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5.意外な展開①
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あの後部屋に戻った私は、勢いであんなことを言ってしまったことを少しだけ後悔していた。
二人に裏切られていたことは、許しがたいものではあった。
だけど私がルシアノを好きだったことは事実であり、今だって強がってはいるが嫌いになったわけでは無かった。
簡単に嫌いになれる位なら、ニ年前ルシアノの気持ちを知った時点で問い詰めていたはずだ。
そんな事もせず馬鹿みたいに信じて二年待ったのは、それだけルシアノの事が好きで離れたくなかったからだろう。
(私の何がダメだったのかな……)
そんな事を考えると溜息ばかりが出て来てしまう。
だけど言ってしまったことは取り消す事なんて出来ないし、二人が思い合っていることを知ってしまった以上、ルシアノの事をもう思うのはやめようと心に決めた。
幾ら思っていても私の一方通行であり、決して思いは伝わらないと気付いたからだ。
***
それから数日が過ぎた頃、屋敷にルシアノがやって来た。
手には抱えきれない程の花束を持っていた。
私との婚約を白紙に戻し、ニコルとの婚約を結ぶお祝いとして持って来たのではないかと思っていた。
「アリー、遅くなってごめん」
「ニコルなら自室にいるわ」
たまたま大広間にいた私はルシアノに掴まってしまい、嫌そうに顔を顰めた。
そんな私の顔を見てルシアノは一瞬悲しそうな顔を浮かべるも、直ぐに表情を戻した。
「今日はアリー、君に会いに来たんだ」
「……? あの話をしに来たんですか?」
あの話というのは私達の婚約解消の話だ。
「その前にもう一度、君とちゃんと話をしたいと思って……」
「話す事なんてもう何もないはずです」
私はルシアノを睨みつける様に静かに答えた。
そんな時、タイミング悪く母が通りかかってしまった。
母はルシアノを見つけると嬉しそうな顔で近づいて来た。
「あら、ルシアノ様、いらしていたのね」
「プラーム夫人、急に来てしまい申し訳ありません」
「そんなことはないわ。アリー会いに来たんでしょ? それに素敵な花束ね、アリーの好きな花ばかりね」
「アリーには迷惑をかけてしまったので……」
「そうなの? だけどいつも良くしてくださっているのだし、気にしなくて良いわ。ね、アリーだって怒っているわけではないんでしょ?」
「え……? それは……」
突然私に話を振られてしまい困った顔を浮かべていると、今度はニコルがやって来た。
「ルシ様、来られていたんですね!」
「うん……」
「素敵なお花。お姉様、良かったですねっ!」
ニコルは何も無かったかの様ににっこりと微笑んでいた。
私だけが腑に落ちない顔をしていて、他の3人は仲良さそうに話している。
何も知らない母の態度は分かるが、ルシアノとニコルの様子に私は困惑していた。
「ニコル、邪魔しちゃだめよ。ルシアノ様はアリーに会いに来たのだから」
「分かっていますわ、お母様。私は声が聞こえたから挨拶に来ただけよ」
「そう、それならいいわ。アリーも早くルシアノ様を部屋に案内してあげなさい。いつまでもここで待たせておくのは失礼よ」
「は、はい…」
母に強く言われてしまい、私は渋々部屋にルシアノを招き入れることになってしまった。
本当は二人きりで話したくは無かった。
だから用件だけ済ませて直ぐに帰ってもらおうと考えていた。
二人に裏切られていたことは、許しがたいものではあった。
だけど私がルシアノを好きだったことは事実であり、今だって強がってはいるが嫌いになったわけでは無かった。
簡単に嫌いになれる位なら、ニ年前ルシアノの気持ちを知った時点で問い詰めていたはずだ。
そんな事もせず馬鹿みたいに信じて二年待ったのは、それだけルシアノの事が好きで離れたくなかったからだろう。
(私の何がダメだったのかな……)
そんな事を考えると溜息ばかりが出て来てしまう。
だけど言ってしまったことは取り消す事なんて出来ないし、二人が思い合っていることを知ってしまった以上、ルシアノの事をもう思うのはやめようと心に決めた。
幾ら思っていても私の一方通行であり、決して思いは伝わらないと気付いたからだ。
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それから数日が過ぎた頃、屋敷にルシアノがやって来た。
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たまたま大広間にいた私はルシアノに掴まってしまい、嫌そうに顔を顰めた。
そんな私の顔を見てルシアノは一瞬悲しそうな顔を浮かべるも、直ぐに表情を戻した。
「今日はアリー、君に会いに来たんだ」
「……? あの話をしに来たんですか?」
あの話というのは私達の婚約解消の話だ。
「その前にもう一度、君とちゃんと話をしたいと思って……」
「話す事なんてもう何もないはずです」
私はルシアノを睨みつける様に静かに答えた。
そんな時、タイミング悪く母が通りかかってしまった。
母はルシアノを見つけると嬉しそうな顔で近づいて来た。
「あら、ルシアノ様、いらしていたのね」
「プラーム夫人、急に来てしまい申し訳ありません」
「そんなことはないわ。アリー会いに来たんでしょ? それに素敵な花束ね、アリーの好きな花ばかりね」
「アリーには迷惑をかけてしまったので……」
「そうなの? だけどいつも良くしてくださっているのだし、気にしなくて良いわ。ね、アリーだって怒っているわけではないんでしょ?」
「え……? それは……」
突然私に話を振られてしまい困った顔を浮かべていると、今度はニコルがやって来た。
「ルシ様、来られていたんですね!」
「うん……」
「素敵なお花。お姉様、良かったですねっ!」
ニコルは何も無かったかの様ににっこりと微笑んでいた。
私だけが腑に落ちない顔をしていて、他の3人は仲良さそうに話している。
何も知らない母の態度は分かるが、ルシアノとニコルの様子に私は困惑していた。
「ニコル、邪魔しちゃだめよ。ルシアノ様はアリーに会いに来たのだから」
「分かっていますわ、お母様。私は声が聞こえたから挨拶に来ただけよ」
「そう、それならいいわ。アリーも早くルシアノ様を部屋に案内してあげなさい。いつまでもここで待たせておくのは失礼よ」
「は、はい…」
母に強く言われてしまい、私は渋々部屋にルシアノを招き入れることになってしまった。
本当は二人きりで話したくは無かった。
だから用件だけ済ませて直ぐに帰ってもらおうと考えていた。
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