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54.求め合う④※

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 ヴィムの指と舌で何度もイかされ続け、私はぐったりとベッドに横たわっていた。

「はぁっ……、はぁっ……」

(お、終わったの……?)

 ヴィムの動きが完全に止まり、私は浅い呼吸を繰り返しながら内心ほっとしていた。
 何度も絶頂を繰り返していたせいで、体全身が火照る様に熱いし、額からは汗が滲んでいる。

「アリーセ、ぐったりしているところ悪いけど、体勢変えるぞ」
「……っ、はい」

 不意にヴィムの声が響いて来て、思わずドキッとしながら返事をした。
 ヴィムに手伝って貰いながら体を反転させ、今度は仰向けに寝かされる。
 その時ヴィムと視線が合ってしまい、急にドキドキしてしまう。

「やっとアリーセの顔が見れたな。やっぱり俺はお前の顔を見ながらしたい」
「わ、私も……。私も、ヴィムの顔を見ながらがいい……」

 ヴィムの言葉を聞いて鼓動が速くなり、私は恥ずかしそうに答えた。
 ヴィムは微笑み、顔をこちらに近づけて来た。
 そして額にそっと口付けられる。

「顔が若干赤いのは火照りだけではないよな?」
「……はい」

「今は素直に認めるんだな。緊張しているのか?」
「少し……」

 本当は少しなんてものじゃない。
 どうにかなってしまいそうなくらい私の鼓動は激しくなっていて、ヴィムの顔を見ると先ほどの恥ずかしい行為を思い出してしまい、顔の奥が再燃するかのように熱を増していく。
 だけどその中にもほんの少しだけ好奇心があって、これからされることに期待している自分がいる。

「そうか。ここ、かなり解したつもりだが、それでも多分痛みは感じると思う」
「……っ、大丈夫」

 ヴィムの指が再び私の蜜口に触れて、思わずぴくっと体を反応させてしまう。
『大丈夫』と答えてしまったが、最初が痛いものだと言う事は聞いていたので何となく理解はしていた。
 それに多少の痛みよりも、ヴィムと繋がりたいと言う気持ちの方が強かった。

(痛いかもしれないけど、ヴィムとやっと繋がれるんだもの。それくらい我慢出来るはずよ……)

「なるべくゆっくり挿れるから、暫くの間だけ我慢していてくれるか?」
「はい……」

 私は覚悟を決めるようにして頷いた。
 先程よりも明らかに鼓動の音は大きくなっている。

 何気なくヴィムの下半身の方にちらっと視線を向けると、そこには硬く勃起し凶器の様に見える肉竿がお腹の方にまで反り返っていた。
 浴場で見た時よりも明らかに質量が増している様な気がして、私は息を呑んだ。

(なにあれ……。さっき見た時よりも大きくなってない……?)

「アリーセが落ち着くまで挿れないから、暫く休んでいて」
「え?」

 休んでいてと予想外な言葉が聞こえて、私はきょとんとした顔をしてしまう。
 ヴィムはその間に私の足元の方に移動し、私の膝を持ち上げ抱えるような状態にさせた後、大きく左右に割り開く。
 またこんな格好にされてしまい恥ずかしかったが、大人しくその様子を眺めていた。

「今度は暴れないんだな」
「……だって、これからヴィムと……」

「繋がるんだよな。だけど、その前にここに俺のをこうやって擦り付けて馴染ませていくから、アリーセは少し気持ち良くなろうか」
「……ぁっ、んっ……それ、きもち、いい……」

 ヴィムの熱くなった先端が私の中心に触れ、ゆっくりと往復する様に滑っていく。
 お互いが擦れ合う度に快感が生まれ、私の口端からは甘ったるい声が漏れてしまう。

「気持ちいいか?」
「すごく、いい……。これ、好きかもっ」

 私が素直に答えるとヴィムは何処か満足げに笑っていた。

「好きか、それは良かった。俺もこうしているとすごく気持ちがいい」
「ほんと……? じゃあいっぱいして」

「いっぱいか、いいよ。アリーセが望むだけしてやる。だけど今はイくのは我慢しとけよ。これはアリーセにとっては休憩なんだから、ここでバテても後で止めてやらないぞ」
「はぁっ、わかっ……た……ぁっ、ん……」

 ヴィムの声は聞こえていたが、余りに気持ちが良すぎて聞き流す様に耳から抜けて行った。
 私は無意識で腰を揺らし、気持ち良い場所に当たる様に自ら動いていた。
 ヴィムはその事には気付いている様子だったが、敢えて何も言わず黙って続けている。

(これ、気持ち良すぎ……。ヴィムも気持ち良さそうだし、私これ本当に好きかも)

 今までは私しか気持ち良くなっていなかったが、これはお互いが気持ち良くなれる行為だと知り胸が高鳴った。
 一人よりも一緒に気持ち良くなりたい。

 私がそんな甘い快楽に溺れていると、突然ヴィムの動きが止まった。

「アリーセ、そろそろいいか?」
「……は、はいっ」

 ヴィムは僅かに息を荒くさせ、熱を帯びた視線をこちらに向けていてドキッとしてしまう。
 まるでもう我慢出来ないと言っている様に見えて、私を求めてくれることにどこか嬉しさを感じてしまう。
 それに漸くこの時が来たのだと、私の興奮は最高潮に達していた。

(ついに、ヴィムと繋がるのね。嬉しいな……)

「ヴィム、来て……」

 私は興奮を抑えられなくなり、思わずそんな言葉を漏らしてしまう。

「お前、こんな時に煽るなよ」
「だって、早くヴィムと……繋がりたくて……」

 ヴィムは困った様に溜息を漏らしていた。

「だけどこんなにもアリーセが俺を欲してくれるのが分かって嬉しいよ。なるべく痛くない様にするから、アリーセは出来るだけ力は抜いていて」
「……はい」

 私が頷くと、ヴィムの熱塊が私の蜜口に押し当てられる。
 そしてその一点に力を注ぐ様に、強引に中へと侵入して来る。
 明らかに容量が合っていないものを受け入れようとしているのだから、入り口には裂けてしまいそうな程の衝撃が走る。

(……っ!? 痛い、こんなに痛いものなの……!?)

 それは想像以上の痛みだった。
 最初はそれに驚き、思わず「痛い」と言葉を漏らしてしまいそうになった。
 だけどもしそう口に出してしまえば、もしかしたらヴィムはここで止めてしまうかもしれない。
 そうならない様に必死に耐えていたが、痛みを感じる度に表情だけはどうやっても歪んでいってしまう。

「アリーセ、痛いよな。ごめん」
「だい……じょうぶっ……っ……」

 私は僅かに顔を左右に振り、必死に笑顔を作ろうとしながら答えていたが、ちゃんと笑顔が作れていたのかは分からない。

「力、もう少し抜けるか?」
「……む、り……っ」

 痛みが強すぎて力の抜き方なんてもう分からなかった。
 私が耐えていると、ヴィムは動くのを止めて体を私の方へと倒して来た。
 気付けば目の前にヴィムの顔があった。

「終わったの?」
「いや、まだ全部は入っていない」

 一瞬私は明るい顔をしてしまうが、ヴィムの言葉を聞いて表情を曇らせる。

「私なら大丈夫だからっ……」
「本当は痛いんだろ?そう言うところは我慢しないで言っていいんだぞ」

 私が慌てる様に答えるとヴィムは困った様に苦笑し、私の目元にそっと口付けした後涙を舐めとった。
 私は全く気付いてはいなかったが、どうやら涙を流していた様だった。

「本当に大丈夫だから、お願い……止めないで。私、ヴィムと繋がりたいのっ! 痛いのなら我慢するからっ」

 私は懇願する様に必死に頼んでいた。

(こんな中途半端に終わってしまうなんて絶対にいや。やっとここまで来れたんだから……)

「落ち着け、俺もここで止める気は無い」
「ほんと……に?」

「ああ、本当だ。少しでもアリーセが痛みから意識を逸らせるように今からキスをするから、そっちに集中出来るか?」
「……やってみます」

「それなら口を開けて、いつもの様に舌を出して」
「……んぅっ、はぁっ……」

 私が口を薄く開いて舌先を伸ばすと、すぐにヴィムによって唇を塞がれ舌を絡めとられる。

「いい子だな。その調子でキスに意識を向けとけよ」
「んんっ、は、いっ……ん、はぁっ……」

 お互いの熱くなった舌先が絡み合う度に、咥内の温度が上昇して行く。
 私は夢中でヴィムの舌に絡める様にしてキスに没頭して行く。
 それは私の心の声であるかのように、激しく貪るようにヴィムの事を求めていた。

 キスをしている事で意識を上手くそちらに向かせることが出来て、先程よりも痛みは薄くなったような気がしていた。
 それに歪ませた顔をヴィムに見せずに済んだと言うことに、どこかほっとしていた。
 そのことで先程よりも力を抜くことが出来たのかもしれない。
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