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第一章:聖女から冒険者へ
45.独占したい①
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「ルナ、そのまま私にちゃんと掴まっていてね」
「……うんっ」
イザナの首に掴まると、それが合図のように彼は私のことを横向きに抱き上げた。
ベッドまでは目と鼻の先であり数歩進めば着く距離であるのに、ドキドキし過ぎているせいかその時間がとても長く感じていた。
自分の鼓動の音がドクドクとうるさいほどに響いている。
(イザナに抱かれるの、久しぶりな気がする……)
今、私の心を支配している感情は、恐らく期待と興奮なのだろう。
「どうしたの? ルナの顔、随分と真っ赤だね」
「そ、そんなことないよっ!」
指摘されると更に恥ずかしさが増してきて、私はイザナから視線を逸らした。
そんな事をしていると、あっという間にベッドに辿り着き、イザナはゆっくりと私の体をベッドに下ろしてくれた。
私の胸は高鳴り、期待から切な気な視線を送ってしまう。
もう何度もイザナには抱かれているはずなのに、この瞬間の恥ずかしさには全然慣れる気がしない。
「ルナ、顔が赤いのは風邪のせいではないよね」
「……んっ、はぁっ……」
ベッドに倒されると、直ぐにイザナの顔が降りてきて唇を塞がれる。
私は両手を伸ばしてイザナの首に腕を絡ませた。
「可愛いな。もっとキスが欲しい?」
「う、ん……、だめ、かな?」
唇を剥がされると息がかかる程の距離でイザナに見つめられ、私は瞳を揺らしながら恥ずかしそうに問いかけた。
私がキスを欲しがっているのを知っていて、敢えて聞いて来ていることは分かっている。
だけど、もう焦らされたくはない。
「そんな可愛い顔でお願いされたら断れないな。ルナが満足するまでしてあげるよ」
「……っ、……ん」
イザナはクスッと小さく笑うと、角度を変えながら啄むようなキスを繰り返していく。
キスを重ねる毎に、体中の温が上がって行くのがはっきりと分かる。
これはきっと私が興奮している証拠だ。
「ルナ、先に服を脱ごうか。早くルナに触れたい……」
「……っ、うんっ」
イザナに「手を上げて」と言われ、恥ずかしそうに両手を上げると彼は一枚づつ私の服を脱がせていく。
この街は寒く、実際に私は風邪を引いてしまったこともあり、今日は沢山着込んでいた。
「随分着ていたんだな。ルナはこんなにも寒がりだったか?」
「うん。それもあるけど、また風邪が悪化しないようにと考えていたら、ちょっと着過ぎちゃったみたい」
私は苦笑しながら答えた。
実はイザナを探し歩いている間、少し暑かったことを思い出した。
下着まで全て脱がされ生まれたままの姿になると、私は恥ずかしくて体を縮こませていた。
するとイザナは「寒いか?」と心配そうに聞いて来たので、私は大丈夫だと伝えた。
この世界にはエアコンなどの電化製品は無いが、室内は魔法で適温に保たれている為、外の冷気を感じることなく快適に過ごせるようになっている。
しかしこの地は特に寒いので、暖炉も常設されているところが多いようだ。
私が全て脱ぎ終えると、続けて彼も服を脱いでいった。
お互い裸同士になると更に恥ずかしさが増してくる。
私はイザナが服を脱いでる間、ベッドの上で身を屈める様に座っていると、不意にイザナと目が合った。
「そうやってちょこんと座っている姿を見ると、抱きしめたくなるな」
「え、……っ」
急にそんな事を言われると恥ずかしくなり、私の顔は徐々に赤く染まっていく。
(そんな不意打ちしないでっ……。ただでさえ恥ずかしいのにっ……)
私はそんなことを心の中で叫んでいた。
「ふふっ、照れているの? 可愛いな。本当に、ルナはいつまで経っても恥ずかしがりのところは治らないね」
「……っ、イザナが急に変なことを言うからだよっ!」
私は恥ずかしくて、ついムキになって言い返してしまう。
「前にも言ったけど、私はルナが恥じらっている顔を見るのが結構好きなんだよ。でも、今からは違う意味で、ルナのことをいじめようかな」
「……っ」
イザナは口端を僅かに上げて、意地悪そうに笑っていた。
私は困ったように眉を寄せて瞳を揺らす。
「ルナ、もう一度横になろうか。そのままだと触ってあげられないよ」
「……っ、うん」
イザナは私のことを抱きしめるようにして身を寄せると、耳元で艶のある声を上げて誘惑してくる。
私は早く彼に触って欲しくて、言われるがまま仰向けになった。
「いい子だね」
それから間もなくして、イザナが私の体の上に覆い被さってきた。
イザナの長い髪が私の首元に触れ、なんだか擽ったい。
「暫くの間、ルナに触れていなかったから、私が付けた痕は綺麗に消えているね」
「……っ」
彼はそう小さく呟くと、私の首筋に長い指を這わせていく。
指の感覚だけだというのに、少しの緊張から強張っていた私の体は過剰に反応してしまうようだ。
「私が少し指を滑らせると、ルナの体がビクビクと震えているね。また体中に私のものである証を刻まないといけないね」
「……っぁ、んぅ」
彼は先程指でなぞっていた首筋に、今度は唇を這わせて食むように優しく触れていく。
時折ちゅっと言うリップ音が響き、肌を深く吸い上げられる。
チクっとした鋭い感覚の後に襲って来る、甘い痺れるような快感。
何度も繰り返されているうちに、私の口元からは熱の篭った吐息が漏れ始める。
(私のものである証、か。私も、イザナに付けたいな。そうしたら、他の女の人も寄って来なくなるかな……)
甘い快楽を味わいながら、頭の中でそんなことを思い浮かべていた。
「イザナ……」
「どうしたの?」
「私も、イザナに痕を付けたい……」
思い切って口にしてしまったが、言い終わった後羞恥心に苛まれる。
私の頬は火照るようにどんどん熱を持って行く。
イザナは顔を上げると、少し驚いた表情を浮かべてこちらを見ている。
きっと私がこんな大胆な発言をするなんて、思っても見なかったのだろう。
勿論、言った私自身も驚いているくらいだ。
(は、恥ずかしい……っ!!)
イザナは暫くの間私の瞳をじっと見つめていた。
何も発せず、黙ったままの状態でいられると、余計に恥ずかしくなってしまう。
私は戸惑いから、視線を逸らそうとした。
「今日のルナは積極的だね。それはすごく嬉しいな。どこに付けてくれるの?」
「じゃあ、見える所にっ」
私は特に考える事もなく、咄嗟に答えてしまった。
「へえ……。それは私がルナのものだって分かる様に?」
「うん……。……っ!? ち、違っ! ……違わないけど」
私は自分が言った言葉に恥ずかしくなり、混乱から慌て始めてしまう。
(私、何言ってるの。これって、まるで独占したいって言っているみたいだよっ!)
間違ってはいないが、恥ずかし過ぎて泣きたくなった。
「ふふっ、そんなに照れて可愛いな。それじゃあ、私が仰向けになるから、ルナは付けたい所に好きなだけ付けていいよ」
「好きなだけ? ほ、本当に……?」
イザナはあっさりと答えたので、私は少し戸惑ってしまう。
だけど、受け入れられたのが嬉しくて、次第に表情が緩んでいく。
イザナは優しく微笑んで「本当だよ」と言った。
それからイザナは一度私から離れて仰向けに寝てくれたので、私は直ぐ隣に座り彼の姿を上から見下ろしていた。
普段見られない光景に、少し違和感を抱いていた。
しかし、彼の体の上に乗ってもいいものかと悩み始めてしまうと、次の行動に移せなくなってしまった。
私は暫くそのままじっとしていた。
(上に乗ったら重いかな……)
「ルナ、そんなに見つめてどうしたの? まずは視姦で責めるつもりなのかな?」
「え? 視かっ……ち、違うよっ!!」
私が慌てるように答えると、イザナはクスクスと笑って「冗談だよ」と告げた。
「……っ、上に乗ってもいい?」
「うん、いいよ。おいで」
私が控えめに尋ねると、彼は私の前に手を差し出した。
その手を取って、私は彼のお腹の下辺りにちょこんと座った。
「……重くない?」
「ルナは小さくて軽いから、そんなことは気にしなくていいよ。それよりも、もっとこっちにおいで」
繋がれた手をグイっと引き寄せられ、突然のことに驚いた私の体は揺らめく。
そのまま彼の体に被さるような形で倒れて込んでしまった。
お互いの体がぴったりとくっついた状態になり、私は更に取り乱してしまう。
「……っ、わああっ! ご、ごめんっ……」
「ふふっ、ルナに襲われているみたいだね。こういうのも面白いね」
焦っている私とは違い、イザナは楽しんでいる様子だった。
「……うんっ」
イザナの首に掴まると、それが合図のように彼は私のことを横向きに抱き上げた。
ベッドまでは目と鼻の先であり数歩進めば着く距離であるのに、ドキドキし過ぎているせいかその時間がとても長く感じていた。
自分の鼓動の音がドクドクとうるさいほどに響いている。
(イザナに抱かれるの、久しぶりな気がする……)
今、私の心を支配している感情は、恐らく期待と興奮なのだろう。
「どうしたの? ルナの顔、随分と真っ赤だね」
「そ、そんなことないよっ!」
指摘されると更に恥ずかしさが増してきて、私はイザナから視線を逸らした。
そんな事をしていると、あっという間にベッドに辿り着き、イザナはゆっくりと私の体をベッドに下ろしてくれた。
私の胸は高鳴り、期待から切な気な視線を送ってしまう。
もう何度もイザナには抱かれているはずなのに、この瞬間の恥ずかしさには全然慣れる気がしない。
「ルナ、顔が赤いのは風邪のせいではないよね」
「……んっ、はぁっ……」
ベッドに倒されると、直ぐにイザナの顔が降りてきて唇を塞がれる。
私は両手を伸ばしてイザナの首に腕を絡ませた。
「可愛いな。もっとキスが欲しい?」
「う、ん……、だめ、かな?」
唇を剥がされると息がかかる程の距離でイザナに見つめられ、私は瞳を揺らしながら恥ずかしそうに問いかけた。
私がキスを欲しがっているのを知っていて、敢えて聞いて来ていることは分かっている。
だけど、もう焦らされたくはない。
「そんな可愛い顔でお願いされたら断れないな。ルナが満足するまでしてあげるよ」
「……っ、……ん」
イザナはクスッと小さく笑うと、角度を変えながら啄むようなキスを繰り返していく。
キスを重ねる毎に、体中の温が上がって行くのがはっきりと分かる。
これはきっと私が興奮している証拠だ。
「ルナ、先に服を脱ごうか。早くルナに触れたい……」
「……っ、うんっ」
イザナに「手を上げて」と言われ、恥ずかしそうに両手を上げると彼は一枚づつ私の服を脱がせていく。
この街は寒く、実際に私は風邪を引いてしまったこともあり、今日は沢山着込んでいた。
「随分着ていたんだな。ルナはこんなにも寒がりだったか?」
「うん。それもあるけど、また風邪が悪化しないようにと考えていたら、ちょっと着過ぎちゃったみたい」
私は苦笑しながら答えた。
実はイザナを探し歩いている間、少し暑かったことを思い出した。
下着まで全て脱がされ生まれたままの姿になると、私は恥ずかしくて体を縮こませていた。
するとイザナは「寒いか?」と心配そうに聞いて来たので、私は大丈夫だと伝えた。
この世界にはエアコンなどの電化製品は無いが、室内は魔法で適温に保たれている為、外の冷気を感じることなく快適に過ごせるようになっている。
しかしこの地は特に寒いので、暖炉も常設されているところが多いようだ。
私が全て脱ぎ終えると、続けて彼も服を脱いでいった。
お互い裸同士になると更に恥ずかしさが増してくる。
私はイザナが服を脱いでる間、ベッドの上で身を屈める様に座っていると、不意にイザナと目が合った。
「そうやってちょこんと座っている姿を見ると、抱きしめたくなるな」
「え、……っ」
急にそんな事を言われると恥ずかしくなり、私の顔は徐々に赤く染まっていく。
(そんな不意打ちしないでっ……。ただでさえ恥ずかしいのにっ……)
私はそんなことを心の中で叫んでいた。
「ふふっ、照れているの? 可愛いな。本当に、ルナはいつまで経っても恥ずかしがりのところは治らないね」
「……っ、イザナが急に変なことを言うからだよっ!」
私は恥ずかしくて、ついムキになって言い返してしまう。
「前にも言ったけど、私はルナが恥じらっている顔を見るのが結構好きなんだよ。でも、今からは違う意味で、ルナのことをいじめようかな」
「……っ」
イザナは口端を僅かに上げて、意地悪そうに笑っていた。
私は困ったように眉を寄せて瞳を揺らす。
「ルナ、もう一度横になろうか。そのままだと触ってあげられないよ」
「……っ、うん」
イザナは私のことを抱きしめるようにして身を寄せると、耳元で艶のある声を上げて誘惑してくる。
私は早く彼に触って欲しくて、言われるがまま仰向けになった。
「いい子だね」
それから間もなくして、イザナが私の体の上に覆い被さってきた。
イザナの長い髪が私の首元に触れ、なんだか擽ったい。
「暫くの間、ルナに触れていなかったから、私が付けた痕は綺麗に消えているね」
「……っ」
彼はそう小さく呟くと、私の首筋に長い指を這わせていく。
指の感覚だけだというのに、少しの緊張から強張っていた私の体は過剰に反応してしまうようだ。
「私が少し指を滑らせると、ルナの体がビクビクと震えているね。また体中に私のものである証を刻まないといけないね」
「……っぁ、んぅ」
彼は先程指でなぞっていた首筋に、今度は唇を這わせて食むように優しく触れていく。
時折ちゅっと言うリップ音が響き、肌を深く吸い上げられる。
チクっとした鋭い感覚の後に襲って来る、甘い痺れるような快感。
何度も繰り返されているうちに、私の口元からは熱の篭った吐息が漏れ始める。
(私のものである証、か。私も、イザナに付けたいな。そうしたら、他の女の人も寄って来なくなるかな……)
甘い快楽を味わいながら、頭の中でそんなことを思い浮かべていた。
「イザナ……」
「どうしたの?」
「私も、イザナに痕を付けたい……」
思い切って口にしてしまったが、言い終わった後羞恥心に苛まれる。
私の頬は火照るようにどんどん熱を持って行く。
イザナは顔を上げると、少し驚いた表情を浮かべてこちらを見ている。
きっと私がこんな大胆な発言をするなんて、思っても見なかったのだろう。
勿論、言った私自身も驚いているくらいだ。
(は、恥ずかしい……っ!!)
イザナは暫くの間私の瞳をじっと見つめていた。
何も発せず、黙ったままの状態でいられると、余計に恥ずかしくなってしまう。
私は戸惑いから、視線を逸らそうとした。
「今日のルナは積極的だね。それはすごく嬉しいな。どこに付けてくれるの?」
「じゃあ、見える所にっ」
私は特に考える事もなく、咄嗟に答えてしまった。
「へえ……。それは私がルナのものだって分かる様に?」
「うん……。……っ!? ち、違っ! ……違わないけど」
私は自分が言った言葉に恥ずかしくなり、混乱から慌て始めてしまう。
(私、何言ってるの。これって、まるで独占したいって言っているみたいだよっ!)
間違ってはいないが、恥ずかし過ぎて泣きたくなった。
「ふふっ、そんなに照れて可愛いな。それじゃあ、私が仰向けになるから、ルナは付けたい所に好きなだけ付けていいよ」
「好きなだけ? ほ、本当に……?」
イザナはあっさりと答えたので、私は少し戸惑ってしまう。
だけど、受け入れられたのが嬉しくて、次第に表情が緩んでいく。
イザナは優しく微笑んで「本当だよ」と言った。
それからイザナは一度私から離れて仰向けに寝てくれたので、私は直ぐ隣に座り彼の姿を上から見下ろしていた。
普段見られない光景に、少し違和感を抱いていた。
しかし、彼の体の上に乗ってもいいものかと悩み始めてしまうと、次の行動に移せなくなってしまった。
私は暫くそのままじっとしていた。
(上に乗ったら重いかな……)
「ルナ、そんなに見つめてどうしたの? まずは視姦で責めるつもりなのかな?」
「え? 視かっ……ち、違うよっ!!」
私が慌てるように答えると、イザナはクスクスと笑って「冗談だよ」と告げた。
「……っ、上に乗ってもいい?」
「うん、いいよ。おいで」
私が控えめに尋ねると、彼は私の前に手を差し出した。
その手を取って、私は彼のお腹の下辺りにちょこんと座った。
「……重くない?」
「ルナは小さくて軽いから、そんなことは気にしなくていいよ。それよりも、もっとこっちにおいで」
繋がれた手をグイっと引き寄せられ、突然のことに驚いた私の体は揺らめく。
そのまま彼の体に被さるような形で倒れて込んでしまった。
お互いの体がぴったりとくっついた状態になり、私は更に取り乱してしまう。
「……っ、わああっ! ご、ごめんっ……」
「ふふっ、ルナに襲われているみたいだね。こういうのも面白いね」
焦っている私とは違い、イザナは楽しんでいる様子だった。
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