4 / 45
4.久しぶりの学園
しおりを挟む
それから3日後、久しぶりに学園に来ていた。
マティアスとは顔を合わせたく無かったので、学園に入ると直ぐに自分の教室へと向かった。
同じ専科でなくて本当に良かった。
教室に入ると、クラスメイト達は私の存在に気付くと驚き集まって来た。
「リリー様、もうお体は大丈夫なんですか?」
「沢山休んだからもう大丈夫。心配してくれてありがとう」
「良かったです!」
「分からない事があったら何でも聞いてくださいね!」
「助かるわ、皆ありがとう…!」
クラスメイト達の優しい言葉が胸に刺さりじわっと熱くなるものを感じる。
こんな良いクラスメイト達に囲まれている事に感謝をしたくなった。
そんな時扉の方に視線を向けると、ハーラルトと目が合った。
ハーラルトは私に気が付くと、少し驚いた表情をしてこちらに向かってきた。
「リリー嬢、戻って来たんだね。もう体調は大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで。沢山休んだのでもう元気です」
ハーラルトも心配してくれてる様子だった。
「そうか…それは良かった」
「あ、そうだ…。これありがとうございました。すごく解りやすく纏めてあって助かりました」
私は鞄の中から借りていたノートをハーラルトに返した。
「君の役に立てたなら嬉しいよ」
「ハーブとお菓子も美味しかったです、おかげで元気になれました」
優しい表情を浮かべるハーラルトに少しどきっとしてしまった。
「気に入ってもらえたなら良かったよ。ノートだけじゃ解りずらい所もあると思うから、今日の放課後一緒に勉強会でもしないか?」
「え…?」
突然の提案に私は少し驚いてしまった。
私なんかの為にそこまでしてくれるなんて…。
それはライバルだと思っていてくれているからなのかな。
「君の体調が良かったらで構わない。早めに解らない所を教えた方が次の授業に支障は出ないからな、どうかな?」
「殿下の時間に都合がつくなら喜んで…」
私が答えるとハーラルトは不満そうな表情を見せた。
私が不思議そうにしているとハーラルトは私の耳元で「名前では呼んでくれないの?」と囁かれ私は思わず顔を真っ赤に染めてしまう。
「驚かさないでくださいっ…」
私は真っ赤に顔を染めながら慌てて耳を手で隠した。
そんな姿を見てハーラルトは楽しそうにクスクスと笑っていた。
完全にからかわれた気分だった。
「リリー嬢は耳が弱いのか?可愛いな…。そうだな、…もし今後名前で呼んでくれなかった時は耳元で囁こうか…」
意地悪な顔でハーラルトはにやりと笑った。
「……殿…ハーラルト様は意地悪ですね」
「そうか?君の反応が可愛いから悪い、そんな顔されたら誰だって虐めたくなると思うが?」
「……ならないですっ!」
私がムッとしながら返すとハーラルトは可笑しそうに笑っていた。
ハーラルトは優しいだけではなく意地悪な人だった。
マティアスとは顔を合わせたく無かったので、学園に入ると直ぐに自分の教室へと向かった。
同じ専科でなくて本当に良かった。
教室に入ると、クラスメイト達は私の存在に気付くと驚き集まって来た。
「リリー様、もうお体は大丈夫なんですか?」
「沢山休んだからもう大丈夫。心配してくれてありがとう」
「良かったです!」
「分からない事があったら何でも聞いてくださいね!」
「助かるわ、皆ありがとう…!」
クラスメイト達の優しい言葉が胸に刺さりじわっと熱くなるものを感じる。
こんな良いクラスメイト達に囲まれている事に感謝をしたくなった。
そんな時扉の方に視線を向けると、ハーラルトと目が合った。
ハーラルトは私に気が付くと、少し驚いた表情をしてこちらに向かってきた。
「リリー嬢、戻って来たんだね。もう体調は大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで。沢山休んだのでもう元気です」
ハーラルトも心配してくれてる様子だった。
「そうか…それは良かった」
「あ、そうだ…。これありがとうございました。すごく解りやすく纏めてあって助かりました」
私は鞄の中から借りていたノートをハーラルトに返した。
「君の役に立てたなら嬉しいよ」
「ハーブとお菓子も美味しかったです、おかげで元気になれました」
優しい表情を浮かべるハーラルトに少しどきっとしてしまった。
「気に入ってもらえたなら良かったよ。ノートだけじゃ解りずらい所もあると思うから、今日の放課後一緒に勉強会でもしないか?」
「え…?」
突然の提案に私は少し驚いてしまった。
私なんかの為にそこまでしてくれるなんて…。
それはライバルだと思っていてくれているからなのかな。
「君の体調が良かったらで構わない。早めに解らない所を教えた方が次の授業に支障は出ないからな、どうかな?」
「殿下の時間に都合がつくなら喜んで…」
私が答えるとハーラルトは不満そうな表情を見せた。
私が不思議そうにしているとハーラルトは私の耳元で「名前では呼んでくれないの?」と囁かれ私は思わず顔を真っ赤に染めてしまう。
「驚かさないでくださいっ…」
私は真っ赤に顔を染めながら慌てて耳を手で隠した。
そんな姿を見てハーラルトは楽しそうにクスクスと笑っていた。
完全にからかわれた気分だった。
「リリー嬢は耳が弱いのか?可愛いな…。そうだな、…もし今後名前で呼んでくれなかった時は耳元で囁こうか…」
意地悪な顔でハーラルトはにやりと笑った。
「……殿…ハーラルト様は意地悪ですね」
「そうか?君の反応が可愛いから悪い、そんな顔されたら誰だって虐めたくなると思うが?」
「……ならないですっ!」
私がムッとしながら返すとハーラルトは可笑しそうに笑っていた。
ハーラルトは優しいだけではなく意地悪な人だった。
2
お気に入りに追加
1,791
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかし、正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。
してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。
そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…
ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。
有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。
美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。
真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。
家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。
こんな私でもやり直せるの?
幸せを願っても…いいの?
動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる