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17.温もりの正体
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なんだかとても温かくて、気持ちが良い。
私はその何かにぎゅっと抱き着いた。
(なにこの抱き枕、すごく温かいしいい匂いがする)
私は後ろに回した手で、その感触を確かめる様に掌を滑らせた。
(なんだろう、この感じ。まるで人の肌みたいな触り心地)
私はそれがとても気になり、ゆっくりと瞼を開いた。
すると目を開けた瞬間、ザシャと目が合った。
「え?……ザシャ、さん?」
「やっと目を開けたね。いつ気付くのかなって思って待ってたけど、エミリーが私の体を触り始めたから少し驚いたよ。エミリーって結構大胆なんだな」
ザシャはにっこり笑いながら楽しそうに話していた。
しかもザシャの顔は私のすぐ目の前にあり、我に返ると私は慌てて離れようとした。
(な、な、なんなのこれ!? っていうか何で私、ザシャさんに抱き着いてるの!?)
「エミリー、まだ離してあげないよ」
「あのっ、なんなんですか! この状態は」
私は動揺しながら焦り、ザシャから離れようとするも、がっちり腰を掴まれているので逃げられなかった。
「エミリー、昨日の事覚えてる?」
「昨日?」
「お風呂で上せてしまった事。気分はどう? 昨日は辛そうだったけど、まだどこか痛む所や具合が良くない所はある?」
「頭痛も取れて今は大丈夫そうです。なので離してくださいっ!」
ザシャは心配そうに私の顔を見つめていた。
私は昨日の事を思い出すと顔が真っ赤に染まっていった。
「エミリーの顔真っ赤だな、どうしたの? 熱があるのかな?」
「……っ!」
ザシャはクスッと小さく笑うと私の額に自分の額をくっつけた。
更にザシャとの距離が縮まり、私はドキドキして心臓が飛び出そうなくらい、鼓動が速くなっているのを感じていた。
(ザシャさん、何を考えているの!?)
「エミリーの鼓動、どんどん早くなってきてるね。本当にエミリーは可愛いな」
「もう、いい加減にしてくださいっ!」
私はザシャの事を真っ赤な顔で睨みつけた。
「その顔で睨んでるつもりか? ……煽ってるの間違いじゃない?」
「違いま……んんっ!」
私が言い返そうとすると、唇を奪われた。
唇が重なると、ザシャのざらっとした舌が私の唇の輪郭をなぞる様にねっとりと舐めあげた。
その感覚に思わずぞくっと体を震わせた。
「その反応、いいね。昨日の様に、エミリーからも私の事を求めて欲しいな」
「あれはっ! の、喉が渇いたからでっ……」
「それならまた水を飲ませてあげようか?」
「結構ですっ! それにこんなの間違ってます。こういうのって好きな人とするものじゃないんですか?」
私が必死な顔で答えると、ザシャは真直ぐに私の瞳を見つめていた。
(そんなに真直ぐ見つめないで! 恥ずかしいっ)
「昨日私が言った言葉、覚えてる?」
「初恋の話ですか?」
「それもそうだけど、本気でエミリーが欲しくなったって言った事だよ」
「それって私に愛人になれってことですか? この半年の間だったら契約期間だし、いいですよ!」
私がそう答えると、ザシャは驚いた顔をした。
「え……」
「え?」
「いや、そういうつもりで言ったわけではなかったんだけどな。エミリーは私と愛人関係を結んでも構わないと思ってるの? 愛人になるって何をするか分かってて言ってる?」
「わ、わかってます! いちゃいちゃするんですよね? 恋人の様に。でも愛人だから、隠れていちゃいちゃなんですか?」
私が恥ずかしそうに答えるとザシャは突然笑い出した。
「エミリー、君ってやっぱり最高だよ。ふふっ」
ザシャは本当に可笑しそうに笑っている。
私は突然大笑いされてしまいぽかんとしていた。
(私、何か変な事言った? ザシャさん、めちゃくちゃ笑ってる)
ザシャは暫く笑っていたが、漸く落ち着くと私を解放して起き上がった。
「やっぱりエミリーはエミリーだな。そんな所、すごく好きだよ」
「……っ」
ザシャに好きだと言われて、心がざわざわしていた。
私はその何かにぎゅっと抱き着いた。
(なにこの抱き枕、すごく温かいしいい匂いがする)
私は後ろに回した手で、その感触を確かめる様に掌を滑らせた。
(なんだろう、この感じ。まるで人の肌みたいな触り心地)
私はそれがとても気になり、ゆっくりと瞼を開いた。
すると目を開けた瞬間、ザシャと目が合った。
「え?……ザシャ、さん?」
「やっと目を開けたね。いつ気付くのかなって思って待ってたけど、エミリーが私の体を触り始めたから少し驚いたよ。エミリーって結構大胆なんだな」
ザシャはにっこり笑いながら楽しそうに話していた。
しかもザシャの顔は私のすぐ目の前にあり、我に返ると私は慌てて離れようとした。
(な、な、なんなのこれ!? っていうか何で私、ザシャさんに抱き着いてるの!?)
「エミリー、まだ離してあげないよ」
「あのっ、なんなんですか! この状態は」
私は動揺しながら焦り、ザシャから離れようとするも、がっちり腰を掴まれているので逃げられなかった。
「エミリー、昨日の事覚えてる?」
「昨日?」
「お風呂で上せてしまった事。気分はどう? 昨日は辛そうだったけど、まだどこか痛む所や具合が良くない所はある?」
「頭痛も取れて今は大丈夫そうです。なので離してくださいっ!」
ザシャは心配そうに私の顔を見つめていた。
私は昨日の事を思い出すと顔が真っ赤に染まっていった。
「エミリーの顔真っ赤だな、どうしたの? 熱があるのかな?」
「……っ!」
ザシャはクスッと小さく笑うと私の額に自分の額をくっつけた。
更にザシャとの距離が縮まり、私はドキドキして心臓が飛び出そうなくらい、鼓動が速くなっているのを感じていた。
(ザシャさん、何を考えているの!?)
「エミリーの鼓動、どんどん早くなってきてるね。本当にエミリーは可愛いな」
「もう、いい加減にしてくださいっ!」
私はザシャの事を真っ赤な顔で睨みつけた。
「その顔で睨んでるつもりか? ……煽ってるの間違いじゃない?」
「違いま……んんっ!」
私が言い返そうとすると、唇を奪われた。
唇が重なると、ザシャのざらっとした舌が私の唇の輪郭をなぞる様にねっとりと舐めあげた。
その感覚に思わずぞくっと体を震わせた。
「その反応、いいね。昨日の様に、エミリーからも私の事を求めて欲しいな」
「あれはっ! の、喉が渇いたからでっ……」
「それならまた水を飲ませてあげようか?」
「結構ですっ! それにこんなの間違ってます。こういうのって好きな人とするものじゃないんですか?」
私が必死な顔で答えると、ザシャは真直ぐに私の瞳を見つめていた。
(そんなに真直ぐ見つめないで! 恥ずかしいっ)
「昨日私が言った言葉、覚えてる?」
「初恋の話ですか?」
「それもそうだけど、本気でエミリーが欲しくなったって言った事だよ」
「それって私に愛人になれってことですか? この半年の間だったら契約期間だし、いいですよ!」
私がそう答えると、ザシャは驚いた顔をした。
「え……」
「え?」
「いや、そういうつもりで言ったわけではなかったんだけどな。エミリーは私と愛人関係を結んでも構わないと思ってるの? 愛人になるって何をするか分かってて言ってる?」
「わ、わかってます! いちゃいちゃするんですよね? 恋人の様に。でも愛人だから、隠れていちゃいちゃなんですか?」
私が恥ずかしそうに答えるとザシャは突然笑い出した。
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私は突然大笑いされてしまいぽかんとしていた。
(私、何か変な事言った? ザシャさん、めちゃくちゃ笑ってる)
ザシャは暫く笑っていたが、漸く落ち着くと私を解放して起き上がった。
「やっぱりエミリーはエミリーだな。そんな所、すごく好きだよ」
「……っ」
ザシャに好きだと言われて、心がざわざわしていた。
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