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第一章:聖女から冒険者へ

14.初めての刺激③※

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 私が荒い息を整えていると、横でガウンを脱いでいるイザナの姿が目に入った。
 顔立ちは端麗で見るからに王子と言う風貌をしているが、普段から剣を握っているだけあって上半身は程良く筋肉が付き男らしい肉体をしていた。
 そして私の視線は下の方へと降りていく。

(…………)

 それを見た瞬間、あまりの衝撃で思わず目を見張った。
 凶器にしか見えないそれはお腹の方まで反り返っていて、血管が浮き出ているように見える。
 時折ビクビクと震え、まるで何かの生き物のようにさえ見えてしまう。
 私はゴクリと息を呑んだ。

 今までこういうことをした経験が無いので、当然男性器を見るのは初めてだった。
 だけど、あんなにも大きいものだなんて想像していなかった。

 (うそ、でしょ……? あんなの絶対入るわけないよ!)

 先程までは漸くイザナと体を繋げることが出来ると喜んでいたけど、凶器にしか見えない肉楔を見た瞬間絶望へと変わった。
 私が青ざめているとイザナがベッドに戻ってきた。
 私は不安そうに眉を顰めながらイザナをことをじっと見つめ、視線で無理であることを訴えていた。

「怖いか?」
「……うん。は、入るかな?」

 一応聞いてみたが、内心は絶対に入らないだろうと私は疑わなかった。
 私が不安そうな顔を見せてしまったことで、イザナは困った様に苦笑していた。

(無理だよ! 絶対無理! あんなの入るわけないよ。でも、今更逃げるなんてしたくないっ……)

 私は頭の中で一人葛藤していた。
 漸く両想いになれたというのに、ここで拒絶してイザナに嫌われてしまうのは絶対に嫌だ。
 いつかは通らないといけない道なのだから、今逃げたとしても結局問題を先送りにするだけで何の解決にもならない。
 それに心だけではなく、体も繋げたいという思いは強く持っている。
 だからこそ、余計にここで止めるのは嫌だった。

 それが短時間で導き出した私の結論だった。

「最初は少し苦しいかもしれないけど、入ると思うよ。なるべく優しくはするつもりだし、辛いのなら途中でやめるから。それなら構わないか?」
「うん、それなら……」

(あれで少しって……。男の人って皆あんなに大きいものなの?)

 戸惑いながらも、彼の言葉を聞いて私は少し安堵していた。
 こんな時でもイザナは私に気を遣ってくれるくらい優しくて、そんな態度を見せられてしまうと、ますます繋がりたい気持ちが強くなっていく。
 体を繋げてさえしまえば、私達の間の絆はきっと強くなるはずだ。
 そうなれば再びティアラが現れたとしても、私は強い気持ちを持てるに違いない。
 そう思ってはいるものの、下半身に視線を向けてしまうとその意思が鈍りそうになってしまう。

「ルナ、こっちを見て」

 イザナは不安がる私に気付いて優しい声で言った。
 私はイザナの方に視線を向けるとそのまま唇が重なる。

「んっ……、ふぁっ」

 キスをしながら、先程慣らされた私の中心に、イザナの硬いものが押し当てられていることに気付いた。
 馴染ませる様に擦りながら入口を確認しているみたいで、刺激を送られる度に甘い快感が体に走る。
 すぐに先程の疼くような感覚が戻って来て、体の中心がじわじわと熱を持って行くのを感じ始めていた。
 私の鼓動は興奮から次第に早くなっていく。

 嬉しいけど、怖い。
 それが今の私の素直な心情なのだと思う。

「ルナ、出来るだけ力は抜いていて。その方がきっと痛くないはずだから」
「わかった」

 私は困惑した瞳を揺らしながら、小さく頷く。

「挿れるな」

 イザナは静かに答えると、蜜口を宛がっていたものをゆっくりと押し込む様に私の中へと埋めていく。
 入口を大きく開かれると、直ぐに引き裂かれるような激しい痛みに襲われた。
 まるでギチギチと音を立てているかのようだ。
 私は初めて味わう激痛に顔を大きく歪めた。

(……っ!?)

「……い、たいっ!」

 私の目からは涙が溢れて、視界が曇っていく。
 
(痛すぎる……!! でも、止めてほしくないっ……)

「ルナ、ごめん。もう少しだけ我慢して欲しい」

 イザナは申し訳なそうに言うと、そのまま更に奥へと押し込んで来る。
 私はシーツをぎゅっと握り締め、なんとか痛みを耐えていた。
 力を抜くどころか混乱から力んでしまい、肉楔をぎゅっと締め付けてしまう。

「……っ!!」

 脳裏には『やっぱり私には無理』だという気持ちと、『やめないで』という思いの二つが絡み合っていた。
 とにかく今は、この痛みから早く解放されたいと願う事しか出来ない。
 暫くするとイザナの動きが止まり、そのまま抱きしめられた。

「ルナ、良く頑張ったな。痛かったよな、ごめん」
「……終わったの?」

 イザナの声が耳に入って来て、私が掠れた声で問いかけると「全部入ったよ」と言葉が返って来る。
 私はそれを聞くと、安堵した様に表情を緩めた。
 まだ痛みは完全に引いたわけでは無いが、感覚が麻痺しているのか、少しづつ慣れて来ているのかは分からないが、痛みは徐々に弱まっているように思えた。

(……良かった)

 そう思うと同時にぶわっと涙が溢れてくる。
 感情が高まり、それを自制することが出来なかった。
 漸く私の思いが成就して、大好きなイザナと体を繋げることが出来た。
 その事実が本当に嬉しくて堪らなかった。
 一度は諦めて離れようとしてしまったけど、もう絶対に離れないと心に誓う瞬間でもあった。

「こんなに泣いて……。痛かったよな。ごめん」

 イザナは泣き続ける私の髪を優しく撫でながら何度も謝っていた。
 今すぐにでもこれは誤解だと言いたいのに、感情が漣のように押し寄せて来て、涙が止まらなくて、中々言葉を発する事が出来ない。
 それがとてももどかしい。

 イザナはその後は特に何も言わず、落ち着くまで私の事を、ただ抱きしめていてくれた。
 素肌で抱きしめられていると直接彼の温もりを感じることが出来て、こんなにも気持ちが落ち着いて心地が良いものなんだと改めて知った。
 欲を言えば、ずっとこうしていたいと思ってしまう程だ。

「イザナ、私はもう大丈夫だから。ごめんね、いきなり泣いちゃって。驚いたよね? 色んな感情が溢れて来て混乱しちゃったみたい」

 私は自嘲気味に話すと、イザナは涙で濡れた私の目尻に優しくキスを落とした。

(どうしよう、嬉しくて堪らない)

「いや、謝らないでいいよ。泣かせたのは私であることで間違いはないのだからな」
「違うのっ! 本当にこれはっ……、確かに痛かったのはあるけど、やっとイザナと一つになれて嬉しくて、それでっ……」

 申し訳なさそうに話すイザナの顔に気付くと、私は誤解しているのではないかと思い、慌てて言い返した。
 だけど勢いで言ってしまった己の言葉に恥ずかしくなり、顔を赤く染めてしまう。

「ルナは本当に可愛いな。私も嬉しいよ。漸くこうやってルナと繋がれて。やっと本当の夫婦になれたような気分だな」
「たしかに……」

 イザナは優しそうに笑むと私の唇にそっと口付けた。
 そして何度も啄むようなキスを繰り返される。
 私にとっては、ご褒美のような至福の時間に思えた。

「はぁっ……、んっ」

 何度してもイザナとのキスは溶けてしまう程、気持ちが良い。

(もっとして欲しい)

 そんなことを思っていると、ゆっくりと彼の唇が剥がされていく。
 それが少し寂しく思えて、私は切な気な表情を向けてしまう。

「そんな顔はしないで。もっとキスが欲しいのか? でもルナの体が大丈夫そうなら、そろそろ動いてもいいか?」
「……うん!」

 下半身にはまだヒリヒリとした痛みは残っているが、これくらいなら我慢は出来そうだ。
 私はドキドキしながら小さく頷いた。
 その言葉を合図にするように、彼はゆっくりと埋まっている欲望を引き抜いていく。
 動く度に内壁に擦れて、そこからじわじわと甘い感覚が広がって行くようだ。

(なにこれ、すごく気持ちいい……)

「はぁっ……、ぁあっ……」
「ルナの顔を見る限り、痛くは無さそうだな」

 油断すると直ぐに口元からは甘い声が漏れてしまう。
 そんな私の姿を見て、イザナはほっとするように呟いた。

「可愛いよ。ルナが感じてる顔、もっと沢山見せて」
「ぁあっ、なんかっ、はぁっ、体が、変なのっ……」

 自分の体なのに、そうじゃないような気さえしてしまう。
 血液がドクドクと沸騰するかのように滾って行くような感じだ。
 それに鼓動はずっと激しいままなのに、体からはすーっと力が抜けて行ってしまう。
 こんな感覚も初めてのことで私は戸惑っていた。
 だけど怖くはなかった。
 甘い痺れに、溶かされて飲み込まれてしまうような不思議な感覚だ。
 それ程気持ちが良かった。

「ルナ、それは変じゃなくて気持ちが良いってことだよ。そのまま素直に感じていたらいい」
「ぁあっ、……ん、はぁっ……」

 イザナはゆっくりと動く速さを上げていく。
 体を揺さぶられる度に、私の口からは出る嬌声は高くなっていく。

「それにしても、ルナの中すごく狭くて気持ちが良いな。まるで抱きしめられている気分だ」
「はぁっ、イザナも気持ち良いならっ、良かったっ……」

 彼も私同様に感じてくれているのが嬉しくて、口に出してしまう。
 私が笑顔でそう答えるとイザナは困った顔を浮かべた。

「ルナ、この状態で私を煽る気か?」
「え?」

 一瞬イザナの表情が変わった様な気がした。
 鋭い瞳を向けられたような。

(……イザナ?)

 だけど、それは気のせいではなかった。
 次の瞬間、最奥まで一気に貫かれた。

「……ひぁあああっ!」

 私の悲鳴の様な声が、部屋中に響き渡った。

「一気に奥を突いただけなのに、すごく締まったな。ルナは激しいのがお好みか? それならば遠慮なく沢山奥を突いてあげるよ。好きなだけイけばいい」
「ぁあっ……、やっ、まってっ……ぁああっ!!」

 イザナはぎりぎりまで引き抜くと一気に最奥まで貫く。
 繰り返す様に何度も激しく刺激されていると、先程までの甘い痺れは消え、頭が真っ白になるような感覚に襲われる。
 私は奥を突かれると簡単に達してしまい、中をきつく締め付けてしまう。

「中、すごく痙攣しているな。本当に私の妻は可愛いな。そんなに悩ましい顔をさせて、堪らない気分になる。その顔……、今のルナの顔は私以外の男には見せては駄目だよ」
「ぁああっ、だ、だめ、そんなに激しっ……っっ!!」

 私は連続で何度もイかされ続け、目からは涙が溢れていた。
 逃げようと腰を引いてみるも、直ぐに捕まり引き戻される。

(だめっ!! これ以上されたら本当におかしくなっちゃう……!)

「逃げたら駄目だよ。ルナはすぐ逃げようとするけど、もう絶対に逃がさないから。ルナは私だけのものだ」
「ぁああっ……!! ち、がっっ、もう、むりっ……ぁあああっ!!」

 イザナは私が逃げると勘違いして暴走しているように見えたので、首を横に何度も振り違うと訴えていた。
 確かに体を逃れようとしたのは事実だが、これ以上されたら自分が壊れてしまうのではないかと思ったからであり、彼から離れようなんて一切考えてはいない。
 
 そして一際高い嬌声を響かせると、そのまま深い絶頂を迎える。
 体から力が抜け、ふわっと浮き上がる様な感覚に、頭の奥は揺れているようだ。
 ゆっくりと意識が遠のいている感覚に襲われ、次第に視界が真っ白に染まっていく。

「ルナ……? 気絶したのか? 私は駄目だな。こんなにも簡単に理性を失くすなんて。だけどそれだけルナに心を奪われていたということだな」

 意識の奥の方で、そんな声が響いているように聞こえていた。
 完全に真っ白な世界に飲み込まれると、そこでぷつりと意識が途切れ、深い眠りの奥へと落ちていった。
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