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第一章:聖女から冒険者へ
16.目覚めると…
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再び目を覚ますと、辺りはすっかり明るくなっていた。
カーテンが開いていて、寝起きの私には少し眩しく感るようだ。
私が目を擦りながらゆっくりと体を起こすと、ソファーに座っているイザナと目が合った。
(あれ? イザナ……?)
「おはよう、ルナ。ぐっすりと眠っていたみたいだけど、疲れはとれた?」
「え? ……うん」
私の頭の奥はまだふわふわしていて、どうしてここにイザナがいるんだろうと疑問に感じていた。
「ルナ、昼前にギルドに行こう。さっきゼロが来て、ギルドで落ち合おうって話になったんだ」
「ゼロが? 分かった」
私は普通に話すイザナをなんとなくぼーっと眺めていた。
私はまだ半分夢の中にいるような気分だった。
「まだ昼には早いし、寝足りなかったらもう一眠りしていてもいいよ。行く前になったら私が起こしてあげる」
イザナはベッドの前まで来ると、端の方に座り私の額にそっと口付けた。
その感覚が妙にリアルで、次の瞬間私は全てを思い出した。
「……っ!!」
「そんな驚いた顔してどうしたの? もしかして寝ぼけていたのかな?」
焦っている私を見てイザナはふっと小さく笑った。
「お、起きるっ! ……っ!?」
私はガバッと勢い良く起き上がると、妙に体が解放的だった事に気付き、自分の体の方へと視線を落とした。
すると何も身に付けない状態である事に気付き、慌てて布団の中に潜り込んだ。
(うそ、なんで裸なの!? あ……、そっか。私昨日そのまま寝ちゃったから。でも裸って恥ずかしいっ!!)
「ルナが寝てる間に着替えさせておこうとも考えたんだけど、服が皺になりそうだったからやめておいたんだ」
「……っ」
布団から真っ赤に染まった顔を覗かせている私を見て、イザナは「可愛いな」といつものように呟いた。
「ルナの着替えはここにあるよ。私がここにいたら、きっと恥ずかしくて着替えられなそうだから、向こうで待っていることにするよ」
「あ、ありがとう」
イザナはそう言うと、近くの椅子に置いてあった私の服を持って来てくれてベッドの端に置いた。
(いつまでもこんな格好でいるのは恥ずかしいし、早く着替えよう……!)
どうやら私の体は、寝ている間にイザナが拭いてくれたみたいで綺麗になっていた。
体の方は若干怠さを感じていたけど、それ程気にはならなかった。
私は急いで着替えると、洗面台の方に向かい髪を梳かして鏡に映る自分の姿を見つめる。
すると首筋にいくつか赤い痕がくっきりと付いていて、なんだろうと鏡に顔を近付けて確認していた。
そのことに気が取られていて、背後の気配には気付かなかった。
(あれ? 赤くなってる。これなんだろう?)
「それは、昨日私が付けた痕だよ。ルナは私のだっていう証、かな」
「……っ!?」
突然耳元で囁かれ、私はビクッと体を震わせてしまう。
そして昨日の事を思い出して顔は更に赤く染まっていく。
そんな私の姿を見たイザナは「耳まで真っ赤だ」と囁き、そのまま耳朶を甘噛みしてきた。
「ひぁっ……!」
耳朶を刺激され思わず変な声が出てしまい、私は慌てて手で隠した。
「ふふっ、ルナは耳も敏感なんだね。可愛いな」
「もうっ、驚かせないで」
私は体を反転させると、顔を真っ赤にしながらムッとイザナを睨みつけた。
(びっくりするから、いきなり耳元で喋らないでっ!)
「そんな顔をされても可愛いだけで全然怖くはないよ。言っただろう? ルナはどんな姿でも私には可愛くしか見えないんだって、ね」
「……っ!」
その言葉に私は言い返せなくなり悔しそうにしていると、イザナにそのまま抱きしめられた。
「ねえ、ルナ。これからは一緒の部屋に泊まらないか? 夜は互いの愛を確かめうように抱き合って、朝はルナの可愛い寝顔を見て目覚めたいな」
「……無理っ」
(毎晩とか、絶対に無理! ドキドキし過ぎて、私の心臓が壊れてしまう……)
「どうして? 私達は夫婦だよ。一緒に居るのは当然の事だと思うけどな」
「でも、ゼロが……」
私は咄嗟に頭に浮かんだ、ゼロの名前を出してしまった。
「ゼロ?」
「そ、そうだよっ! イザナはゼロと一緒の部屋に泊ってるんでしょ? 三人一緒の部屋はさすがに狭く……、はないけど。でもベッドが一つしか無いし」
言いかけたものの、この部屋なら狭くはない事に気付くと次第に言葉が詰まってしまう。
「いつも一緒の部屋にいるわけではないよ。たまに話し合いをしている最中に、ゼロが寝てしまうってことはあるけどな」
「そうなの?」
「ゼロには他の部屋を取ってもらうよ。いくらゼロでも男だからね、ルナを他の男と一緒の部屋になんてさせないよ。これで問題解決だね」
イザナはにこっとわざとらしく笑った。
「無理っ、毎日イザナと一緒の部屋なんて……。私の心臓が持たなくなっちゃう」
「ルナは恥ずかしがりだもんな。だけど一緒にいる時間が長くなれば、耐性がつくんじゃないか? これを機に治せると思えば悪くはないと思うけど、どうだろう。私としてはルナの照れている顔はかなり好きなんだけどね。決まりかな」
言葉ではイザナに勝てる気がしない。
いつも最後は言いくるめられてしまっている気がする。
イザナと同じ部屋で過ごせば、それだけ一緒にいられる時間は長くなる。
それは正直魅力的だし、すごく嬉しいことだ。
問題はそれに私の心臓が耐えられるのか、ということくらいだろうか。
「ここじゃなくても、ルナが他に泊まりたい所があればそこでも構わないよ。私はルナさえ居ればどこでもいいからね」
涼し気な顔でサラっと言ってしまうイザナが恨めしく思えた。
いつも余裕がないのは私ばかりだ。
だけど、この時間がとても愛おしく思えたのも事実だった。
カーテンが開いていて、寝起きの私には少し眩しく感るようだ。
私が目を擦りながらゆっくりと体を起こすと、ソファーに座っているイザナと目が合った。
(あれ? イザナ……?)
「おはよう、ルナ。ぐっすりと眠っていたみたいだけど、疲れはとれた?」
「え? ……うん」
私の頭の奥はまだふわふわしていて、どうしてここにイザナがいるんだろうと疑問に感じていた。
「ルナ、昼前にギルドに行こう。さっきゼロが来て、ギルドで落ち合おうって話になったんだ」
「ゼロが? 分かった」
私は普通に話すイザナをなんとなくぼーっと眺めていた。
私はまだ半分夢の中にいるような気分だった。
「まだ昼には早いし、寝足りなかったらもう一眠りしていてもいいよ。行く前になったら私が起こしてあげる」
イザナはベッドの前まで来ると、端の方に座り私の額にそっと口付けた。
その感覚が妙にリアルで、次の瞬間私は全てを思い出した。
「……っ!!」
「そんな驚いた顔してどうしたの? もしかして寝ぼけていたのかな?」
焦っている私を見てイザナはふっと小さく笑った。
「お、起きるっ! ……っ!?」
私はガバッと勢い良く起き上がると、妙に体が解放的だった事に気付き、自分の体の方へと視線を落とした。
すると何も身に付けない状態である事に気付き、慌てて布団の中に潜り込んだ。
(うそ、なんで裸なの!? あ……、そっか。私昨日そのまま寝ちゃったから。でも裸って恥ずかしいっ!!)
「ルナが寝てる間に着替えさせておこうとも考えたんだけど、服が皺になりそうだったからやめておいたんだ」
「……っ」
布団から真っ赤に染まった顔を覗かせている私を見て、イザナは「可愛いな」といつものように呟いた。
「ルナの着替えはここにあるよ。私がここにいたら、きっと恥ずかしくて着替えられなそうだから、向こうで待っていることにするよ」
「あ、ありがとう」
イザナはそう言うと、近くの椅子に置いてあった私の服を持って来てくれてベッドの端に置いた。
(いつまでもこんな格好でいるのは恥ずかしいし、早く着替えよう……!)
どうやら私の体は、寝ている間にイザナが拭いてくれたみたいで綺麗になっていた。
体の方は若干怠さを感じていたけど、それ程気にはならなかった。
私は急いで着替えると、洗面台の方に向かい髪を梳かして鏡に映る自分の姿を見つめる。
すると首筋にいくつか赤い痕がくっきりと付いていて、なんだろうと鏡に顔を近付けて確認していた。
そのことに気が取られていて、背後の気配には気付かなかった。
(あれ? 赤くなってる。これなんだろう?)
「それは、昨日私が付けた痕だよ。ルナは私のだっていう証、かな」
「……っ!?」
突然耳元で囁かれ、私はビクッと体を震わせてしまう。
そして昨日の事を思い出して顔は更に赤く染まっていく。
そんな私の姿を見たイザナは「耳まで真っ赤だ」と囁き、そのまま耳朶を甘噛みしてきた。
「ひぁっ……!」
耳朶を刺激され思わず変な声が出てしまい、私は慌てて手で隠した。
「ふふっ、ルナは耳も敏感なんだね。可愛いな」
「もうっ、驚かせないで」
私は体を反転させると、顔を真っ赤にしながらムッとイザナを睨みつけた。
(びっくりするから、いきなり耳元で喋らないでっ!)
「そんな顔をされても可愛いだけで全然怖くはないよ。言っただろう? ルナはどんな姿でも私には可愛くしか見えないんだって、ね」
「……っ!」
その言葉に私は言い返せなくなり悔しそうにしていると、イザナにそのまま抱きしめられた。
「ねえ、ルナ。これからは一緒の部屋に泊まらないか? 夜は互いの愛を確かめうように抱き合って、朝はルナの可愛い寝顔を見て目覚めたいな」
「……無理っ」
(毎晩とか、絶対に無理! ドキドキし過ぎて、私の心臓が壊れてしまう……)
「どうして? 私達は夫婦だよ。一緒に居るのは当然の事だと思うけどな」
「でも、ゼロが……」
私は咄嗟に頭に浮かんだ、ゼロの名前を出してしまった。
「ゼロ?」
「そ、そうだよっ! イザナはゼロと一緒の部屋に泊ってるんでしょ? 三人一緒の部屋はさすがに狭く……、はないけど。でもベッドが一つしか無いし」
言いかけたものの、この部屋なら狭くはない事に気付くと次第に言葉が詰まってしまう。
「いつも一緒の部屋にいるわけではないよ。たまに話し合いをしている最中に、ゼロが寝てしまうってことはあるけどな」
「そうなの?」
「ゼロには他の部屋を取ってもらうよ。いくらゼロでも男だからね、ルナを他の男と一緒の部屋になんてさせないよ。これで問題解決だね」
イザナはにこっとわざとらしく笑った。
「無理っ、毎日イザナと一緒の部屋なんて……。私の心臓が持たなくなっちゃう」
「ルナは恥ずかしがりだもんな。だけど一緒にいる時間が長くなれば、耐性がつくんじゃないか? これを機に治せると思えば悪くはないと思うけど、どうだろう。私としてはルナの照れている顔はかなり好きなんだけどね。決まりかな」
言葉ではイザナに勝てる気がしない。
いつも最後は言いくるめられてしまっている気がする。
イザナと同じ部屋で過ごせば、それだけ一緒にいられる時間は長くなる。
それは正直魅力的だし、すごく嬉しいことだ。
問題はそれに私の心臓が耐えられるのか、ということくらいだろうか。
「ここじゃなくても、ルナが他に泊まりたい所があればそこでも構わないよ。私はルナさえ居ればどこでもいいからね」
涼し気な顔でサラっと言ってしまうイザナが恨めしく思えた。
いつも余裕がないのは私ばかりだ。
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