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28.突然決まった顔合わせ
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「んー、あれ? もう朝? もうちょっと寝ていたいな」
「おい。また寝る気か? お前、どんだけ寝るつもりだ?」
私が再び目を瞑ろうとすると、ベッドの横に立っているアイロスと目が合いドキッとした。
(ひぃっ、なんでアイロスさんがここに!?)
「ちょっ……! なんでアイロスさんがここにいるんですか!?」
「それは、お前が全く起きて来ないから仕方なく来たんだ。今何時だと思ってる?」
アイロスは不機嫌そうな顔をして、私の事を睨んでいた。
「えっと、朝?」
「昼前だ」
私が少し考えてから答えると、その直後に即答された。
その言葉に驚いて、私は慌てて起き上がった。
(うそ。もう昼前なの? 私そんなに寝てた?)
「ここのベッド気持ち良くて、ぐっすり眠ってしまったみたい」
私が苦笑いをしていると、アイロスは呆れた顔をしていた。
「起きたならさっさと準備をしろ。俺は廊下で待っているからな。服はある程度クローゼットの中に入れておいたから、好きな物を選んで着るといい」
「どうしてそんなに急いでいるの? なんかあるんですか?」
(作法は来週からって言ってたし、なんだろう)
「昼食は王宮ですることに今朝決まった」
「は……? 王宮って、どうしてですか? 言っておきますが、私テーブルマナーとかまだ習ってないんですけど。無理です。お断りしてくださいっ!」
私は泣きそうな顔でアイロスを見つめた。
(この何も出来ない状態で参加しろっていうの!? そもそも今朝決まったって急過ぎるわ。私そんなの対応出来ないし。どう考えても無理よ!)
「安心しろ、今日は婚約者候補同士の集まりになる。だから多少問題があっても、誤魔化すから問題ない」
「誤魔化すって。誤魔化しきれるんですか? それに婚約者候補ってあのカトリナ様もいるんでしょ? 無理よ。あの人絶対文句を言って来るわ」
カトリナの事を思い出すと更に不安が高まっていく。
出来ればあの人とはもう顔を合わせたくは無かったが、取り決めなら仕方が無い。
「それならお前はそのカトリナっていう女の食べ方を真似ていればいい」
「真似って、そんな簡単に言うけど私に出来るかな。失敗しても文句は言わないでくださいねっ! 一応頑張りますけど……」
私が渋々答えるとアイロスは「それでいい」とだけ答えた。
(適当ね。どうなっても私、知らないからね?)
「でもユリアさんは今日はザシャさんと一緒に過ごす日じゃなかったの?」
「ああ、だからザシャ様も参加する。今回それを提案したのは、その候補者だからな。なんでも、決まってから顔合わせをしていなかったから、一度しておきたいとの事らしい。全く余計な事を」
確かに言われてみれば決まってから三人で会う事は無かった。
……というか、私がその中の一人であることを知ったら二人はどんな顔をするのだろう。
明らかにカトリナは激怒するだろうと容易に想像出来、私は「ははっ」と力なく笑った。
(でもユリアさんもカトリナ様と会うのは嫌じゃないのかな? あの時相当酷い事言われてるみたいだったし)
「ザシャ様がいる時点で、お前が二人から責められる事は無いはずだ。睨まれる程度なら我慢するんだな」
「分かっているわ。耐えます。それが私の仕事ですし」
「話はこの辺にして、早く準備をしろ。本当に間に合わなくなるぞ?」
「……っ、急ぎますっ!」
「着替えたらすぐに呼べ。廊下に使用人を用意しておく」
「はいっ」
アイロスはそう言うと部屋から出て行った。
私は慌てて準備を始めた。
(ザシャさんも来るんだ)
そう思うと昨日の事を思い出しなんだか恥ずかしくなってしまう。
(今はそんな事を考えている場合ではないわね。私が遅れたらきっとザシャさんに迷惑をかけてしまうわ)
「おい。また寝る気か? お前、どんだけ寝るつもりだ?」
私が再び目を瞑ろうとすると、ベッドの横に立っているアイロスと目が合いドキッとした。
(ひぃっ、なんでアイロスさんがここに!?)
「ちょっ……! なんでアイロスさんがここにいるんですか!?」
「それは、お前が全く起きて来ないから仕方なく来たんだ。今何時だと思ってる?」
アイロスは不機嫌そうな顔をして、私の事を睨んでいた。
「えっと、朝?」
「昼前だ」
私が少し考えてから答えると、その直後に即答された。
その言葉に驚いて、私は慌てて起き上がった。
(うそ。もう昼前なの? 私そんなに寝てた?)
「ここのベッド気持ち良くて、ぐっすり眠ってしまったみたい」
私が苦笑いをしていると、アイロスは呆れた顔をしていた。
「起きたならさっさと準備をしろ。俺は廊下で待っているからな。服はある程度クローゼットの中に入れておいたから、好きな物を選んで着るといい」
「どうしてそんなに急いでいるの? なんかあるんですか?」
(作法は来週からって言ってたし、なんだろう)
「昼食は王宮ですることに今朝決まった」
「は……? 王宮って、どうしてですか? 言っておきますが、私テーブルマナーとかまだ習ってないんですけど。無理です。お断りしてくださいっ!」
私は泣きそうな顔でアイロスを見つめた。
(この何も出来ない状態で参加しろっていうの!? そもそも今朝決まったって急過ぎるわ。私そんなの対応出来ないし。どう考えても無理よ!)
「安心しろ、今日は婚約者候補同士の集まりになる。だから多少問題があっても、誤魔化すから問題ない」
「誤魔化すって。誤魔化しきれるんですか? それに婚約者候補ってあのカトリナ様もいるんでしょ? 無理よ。あの人絶対文句を言って来るわ」
カトリナの事を思い出すと更に不安が高まっていく。
出来ればあの人とはもう顔を合わせたくは無かったが、取り決めなら仕方が無い。
「それならお前はそのカトリナっていう女の食べ方を真似ていればいい」
「真似って、そんな簡単に言うけど私に出来るかな。失敗しても文句は言わないでくださいねっ! 一応頑張りますけど……」
私が渋々答えるとアイロスは「それでいい」とだけ答えた。
(適当ね。どうなっても私、知らないからね?)
「でもユリアさんは今日はザシャさんと一緒に過ごす日じゃなかったの?」
「ああ、だからザシャ様も参加する。今回それを提案したのは、その候補者だからな。なんでも、決まってから顔合わせをしていなかったから、一度しておきたいとの事らしい。全く余計な事を」
確かに言われてみれば決まってから三人で会う事は無かった。
……というか、私がその中の一人であることを知ったら二人はどんな顔をするのだろう。
明らかにカトリナは激怒するだろうと容易に想像出来、私は「ははっ」と力なく笑った。
(でもユリアさんもカトリナ様と会うのは嫌じゃないのかな? あの時相当酷い事言われてるみたいだったし)
「ザシャ様がいる時点で、お前が二人から責められる事は無いはずだ。睨まれる程度なら我慢するんだな」
「分かっているわ。耐えます。それが私の仕事ですし」
「話はこの辺にして、早く準備をしろ。本当に間に合わなくなるぞ?」
「……っ、急ぎますっ!」
「着替えたらすぐに呼べ。廊下に使用人を用意しておく」
「はいっ」
アイロスはそう言うと部屋から出て行った。
私は慌てて準備を始めた。
(ザシャさんも来るんだ)
そう思うと昨日の事を思い出しなんだか恥ずかしくなってしまう。
(今はそんな事を考えている場合ではないわね。私が遅れたらきっとザシャさんに迷惑をかけてしまうわ)
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