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53.三人でお茶会①
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ザシャが出て行ってから暫くすると、数名の使用人が入ってきた。
そして準備を手伝ってくれた。
空色のドレスは胸元に大きなリボンが付いていて、首回りにはふんわりとしたフリルがあしらわれている。
そして何段にも重ねられたフリルの間には白いレースが施され、甘さを感じさせる作りになっている。
髪型は毛先の部分だけ軽く巻いてもらい、レースの付いた空色の大きめのリボンを左サイドの髪に付けてもらった。
メイクはナチュラルで、可愛らしいピンク色の口紅を塗ってくれた。
「……わぁ…、すごく可愛い…」
私は鏡に映る自分を見て、思わず見惚れてしまいそうになった。
なんていうかお人形みたいだ。
まるで自分では無い、別人を見ている様な不思議な気分を感じていた。
私はいつものように、色んな角度から鏡に映る自分を楽しそうに眺めていた。
(やっぱりドレスってすごい…!魔法みたい……)
「エミリー様、昨日のドレスも素敵でしたが、今日もとても可愛らしくて似合っていらっしゃいますよ…」
「ありがとうございますっ、このドレス…ザシャさんが選んでくれたんです…」
ザシャが選んでくれたドレスを褒められるとなんだか嬉しくなり、表情を緩めてしまう。
「まぁ、そうなんですね…。さすがザシャ殿下です。エミリー様のお似合いの色をお見立てするなんて、良く見ていらっしゃるのですね…」
「……っ…」
そんなことを言われると照れてしまう。
(ザシャさん…私のこの姿を見たら喜んでくれるかな…)
そんな時ガチャッと扉が開く音が響き、私のいる方に足音が近づいてきた。
私が視線をそちらに向けると、真っ白なロングコートに私と同じ空色のマントを身につけたザシャと視線が合った。
「エミリー…、待たせてしまったかな…」
「ザシャさん…素敵ですっ…!」
私はザシャを視界に捉えると、思わず頬を赤くしながら見惚れてしまった。
よく見ると首に巻かれているスカーフも空色のものを身に付けてくれているようだ。
ザシャと同じ色の物を付けていると思うと、嬉しくて心が弾んでいく。
今の私は少し興奮しているのかもしれない。
「ありがとう、エミリーもすごく可愛らしいよ。やっぱり昨日のドレスよりも、その色のドレスの方がエミリーにはぴったりだ…」
ザシャは柔らかく笑むと私の手をそっと取った。
(どうしよう…今の私…すごくドキドキしてる…)
ザシャに触れていない、もう一方の掌を胸に当てて、この激しい鼓動を押さえようとしても、素直に収まってくれそうもない。
「それに…お揃いってなんだかいいね。エミリーと会うときは毎回そうしたいものだね…」
「……はいっ…」
私が緊張からぎこちなく答えてしまうと、ザシャはそれに気付き小さく笑った。
「どうしたの…?もしかして緊張してる…?」
「そ…そんなことは…」
私は必死に笑顔を作って否定した。
(うそ…、めちゃくちゃ緊張してる…)
「ふふっ、そんなに身構えなくても大丈夫だよ。今日は私とアイロスの三人しかいないのだから、普段通りで構わないよ…」
ザシャは柔らかい口調で続けた。
「外でアイロスも待っているから、行こうか。外も晴天で、お茶会にはぴったりな陽気だな…」
私はその言葉に頷くとザシャに手を引かれながら歩き出した。
そして準備を手伝ってくれた。
空色のドレスは胸元に大きなリボンが付いていて、首回りにはふんわりとしたフリルがあしらわれている。
そして何段にも重ねられたフリルの間には白いレースが施され、甘さを感じさせる作りになっている。
髪型は毛先の部分だけ軽く巻いてもらい、レースの付いた空色の大きめのリボンを左サイドの髪に付けてもらった。
メイクはナチュラルで、可愛らしいピンク色の口紅を塗ってくれた。
「……わぁ…、すごく可愛い…」
私は鏡に映る自分を見て、思わず見惚れてしまいそうになった。
なんていうかお人形みたいだ。
まるで自分では無い、別人を見ている様な不思議な気分を感じていた。
私はいつものように、色んな角度から鏡に映る自分を楽しそうに眺めていた。
(やっぱりドレスってすごい…!魔法みたい……)
「エミリー様、昨日のドレスも素敵でしたが、今日もとても可愛らしくて似合っていらっしゃいますよ…」
「ありがとうございますっ、このドレス…ザシャさんが選んでくれたんです…」
ザシャが選んでくれたドレスを褒められるとなんだか嬉しくなり、表情を緩めてしまう。
「まぁ、そうなんですね…。さすがザシャ殿下です。エミリー様のお似合いの色をお見立てするなんて、良く見ていらっしゃるのですね…」
「……っ…」
そんなことを言われると照れてしまう。
(ザシャさん…私のこの姿を見たら喜んでくれるかな…)
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私が視線をそちらに向けると、真っ白なロングコートに私と同じ空色のマントを身につけたザシャと視線が合った。
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「ザシャさん…素敵ですっ…!」
私はザシャを視界に捉えると、思わず頬を赤くしながら見惚れてしまった。
よく見ると首に巻かれているスカーフも空色のものを身に付けてくれているようだ。
ザシャと同じ色の物を付けていると思うと、嬉しくて心が弾んでいく。
今の私は少し興奮しているのかもしれない。
「ありがとう、エミリーもすごく可愛らしいよ。やっぱり昨日のドレスよりも、その色のドレスの方がエミリーにはぴったりだ…」
ザシャは柔らかく笑むと私の手をそっと取った。
(どうしよう…今の私…すごくドキドキしてる…)
ザシャに触れていない、もう一方の掌を胸に当てて、この激しい鼓動を押さえようとしても、素直に収まってくれそうもない。
「それに…お揃いってなんだかいいね。エミリーと会うときは毎回そうしたいものだね…」
「……はいっ…」
私が緊張からぎこちなく答えてしまうと、ザシャはそれに気付き小さく笑った。
「どうしたの…?もしかして緊張してる…?」
「そ…そんなことは…」
私は必死に笑顔を作って否定した。
(うそ…、めちゃくちゃ緊張してる…)
「ふふっ、そんなに身構えなくても大丈夫だよ。今日は私とアイロスの三人しかいないのだから、普段通りで構わないよ…」
ザシャは柔らかい口調で続けた。
「外でアイロスも待っているから、行こうか。外も晴天で、お茶会にはぴったりな陽気だな…」
私はその言葉に頷くとザシャに手を引かれながら歩き出した。
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