上 下
21 / 30

21.行き過ぎた快楽※

しおりを挟む
「はぁっ、はぁっ……もう、むり……ぁああっ!!」
「もう数時間繋がったままだから、ミアもそろそろ限界か」

 あれから何時間も繋がったまま、ルーカスに責められ続けている。
 体からは力が抜け、声は枯れて、視界は涙で曇っていた。
 頭の奥はしばらく前からなにも考えられなくなるほどぼーっとしているが、再びくる快感の恐怖に胸はずっとドキドキと鳴り響いたままだった。

 行き過ぎた快楽は苦痛に変わるのだと身を持って知った。
 ルーカスは、あと何時間これを繰り返すつもりなんだろう。
 私は意識を飛ばすことも許されず、ただ何度も絶頂へと誘われる。

「もう、イきたく……ないっ」

 私は涙を流しながら、懇願するようにルーカスに頼んでも止めてはくれない。
 彼はやっぱり悪魔だ。

 ルーカスと繋がれた時は、感動するくらい嬉しかった。
 やっと心が通じ合って、ずっとこれからも一緒にいられると思うと幸福感で胸がいっぱいになった。

(ルーカス様のあれ、どうなってるの!? 絶対におかしいわ……。悪魔ってみんなそうなの!?)

「これを繰り返していれば、ミアは俺のことしか考えられなくなるだろう? 俺はね、ミアの頭の中から俺以外の存在を消し去りたいんだよ」
「……どう、して?」

「そんなの決まっている。ミアには俺以外は必要ないって思わせたいからな。俺以外のものなんてなくしてしまえばいい。そう思うまでは毎日こうやって抱き潰すから」
「い、いやっ……、というより無理だからっ!」

 ルーカスは口端を上げ、欲望に満ちた表情を浮かべていた。
 その言葉を聞くと私は急に怖くなり、泣きそうな顔で否定してしまった。

「いや? 今、嫌って言ったのか?」
「……っ」

「何が嫌なのか、俺に詳しく教えて欲しいな」
「毎日なんて無理っ……私が壊れちゃうっ!」

 私が困った声で答えると、ルーカスはくつくつと喉を鳴らして笑い出した。

「な、何がおかしいの?」
「だって、俺はミアの心を壊すためにそうしているからね。嫌なら、早く俺に堕ちてきて」

 ルーカスは息がかかる程の距離まで顔を寄せると、鋭い眼光で私のことを捉えた。

「ああ、ミアの唇震えているね。怖がらせてしまったかな。ごめんね」
「……っ、い、いやっ……」

 唇に口づけられる瞬間、私は顔を傾け避けてしまった。
 これは恐怖心から、体が勝手に反応してしまったようだ。

「少し意地悪なことをいい過ぎてしまったようだね。ごめん……。だけど、ミアに避けられると寂しい」
「あ……ごめんな、さいっ……」

 切なそうな表情を浮かべるルーカスを見ていると、やるせない気持ちになってしまい、つい謝ってしまう。
 するとルーカスは私の両頬を包むように触れ、そのまま唇を重ねた。

「ミア、愛してる。俺はミアだけのものだ。だからミアも俺だけのものになって欲しい」
「……んっ」

 そのキスは触れるだけの優しいものだった。

 ルーカスに好きだと言われるとやっぱり嬉しい。
 私の心はすでに彼に奪われてしまったから、拒むことなんてできないことも分かっている。
 けれど、時々ルーカスが怖いと思ってしまう時もある。
 そんなことを考えると、この先一緒にいていいのか不安に思ってしまう。

 私の心は揺れていた。
 いくら考えたところで引き返すことも、逃げることもできないことは理解しているつもりだ。
 ルーカスの優しい言葉をそのまま鵜呑みにして、信じてしまった私は馬鹿なのだろう。

 今思えば、全て彼が巧妙に仕掛けた罠だったのかもしれない。
 私はなにも知らずにその罠にはまってしまった。
 悪魔がなにを考えているのかなんて、きっと私には一生分からないのだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を捕まえにきたヤンデレ公爵様の執着と溺愛がヤバい

Adria
恋愛
かつて心から愛しあったはずの夫は私を裏切り、ほかの女との間に子供を作った。 そのことに怒り離縁を突きつけた私を彼は監禁し、それどころか私の生まれた国を奪う算段を始める。それなのに私は閉じ込められた牢の中で、何もできずに嘆くことしかできない。 もうダメだと――全てに絶望した時、幼なじみの公爵が牢へと飛び込んできた。 助けにきてくれたと喜んだのに、次は幼なじみの公爵に監禁されるって、どういうこと!? ※ヒーローの行き過ぎた行為が目立ちます。苦手な方はタグをご確認ください。 表紙絵/異色様(@aizawa0421)

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

豹変したお兄様に迫られました【R18】

Rila
恋愛
■ストーリー■ 幼い頃、突然両親が事故で他界してしまい、公爵家の養子として迎えられたフィリーネ。 新しい両親からは本当の娘のように愛され、兄であるルシエルとも良い関係を築いていた。 しかし、フィリーネの婚約話が出た時から、優しくて大好きだった兄の様子がおかしくなる。 フィリーネの心の奥にはずっと秘めた想いがあり、ルシエルに迫られて、もしかして両想いなのでは!?と浮かれてしまう。 しかし、父から『ルシエルは妹を救えなかったことを未だに悔やんでいる』と聞かされる。 フィリーネに過剰な感情を向けてくるのは、亡き妹の身代わりだと思い込み、強い後悔からそれが歪んだ形に変わってしまったのではないかと説明される。 このままルシエルの傍にいればフィリーネまでおかしくなるのではないかと心配した父は、婚約を早く進めようと考えているようだが……。 絶対に手放したくないルシエルは、戸惑うフィリーネの心に何度も付け入ろうとしてきて翻弄させてくる。 今回は少しシリアス寄りの話?になるかもしれません。でも基本は多分甘々です。 強引に責められる場面が多くなる予定なので、苦手な方はご注意ください。 ***補足説明*** R18作品になります。ご注意ください。 前戯~本番※(キスや軽いスキンシップには入れていません) 更新は不定期になります。

【完結】勇者の幼馴染ですがパーティーを勝手に抜けたら、ヤンデレ化してどこまでも追いかけて来た【R18】

Rila
恋愛
■ストーリー■ ラナは幼馴染であり勇者のルイスに幼馴染だという理由だけでパーティーに入れてもらっている。 完全にお荷物状態であることを気にしてるラナは抜ける事を決意する。 置手紙を残して勝手に勇者パーティーを抜けたら、何故かヤンデレ化した勇者がどこまでも追いかけてくる話。 全25話で完結になります。 ***補足説明*** R18です。ご注意ください。(R18部分は※をつけてます) 基本的に前戯~本番※ キスのみにはつけてません。 2021.08.08 完結しました。 最後まで読んでくださった方々ありがとうございました! *ムーンライトノベルさんの方での掲載も始めました*

【R18】ヤンデレ侯爵は婚約者を愛し過ぎている

京佳
恋愛
非の打ち所がない完璧な婚約者クリスに劣等感を抱くラミカ。クリスに淡い恋心を抱いてはいるものの素直になれないラミカはクリスを避けていた。しかし当のクリスはラミカを異常な程に愛していて絶対に手放すつもりは無い。「僕がどれだけラミカを愛しているのか君の身体に教えてあげるね?」 完璧ヤンデレ美形侯爵 捕食される無自覚美少女 ゆるゆる設定

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

ヤンデレ義父に執着されている娘の話

アオ
恋愛
美少女に転生した主人公が義父に執着、溺愛されつつ執着させていることに気が付かない話。 色々拗らせてます。 前世の2人という話はメリバ。 バッドエンド苦手な方は閲覧注意です。

処理中です...