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63.アイロスの妹
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私はアイロスの少し後ろを歩きながら付いて行くと、不意にアイロスが振り返った。
「どうして俺の後ろを歩くんだ?」
「え…?な…なんとなく?」
そんな風に言われると返答に困ってしまい、私は適当に答えてしまった。
本当は強引に付いて来てしまった事に、少し申し訳なさを感じていた。
アイロスは妹であるシルヴィアに会うのは久しぶりなのだろう。
大切な再会を私の身勝手な好奇心で邪魔している様な気がして、遠慮して少し後ろを歩いていたみたいだ。
(私ってバカね…。今日じゃなくても良かったのに。アイロスさん、ごめんなさい…)
「お前の事だから、どうせまた余計な事でも考えているんだろ?そうされると余計に気になるからいつも通りでいい」
「……分かりました…」
私はその言葉を聞くとアイロスに並ぶようにして歩き始めた。
「あの……、シルヴィアさんってどんな方なんですか?」
「会えば分かる」
アイロスらしい短い返答に私は思わず苦笑してしまう。
そんな話をしていると部屋の入り口に到着した。
(アイロスさんの妹さんって…どんな人なんだろう。正直、全く想像が出来ない…)
そんなことを思っていると緊張で胸の鼓動が早くなる。
そんな私の緊張など気にすること無くアイロスは扉をノックした。
すると勢い良く扉が開き、中から金色のサラサラのストレートの髪を揺らしながら可愛らしい少女が現れ、アイロスに抱きついた。
「アイロスお兄様っ…!!会いたかったわっ!!」
「……ヴィー、久しぶりだな」
アイロスはその少女を受け止めるように抱きしめ返していた。
そして彼女こそがシルヴィアなのだと気付いた。
シルヴィアは私が想像していた容姿とは全く違っていた。
兄であるアイロスとは髪の色も瞳の色も違う。
アイロスは漆黒の髪に赤い瞳だけど、シルヴィアは金髪に緑色の瞳をしていた。
容姿だけで言えばザシャの方が似ているような気がする。
以前ザシャがアイロスは従兄弟だと話していた。
そうであるのならば、妹のシルヴィアがザシャと同じ髪色や瞳の色を持っていても何ら可笑しくはないだろう。
そして、シルヴィアを見た時どこかで会ったような既視感を覚えた。
それからすぐに記憶が蘇り、選考会の時にぶつかった子だと気付いた。
「どうして俺の後ろを歩くんだ?」
「え…?な…なんとなく?」
そんな風に言われると返答に困ってしまい、私は適当に答えてしまった。
本当は強引に付いて来てしまった事に、少し申し訳なさを感じていた。
アイロスは妹であるシルヴィアに会うのは久しぶりなのだろう。
大切な再会を私の身勝手な好奇心で邪魔している様な気がして、遠慮して少し後ろを歩いていたみたいだ。
(私ってバカね…。今日じゃなくても良かったのに。アイロスさん、ごめんなさい…)
「お前の事だから、どうせまた余計な事でも考えているんだろ?そうされると余計に気になるからいつも通りでいい」
「……分かりました…」
私はその言葉を聞くとアイロスに並ぶようにして歩き始めた。
「あの……、シルヴィアさんってどんな方なんですか?」
「会えば分かる」
アイロスらしい短い返答に私は思わず苦笑してしまう。
そんな話をしていると部屋の入り口に到着した。
(アイロスさんの妹さんって…どんな人なんだろう。正直、全く想像が出来ない…)
そんなことを思っていると緊張で胸の鼓動が早くなる。
そんな私の緊張など気にすること無くアイロスは扉をノックした。
すると勢い良く扉が開き、中から金色のサラサラのストレートの髪を揺らしながら可愛らしい少女が現れ、アイロスに抱きついた。
「アイロスお兄様っ…!!会いたかったわっ!!」
「……ヴィー、久しぶりだな」
アイロスはその少女を受け止めるように抱きしめ返していた。
そして彼女こそがシルヴィアなのだと気付いた。
シルヴィアは私が想像していた容姿とは全く違っていた。
兄であるアイロスとは髪の色も瞳の色も違う。
アイロスは漆黒の髪に赤い瞳だけど、シルヴィアは金髪に緑色の瞳をしていた。
容姿だけで言えばザシャの方が似ているような気がする。
以前ザシャがアイロスは従兄弟だと話していた。
そうであるのならば、妹のシルヴィアがザシャと同じ髪色や瞳の色を持っていても何ら可笑しくはないだろう。
そして、シルヴィアを見た時どこかで会ったような既視感を覚えた。
それからすぐに記憶が蘇り、選考会の時にぶつかった子だと気付いた。
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