が脳に響き、意思を書き換えられてしまうのだろう。
そしてこれにかかってしまうと、ローゼマリーの意のままに操られてしまうということになる。
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