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8.王宮へ②
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私は遠くに見えるザシャの姿を瞳に捉えながら、固まっていた。
(ザシャさんが王太子? うそ、でしょ?)
信じられなかった。
だけど奥に見えるのは、間違いなく昨日会ったザシャの姿だ。
傍には不愛想だったアイロスの姿も見える。
昨日普通に会話をしていた相手が、まさか王太子だったなんて驚くしかなかった。
しかも私はかなり失礼な事を言ってしまった気がする。
「レイラさん、大丈夫?」
「え? あ、ごめんなさい。あの、ユリアさん。本当に、本当にあの方が王太子様なの?」
「はい。そうですけど。レイラさんはザシャ殿下を見るのは初めてですか?」
「初めて、です」
ユリアに聞かれて、私は咄嗟に初めてだと答えてしまった。
(どうしよう、どうしよう! 私がお姉様でない事がバレてしまうのはまずいわ!)
ザシャに会えば私が姉の代理で来たことがすぐにバレてしまうだろう。
昨日会った感じだと優しそうな人だったから事情を話せば許してもらえるかもしれないが、出来る限りリスクは回避したい。
(こんなに沢山いるんだし、近づかなければ見つかる事はないかもしれないわね)
見渡す限り、この広間には100人以上の令嬢達が集まっていそうだ。
田舎にいる貧乏令嬢まで呼び出す位なのだから、各地から集められたのだろう。
「レイラさん、そろそろザシャ殿下の挨拶が始まりそうです。前の方に行きましょ」
「えーっと、私は後ろの方で見ているわ。人酔いしてしまいそうなので」
私が困った顔で答えると、ユリアは心配そうな顔で覗き込んで来た。
「大丈夫ですか? 気分が悪いならどこか休める所に」
「ううん、大丈夫よ。暫く後ろの方で休んでるわ。ユリアさんは前の方に行って、しっかり聞いて来てください! 私の事を気遣ってくれてありがとうございますっ」
自分が嘘を付いてしまったことに罪悪感を感じながらも必死に誤魔化した。
(ユリアさん、親切にしてくれたのにごめんなさい)
「そう、ですか。分かりました。ご無理はなさらない様」
「ええ、ありがとう」
ユリアは心配そうな表情を浮かべながらも、令嬢達が集まる前の方へと移動していった。
私はそれを確認し、ほっとした様に「はぁ」と深く息を吐いた。
暫くするとザシャの挨拶が始まった。
今日のザシャは真っ白な服を纏っていた。
肩からは深紅のマントが掛けられ、良いアクセントになっている。
昨日会ったザシャも素敵だったが、今日はそれ以上だった。
周りの令嬢達が見惚れているのも理解出来たし、逆に見惚れない者なんているのだろうかと思う程だ。
「今日は私の為に遠くから集まってくれたことを感謝する。知っている者も多いとは思うが、私の元婚約者だった女性は不幸な事故によりこの世を去ってしまった。そこで新たな婚約者を探すために、今回選考会を開くことになった。この後、皆と話せる機会を楽しみにしているよ」
(え? ザシャさんの前の婚約者さんって事故に遭ったの?)
私はなんとも言えない感情を持ちながら、ザシャの方へと視線を向けた。
ザシャからは辛いとか、悲しいといった表情は一切読み取れず、ただ淡々とした口調で話し続けている。
前の婚約者に対して、大して感情は持っていなかったのだろうか?
それとも、こんな場面だから顔に出さないように必死に耐えているのだろうか。
どちらにしても私の心の中はもやもやとして、暫くはその気持ちを拭いきることは出来なかった。
ザシャの挨拶が終わると、暫くして個別の挨拶の時間が設けられることになっていた。
集まっていた令嬢達は並び始め、気付けばずらっと長い列が出来ていた。
(挨拶はした方が良いとは思うけど、行けば確実にバレるよね。こんなにいるなら一人くらい行かなくても気付かれないかも)
私は敢えて列には並ばず、後ろの方に用意されている料理が置かれたテーブルの方に移動した。
そこには色とりどりの綺麗なお菓子などが綺麗に並べられている。
私の瞳には芸術の様に映り、胸が高鳴り私の心は一瞬で奪われた。
思わずゴクリと息を呑む。
(これって、勝手に食べても良いのよね?)
辺りをきょろきょろと見渡すも、テーブルの傍には他の令嬢の姿は無かった。
皆挨拶の列に並んでいるのだろう。
(誰も居ないなら、遠慮する事無く食べれるわね)
私は横に置かれているお皿を手に取ると、片っ端からお菓子をお皿に取り分けて行った。
可愛らしい焼き菓子から、クリームがたっぷり乗ったケーキまで種類は豊富だ。
私は「頂きます」と小声で呟くと、フォークに乗ったケーキを口の中に放り込んだ。
するとたちまち私の顔の筋肉は緩んでいった。
(お、美味しいっ!!)
口の中いっぱいに甘さが広がっていく。
私はパクパクと夢中で食べ進めていった。
(ああ、こんな美味しいものがあるなんて信じられないわっ! さすが王宮ね。最初はこんなところになんて来たくは無かったけど、こんなに美味しいものが食べられるなら全然ありね!)
お皿に乗ったお菓子が無くなると、更に取りに行って何度かそれを繰り返した。
お腹と心が満たされた頃に、ユリアが私の傍へと戻って来た。
「レイラさん、体調は大丈夫ですか?」
「(食べ過ぎて)苦しいです……」
その言葉を聞いて、ユリアは戸惑いの表情を見せた。
「だ、大丈夫ですか? 医務室に連れて行ってもらいますか?」
「医務室? いえ、大丈夫です。ただの食べ過ぎなので」
私がははっと乾いた笑みを漏らすと、ユリアは苦笑していた。
「レイラさんは、ザシャ殿下の挨拶には行かれたんですか?」
「……ええ」
私は思わず頷いてしまった。
この際行ったことにして誤魔化してしまえばいいと思った。
「そうですか。ザシャ殿下ってすごく素敵な方ですよね」
「ええ、そうね。優しそうだし」
「そうなんですっ! すごく優しい方」
ユリアはザシャの方へと視線を向けて、仄かに頬を染めている。
「ユリアさんはザシャ殿下のこと、お好きなんですね。婚約者に選ばれるといいですね!」
「わ、私はそんなんじゃ……。それに私が選ばれる事はないと思います」
私がさらりと答えると、ユリアは慌てる様に手を顔の前で左右に振った。
「どうして? だってここに来るってことは、ユリアさんにもその資格があるってことでしょ?」
「それは……」
私が問いかけるとユリアは暗い表情を見せ、顔を俯かせた。
何か聞いてはいけない事に触れてしまったのだろうか。
「ごめんなさい。私、ちょっと食べ過ぎちゃったから、外に出て休憩でもしてくるわ」
ついでにお花摘みに、と告げて逃げる様に大広間を後にした。
***
(理由は分からないけど、ユリアさんも色々あるのね)
私が廊下を歩いていると突然「おい」と声を掛けられて、顔を上げた。
そこには不愛想な顔をしたアイロスの姿があった。
まるで睨む様に私の事を真直ぐに捉えている。
「…………」
私はにこっと笑顔を作り、誤魔化して通り過ぎようとすると突然手首を掴まれた。
「気持ち悪い笑顔は要らない」
「なっ! 気持ち悪いって、酷い!」
アイロスは小さくため息を漏らすと呆れた様に答えた。
私は思わずむっとしてアイロスを睨みつけた。
「そんな事より、お前に用がある。来てくれ」
「は? ちょっと、待ってくださいっ」
アイロスは私の手首を掴みながら、歩き出した。
私が抵抗すると振り返り「なんだ?」と面倒くさそうに聞いて来た。
「私はお花摘みに行くんです。だから邪魔しないでください」
「ああ、それなら案内してやる」
「はっ?」
「どうせ場所もわからないんだろ? 遠慮するな、ついでだ」
アイロスは私の手首を解放する事もなく、そのまま歩き始めた。
「一体私に何の用があるって言うんですか? 私は会場に戻らないと」
「エミリー・ヴィアレット」
「え?」
「お前が、姉であるレイラ・ヴィアレットと偽ってここに来たことはバレているからな」
「……!!」
(ザシャさんが王太子? うそ、でしょ?)
信じられなかった。
だけど奥に見えるのは、間違いなく昨日会ったザシャの姿だ。
傍には不愛想だったアイロスの姿も見える。
昨日普通に会話をしていた相手が、まさか王太子だったなんて驚くしかなかった。
しかも私はかなり失礼な事を言ってしまった気がする。
「レイラさん、大丈夫?」
「え? あ、ごめんなさい。あの、ユリアさん。本当に、本当にあの方が王太子様なの?」
「はい。そうですけど。レイラさんはザシャ殿下を見るのは初めてですか?」
「初めて、です」
ユリアに聞かれて、私は咄嗟に初めてだと答えてしまった。
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ザシャに会えば私が姉の代理で来たことがすぐにバレてしまうだろう。
昨日会った感じだと優しそうな人だったから事情を話せば許してもらえるかもしれないが、出来る限りリスクは回避したい。
(こんなに沢山いるんだし、近づかなければ見つかる事はないかもしれないわね)
見渡す限り、この広間には100人以上の令嬢達が集まっていそうだ。
田舎にいる貧乏令嬢まで呼び出す位なのだから、各地から集められたのだろう。
「レイラさん、そろそろザシャ殿下の挨拶が始まりそうです。前の方に行きましょ」
「えーっと、私は後ろの方で見ているわ。人酔いしてしまいそうなので」
私が困った顔で答えると、ユリアは心配そうな顔で覗き込んで来た。
「大丈夫ですか? 気分が悪いならどこか休める所に」
「ううん、大丈夫よ。暫く後ろの方で休んでるわ。ユリアさんは前の方に行って、しっかり聞いて来てください! 私の事を気遣ってくれてありがとうございますっ」
自分が嘘を付いてしまったことに罪悪感を感じながらも必死に誤魔化した。
(ユリアさん、親切にしてくれたのにごめんなさい)
「そう、ですか。分かりました。ご無理はなさらない様」
「ええ、ありがとう」
ユリアは心配そうな表情を浮かべながらも、令嬢達が集まる前の方へと移動していった。
私はそれを確認し、ほっとした様に「はぁ」と深く息を吐いた。
暫くするとザシャの挨拶が始まった。
今日のザシャは真っ白な服を纏っていた。
肩からは深紅のマントが掛けられ、良いアクセントになっている。
昨日会ったザシャも素敵だったが、今日はそれ以上だった。
周りの令嬢達が見惚れているのも理解出来たし、逆に見惚れない者なんているのだろうかと思う程だ。
「今日は私の為に遠くから集まってくれたことを感謝する。知っている者も多いとは思うが、私の元婚約者だった女性は不幸な事故によりこの世を去ってしまった。そこで新たな婚約者を探すために、今回選考会を開くことになった。この後、皆と話せる機会を楽しみにしているよ」
(え? ザシャさんの前の婚約者さんって事故に遭ったの?)
私はなんとも言えない感情を持ちながら、ザシャの方へと視線を向けた。
ザシャからは辛いとか、悲しいといった表情は一切読み取れず、ただ淡々とした口調で話し続けている。
前の婚約者に対して、大して感情は持っていなかったのだろうか?
それとも、こんな場面だから顔に出さないように必死に耐えているのだろうか。
どちらにしても私の心の中はもやもやとして、暫くはその気持ちを拭いきることは出来なかった。
ザシャの挨拶が終わると、暫くして個別の挨拶の時間が設けられることになっていた。
集まっていた令嬢達は並び始め、気付けばずらっと長い列が出来ていた。
(挨拶はした方が良いとは思うけど、行けば確実にバレるよね。こんなにいるなら一人くらい行かなくても気付かれないかも)
私は敢えて列には並ばず、後ろの方に用意されている料理が置かれたテーブルの方に移動した。
そこには色とりどりの綺麗なお菓子などが綺麗に並べられている。
私の瞳には芸術の様に映り、胸が高鳴り私の心は一瞬で奪われた。
思わずゴクリと息を呑む。
(これって、勝手に食べても良いのよね?)
辺りをきょろきょろと見渡すも、テーブルの傍には他の令嬢の姿は無かった。
皆挨拶の列に並んでいるのだろう。
(誰も居ないなら、遠慮する事無く食べれるわね)
私は横に置かれているお皿を手に取ると、片っ端からお菓子をお皿に取り分けて行った。
可愛らしい焼き菓子から、クリームがたっぷり乗ったケーキまで種類は豊富だ。
私は「頂きます」と小声で呟くと、フォークに乗ったケーキを口の中に放り込んだ。
するとたちまち私の顔の筋肉は緩んでいった。
(お、美味しいっ!!)
口の中いっぱいに甘さが広がっていく。
私はパクパクと夢中で食べ進めていった。
(ああ、こんな美味しいものがあるなんて信じられないわっ! さすが王宮ね。最初はこんなところになんて来たくは無かったけど、こんなに美味しいものが食べられるなら全然ありね!)
お皿に乗ったお菓子が無くなると、更に取りに行って何度かそれを繰り返した。
お腹と心が満たされた頃に、ユリアが私の傍へと戻って来た。
「レイラさん、体調は大丈夫ですか?」
「(食べ過ぎて)苦しいです……」
その言葉を聞いて、ユリアは戸惑いの表情を見せた。
「だ、大丈夫ですか? 医務室に連れて行ってもらいますか?」
「医務室? いえ、大丈夫です。ただの食べ過ぎなので」
私がははっと乾いた笑みを漏らすと、ユリアは苦笑していた。
「レイラさんは、ザシャ殿下の挨拶には行かれたんですか?」
「……ええ」
私は思わず頷いてしまった。
この際行ったことにして誤魔化してしまえばいいと思った。
「そうですか。ザシャ殿下ってすごく素敵な方ですよね」
「ええ、そうね。優しそうだし」
「そうなんですっ! すごく優しい方」
ユリアはザシャの方へと視線を向けて、仄かに頬を染めている。
「ユリアさんはザシャ殿下のこと、お好きなんですね。婚約者に選ばれるといいですね!」
「わ、私はそんなんじゃ……。それに私が選ばれる事はないと思います」
私がさらりと答えると、ユリアは慌てる様に手を顔の前で左右に振った。
「どうして? だってここに来るってことは、ユリアさんにもその資格があるってことでしょ?」
「それは……」
私が問いかけるとユリアは暗い表情を見せ、顔を俯かせた。
何か聞いてはいけない事に触れてしまったのだろうか。
「ごめんなさい。私、ちょっと食べ過ぎちゃったから、外に出て休憩でもしてくるわ」
ついでにお花摘みに、と告げて逃げる様に大広間を後にした。
***
(理由は分からないけど、ユリアさんも色々あるのね)
私が廊下を歩いていると突然「おい」と声を掛けられて、顔を上げた。
そこには不愛想な顔をしたアイロスの姿があった。
まるで睨む様に私の事を真直ぐに捉えている。
「…………」
私はにこっと笑顔を作り、誤魔化して通り過ぎようとすると突然手首を掴まれた。
「気持ち悪い笑顔は要らない」
「なっ! 気持ち悪いって、酷い!」
アイロスは小さくため息を漏らすと呆れた様に答えた。
私は思わずむっとしてアイロスを睨みつけた。
「そんな事より、お前に用がある。来てくれ」
「は? ちょっと、待ってくださいっ」
アイロスは私の手首を掴みながら、歩き出した。
私が抵抗すると振り返り「なんだ?」と面倒くさそうに聞いて来た。
「私はお花摘みに行くんです。だから邪魔しないでください」
「ああ、それなら案内してやる」
「はっ?」
「どうせ場所もわからないんだろ? 遠慮するな、ついでだ」
アイロスは私の手首を解放する事もなく、そのまま歩き始めた。
「一体私に何の用があるって言うんですか? 私は会場に戻らないと」
「エミリー・ヴィアレット」
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