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10.下心

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言われた言葉を考えていると、ハーラルトの掌が伸びて来て私の髪に触れた。
視線をハーラルトの方に向けると視線が絡み、真直ぐに見つめられドキドキしてしまう。

「リリー、君の心に付け込む隙があるのなら僕はいくらだって優しくする」
「え…?」
熱っぽい視線で見つめられ胸の奥が高鳴る。

「僕は悪い男だから、下心があって君に近づいたんだよ」
「どういう…意味ですか?」
私が聞くとハーラルトは小さく笑った。

「分からないか?僕は君の事が好きなんだ。ずっと前からね…」
「………」
私の髪に触れていたハーラルトの指が頬を伝い唇の方へと移動する。
そして私の唇をなぞる様にゆっくりと左右に行き来する。

ハーラルトが私の事を好き…?
その言葉を聞いても信じる事なんて出来なかった。

「信じられないって顔をしてるな」
「だって…信じられません」

「この前あんなに激しいキスをしたのに…?」
ハーラルトはクスっと笑うと、私は思い出して顔が赤く染まっていく。

「あれは…私の事慰めようとしてくれて…っ…」
焦る様に言おうとしたら途中で唇を塞がれた。

「言っただろ?僕は悪い男だって…。ただ慰めようとしていた訳じゃない。キスをしたのは君に僕の事を意識させる為。だけど足りなかったか?それならもっとしてやらないとな…」
「んんっ……っ…っ!!」
薄く開いた私の唇の間からハーラルトの熱くなった舌が入り込んで来る。
私が抵抗しようとすると両手首を簡単に掴まれてしまう。

「これで逃げ場はないぞ?どうする…?」
「……離しっ…んっ!!」
不敵な笑みを見せるハーラルトに私が困った顔を見せると再び唇を塞がれた。
私の咥内の内壁を這うように舐められゾクゾクと体を震わせてしまう。

「んんっ…はぁっ……っっ!!」
薄っすらと目を開けるとすぐ傍にハーラルトの綺麗な顔があって、私が見つめている事に気づいたのかハーラルトの瞼が薄く開き目が合ってしまう。
キスしながら見つめ合う事が恥ずかし過ぎて耐えられなくなり、ぎゅっと目を強く瞑ってしまう。

「本当に…君は可愛いな。もっと君が欲しくなるよ」
「っ……んっ……はぁっ…」
角度を変えながら何度も口付けられ激しいキスで何も考えられなくなる。
まるで上気したみたいに顔を真っ赤に染めて、抵抗する事も出来ずにただキスを受け入れるしかなかった。

「元婚約者の事なんて忘れて、僕の事を好きになれ。僕なら絶対に君の事を手放したりはしない…」
「んんっ…はぁっ…そんなの…む…りっ…」
私の言葉を聞いたハーラルトはゆっくりと私の唇を剥がした。

「無理か…、随分とはっきり言うんだな」
「あ……ごめんなさい…」
私が謝ると「謝らなくていい」と言われて体を引き寄せられた。


「それなら僕が君の事を落とすまでだよ。覚悟しておいて、リリー」
耳元で低く囁かれゾクッと体が震えた。
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