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129.深夜の訪問者①
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なにごともなく一日が終わり、私はベッドの上で一人横たわっていた。
就寝時間のため、この場には私しかいない。
しんと静まり返った部屋の中、一筋の蝋燭の明かりがぼんやりと浮かび上がっている。
「ザシャさんに会いたいな……」
私の口元からぽつりと本音が漏れる。
一人きりになると無性に寂しさに襲われて、一番会いたい人の存在が頭の中に思い浮かぶ。
そうなると連鎖的に会いたいという気持ちが一際強くなり、心の中で何度も彼の名前を呼び続けた。
ザシャの存在を思い出すように自分の指を首筋に滑らせる。
「……っ」
ひんやりとした指先が肌に触れるとぞくりと体が震えるが、そのままゆっくりと胸元へと下ろしていく。
昂ぶった熱を自分で慰めるなんて浅ましい行為をしている自覚はあるけど、少しでもあの感覚を思い出したくて続ける。
「はぁっ……、ザシャさん……」
胸の先端はすでにぷっくりと膨れ上がり、それを指の腹でこねるように転がす。
徐々に体の火照りも強くなり、頭の奥もなんだかぼーっとしてくる。
「んっ……すきっ……」
「私も好きだよ」
ふいに幻聴が頭の奥に響く。
(え……?)
一瞬、驚きから手を止めてしまうが、これはきっと気のせいなのだろう。
夢中になりすぎていたせいで、妄想と現実の区別が分からなくなってしまったに違いない。
そうと分かると、胸の先端をきゅっときつく摘まんだ。
これが錯覚だとしても、ザシャを傍らで感じられているのならばそれでいいと思ったし、ずっとこの幻聴が朝まで続いてほしいすら願ってしまう。
「……もっと、言って」
「寂しい思いをさせてごめん。私はいつだってエミリーのことが大好きだよ」
再び幻聴の声が聞こえて、胸の奥で波紋が広がるようにどくんと大きく揺れる。
先ほどよりも近くで聞こえたような気がするけど、これはきっと自分の都合の良い妄想だ。
もしかしたら、すでに夢の中なのかもしれない。
(本当にザシャさんがいるみたい……)
まるで至近距離で話している感覚だけど、目を開けばきっと幸せな夢は覚めてしまうだろう。
(お願い、覚めないで……)
心の中でそう祈りながら目を閉じていると、不意に体の上に乗っていたものがふわりと取り払われ、同時にひんやりとした空気にぞくりと体を震わせた。
「手は止めないで。そのまま自分の気持ちいいところを触っていて」
「ぁっ……、はいっ」
耳元で囁かれている感覚も妙にリアルだ。
熱の籠もった吐息がかかる度に、敏感になっている体はびくびくと反応する。
その感覚に戸惑っていると、今度はねっとりとした熱いものが耳のふちを這うように滑っていく。
「やぁっ、ん……、耳だめっ……」
「でもこうされるの嫌いじゃないよね? ほら、手が止まってるよ」
ここまでリアルな感覚を与えられて、さすがにこれは夢ではないかもしれないと疑い始めた。
そして私はおそるおそる目を開く。
「……っ!! ザシャさん!? な、なんで!?」
「ふふっ、やっと目を開けたね。様子を見に来たら、全然私の気配に気づかず一生懸命なにかやっているようだったから、少しいたずらをしようかと思ってね」
私は恥ずかしくなり慌ててブランケットを引っ張ろうとするも、ザシャに手首を掴まれ止められてしまった。
「だめだよ。隠さないで」
「恥ずかしい……、まさかザシャさんが来るなんて思わなくて」
「驚かせちゃってごめんね。だけど、体が随分火照ってる。今みたいに私のことを思っていつも一人で慰めていたの?」
「……っ、ごめんなさい」
はしたない姿を見られてしまい、かぁっと顔の奥が熱くなるのを感じた。
私は慌てて謝ると、恥ずかしさから顔を俯かせた。
「どうして謝るの? むしろ、そうだったらすごく嬉しいよ」
「え……?」
私がきょとんとした態度で顔を上げると、ザシャは優しい表情でこちらを見ていた。
「それだけ私のことを欲していてくれたってことだろう? そうなることをずっと望んでいたのだから嬉しいよ。だけど、寂しい思いばかりさせてしまったのは私のせいだな。ごめん。これからはそんな思いはさせないから」
「それってどういう……」
「まだハウラー公爵の件は決着がついてないけど、言い逃れできないくらいの証拠はすでに揃えてある。詳しいことはあとで話すけど、公爵が退くことになれば私たちの婚姻について反発するものも減ると思う。反対している貴族のほとんどが公爵に脅されて仕方なく従っていたようだからね」
「そうなんですね、良かった。これで本当にザシャさんの婚約者になれるんだ……」
彼のことをずっと信じていたけど、不安がなかったわけではない。
最近はシルヴィアのこともあり少し落ち込んでいる部分もあったので、嬉しい報告を聞けて安堵した。
「そうだよ。でも、もう少しだけ発表はあとになりそうだ」
「え?」
「ようやくエリーザの事故についての真相が明らかにできそうなんだ」
「やっぱりユリア様が……」
「関わっているのは間違いないとは思うけど、他に黒幕がいたんだよ」
「黒幕……? 一体、だれがそんなことを……。まさか」
私の脳裏に嫌な仮説が浮かんだ。
事故を仕組んだ理由は、おそらくエリーザをザシャの婚約者から下ろすため。
ユリアの他にそんなことを企みそうな人間なんて一人しか思い浮かばない。
ザシャも私の顔色を見てなにかを察したのか、小さく頷いた。
「そう、ハウラー公爵だ。馬車に細工を指示したのは公爵で間違いない。すでに請け負った人間は捕えていて証言も取れてる」
「そのことを公爵は知っているんですか?」
衝撃を受けたせいで、私の声はわずかに震えていた。
「極秘に行っているからまだ気づかれてはいないと思う。その間にユリアがどこまで関わっているのか知らなければならない。それによって罪の重さも変わるからね」
「罪、ですか……」
「嫌な話をしてすまない。だけど、王太子である私の婚約者を亡き者にした罪は重い」
「……っ」
身近でこんな体験をしたことがなかったため現実味がない。
だけど『罪』という言葉を聞くと重みだけは感じ取れて恐怖が膨らんでいく。
それに気づいたのか、ザシャは「怖がらせてごめん」と困った顔で謝った。
「二度と同じようなことが起こらないように、これを抑止力にしたいと考えている。だから、この件に関しては厳しい決断を下すことになると思う。辛いものになるかもしれないけど、エミリーにもこの結末を見守っていてほしい」
私を守るための決断であることは、話を聞いていれば簡単に分かった。
(私だってもう覚悟は決めたはずよ。怖がって目を背けていたら、ザシャさんの隣になんて立てるはずない……)
恐怖心を拭い去るために深く息を吸って心を落ち着かせた。
そして真っ直ぐにザシャの瞳を捉える。
「私なら大丈夫です。今のはちょっと驚いてしまっただけで! ザシャさんがしようとしていること、ちゃんと最後まで見届けようと思います」
弱気な姿を見せてしまい慌てて誤魔化してしまったけど、この言葉に嘘はない。
私だって情けない王太子妃なんて絶対に嫌だ。
「やっぱりエミリーは強いね」
ザシャは柔らかく微笑むと、私の髪を優しく撫でてくれた。
彼に褒められることがなにより嬉しくて、これからもっと頑張ろうと改めて誓った。
就寝時間のため、この場には私しかいない。
しんと静まり返った部屋の中、一筋の蝋燭の明かりがぼんやりと浮かび上がっている。
「ザシャさんに会いたいな……」
私の口元からぽつりと本音が漏れる。
一人きりになると無性に寂しさに襲われて、一番会いたい人の存在が頭の中に思い浮かぶ。
そうなると連鎖的に会いたいという気持ちが一際強くなり、心の中で何度も彼の名前を呼び続けた。
ザシャの存在を思い出すように自分の指を首筋に滑らせる。
「……っ」
ひんやりとした指先が肌に触れるとぞくりと体が震えるが、そのままゆっくりと胸元へと下ろしていく。
昂ぶった熱を自分で慰めるなんて浅ましい行為をしている自覚はあるけど、少しでもあの感覚を思い出したくて続ける。
「はぁっ……、ザシャさん……」
胸の先端はすでにぷっくりと膨れ上がり、それを指の腹でこねるように転がす。
徐々に体の火照りも強くなり、頭の奥もなんだかぼーっとしてくる。
「んっ……すきっ……」
「私も好きだよ」
ふいに幻聴が頭の奥に響く。
(え……?)
一瞬、驚きから手を止めてしまうが、これはきっと気のせいなのだろう。
夢中になりすぎていたせいで、妄想と現実の区別が分からなくなってしまったに違いない。
そうと分かると、胸の先端をきゅっときつく摘まんだ。
これが錯覚だとしても、ザシャを傍らで感じられているのならばそれでいいと思ったし、ずっとこの幻聴が朝まで続いてほしいすら願ってしまう。
「……もっと、言って」
「寂しい思いをさせてごめん。私はいつだってエミリーのことが大好きだよ」
再び幻聴の声が聞こえて、胸の奥で波紋が広がるようにどくんと大きく揺れる。
先ほどよりも近くで聞こえたような気がするけど、これはきっと自分の都合の良い妄想だ。
もしかしたら、すでに夢の中なのかもしれない。
(本当にザシャさんがいるみたい……)
まるで至近距離で話している感覚だけど、目を開けばきっと幸せな夢は覚めてしまうだろう。
(お願い、覚めないで……)
心の中でそう祈りながら目を閉じていると、不意に体の上に乗っていたものがふわりと取り払われ、同時にひんやりとした空気にぞくりと体を震わせた。
「手は止めないで。そのまま自分の気持ちいいところを触っていて」
「ぁっ……、はいっ」
耳元で囁かれている感覚も妙にリアルだ。
熱の籠もった吐息がかかる度に、敏感になっている体はびくびくと反応する。
その感覚に戸惑っていると、今度はねっとりとした熱いものが耳のふちを這うように滑っていく。
「やぁっ、ん……、耳だめっ……」
「でもこうされるの嫌いじゃないよね? ほら、手が止まってるよ」
ここまでリアルな感覚を与えられて、さすがにこれは夢ではないかもしれないと疑い始めた。
そして私はおそるおそる目を開く。
「……っ!! ザシャさん!? な、なんで!?」
「ふふっ、やっと目を開けたね。様子を見に来たら、全然私の気配に気づかず一生懸命なにかやっているようだったから、少しいたずらをしようかと思ってね」
私は恥ずかしくなり慌ててブランケットを引っ張ろうとするも、ザシャに手首を掴まれ止められてしまった。
「だめだよ。隠さないで」
「恥ずかしい……、まさかザシャさんが来るなんて思わなくて」
「驚かせちゃってごめんね。だけど、体が随分火照ってる。今みたいに私のことを思っていつも一人で慰めていたの?」
「……っ、ごめんなさい」
はしたない姿を見られてしまい、かぁっと顔の奥が熱くなるのを感じた。
私は慌てて謝ると、恥ずかしさから顔を俯かせた。
「どうして謝るの? むしろ、そうだったらすごく嬉しいよ」
「え……?」
私がきょとんとした態度で顔を上げると、ザシャは優しい表情でこちらを見ていた。
「それだけ私のことを欲していてくれたってことだろう? そうなることをずっと望んでいたのだから嬉しいよ。だけど、寂しい思いばかりさせてしまったのは私のせいだな。ごめん。これからはそんな思いはさせないから」
「それってどういう……」
「まだハウラー公爵の件は決着がついてないけど、言い逃れできないくらいの証拠はすでに揃えてある。詳しいことはあとで話すけど、公爵が退くことになれば私たちの婚姻について反発するものも減ると思う。反対している貴族のほとんどが公爵に脅されて仕方なく従っていたようだからね」
「そうなんですね、良かった。これで本当にザシャさんの婚約者になれるんだ……」
彼のことをずっと信じていたけど、不安がなかったわけではない。
最近はシルヴィアのこともあり少し落ち込んでいる部分もあったので、嬉しい報告を聞けて安堵した。
「そうだよ。でも、もう少しだけ発表はあとになりそうだ」
「え?」
「ようやくエリーザの事故についての真相が明らかにできそうなんだ」
「やっぱりユリア様が……」
「関わっているのは間違いないとは思うけど、他に黒幕がいたんだよ」
「黒幕……? 一体、だれがそんなことを……。まさか」
私の脳裏に嫌な仮説が浮かんだ。
事故を仕組んだ理由は、おそらくエリーザをザシャの婚約者から下ろすため。
ユリアの他にそんなことを企みそうな人間なんて一人しか思い浮かばない。
ザシャも私の顔色を見てなにかを察したのか、小さく頷いた。
「そう、ハウラー公爵だ。馬車に細工を指示したのは公爵で間違いない。すでに請け負った人間は捕えていて証言も取れてる」
「そのことを公爵は知っているんですか?」
衝撃を受けたせいで、私の声はわずかに震えていた。
「極秘に行っているからまだ気づかれてはいないと思う。その間にユリアがどこまで関わっているのか知らなければならない。それによって罪の重さも変わるからね」
「罪、ですか……」
「嫌な話をしてすまない。だけど、王太子である私の婚約者を亡き者にした罪は重い」
「……っ」
身近でこんな体験をしたことがなかったため現実味がない。
だけど『罪』という言葉を聞くと重みだけは感じ取れて恐怖が膨らんでいく。
それに気づいたのか、ザシャは「怖がらせてごめん」と困った顔で謝った。
「二度と同じようなことが起こらないように、これを抑止力にしたいと考えている。だから、この件に関しては厳しい決断を下すことになると思う。辛いものになるかもしれないけど、エミリーにもこの結末を見守っていてほしい」
私を守るための決断であることは、話を聞いていれば簡単に分かった。
(私だってもう覚悟は決めたはずよ。怖がって目を背けていたら、ザシャさんの隣になんて立てるはずない……)
恐怖心を拭い去るために深く息を吸って心を落ち着かせた。
そして真っ直ぐにザシャの瞳を捉える。
「私なら大丈夫です。今のはちょっと驚いてしまっただけで! ザシャさんがしようとしていること、ちゃんと最後まで見届けようと思います」
弱気な姿を見せてしまい慌てて誤魔化してしまったけど、この言葉に嘘はない。
私だって情けない王太子妃なんて絶対に嫌だ。
「やっぱりエミリーは強いね」
ザシャは柔らかく微笑むと、私の髪を優しく撫でてくれた。
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