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53.運命の出会い①-sideアレクシス-
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私の隣で気持ち良さそうに眠る、彼女の髪を柔らかく撫でていた。
この可愛らしい寝顔を見ていると、それだけで何時間でも過ごせてしまえそうだ。
先程、漸く彼女と一つになった。
初めてなのに、私は興奮で気持ちが抑えられなくなり無理をさせてしまった。
そして最中の間、彼女は何度も『好き』だと言ってくれた。
そのことを頭の中で再生するだけで、顔が緩んで来てしまいそうだ。
「リリア、私の愛しい人。愛してる……。これからは一生傍にいるよ。もう離れられない関係になったのだから、ね」
***
私はアレクシス・ルーベン。
この国の第一王子であり、歴代一を誇るような強大な魔力を持って生まれてきた。
王族は他の貴族に比べて魔力の血が濃いとされており、それにはちゃんとした理由が存在している。
始祖の時代から存在していた貴族の中には、今の王族のように強い魔力を得てして生まれてくる者達が複数いたそうだ。
家の繁栄とその力を後世に受け継がせて行くために、強い魔力を持つ家柄同士だったり、親族間での婚姻が行われていた。
しかし戦乱が始まると、魔力を持っている者は敵国にとっては脅威になるため当然狙われる。
そして時代の流れと共に、考え方を変える者達も出てくる。
そういった様々な理由から魔力は衰退し、今では王族のみが強い魔力を保持した状況になっている。
それでも昔と比べたら、かなり魔力量は下がっているようだ。
王家はこのしきたりを今でも守っている。
この国を守るため、そして力を周囲に知らしめる為に必要なことらしい。
その為、王族の婚姻は定められた家の者としなくてはならない。
そんな中、私は何の因果か偶然の配合なのかは分からないが、強い魔力を持って生まれてきた。
私のことを、神の使いや始祖の生まれ変わりなんて言う者もいる。
過剰な程に将来を期待され、特別な人間だと頭にすり込ませるように育てられた。
しかし同時に、この力のせいで私を利用しようとしている者達が多くいることを、子供ながらに気付いていた。
ずっとそれが心の中に引っかかり、不満を膨らませていく。
だけどそんな心情は表には出さず、淡々と与えられることを熟していった。
まだ幼い自分には、知識と技量が圧倒的に足りないと理解していたからだ。
私は利用される側の人間では無く、利用する側に立ちたいと思っていた。
だから今は大人しく本心をひた隠し、来るべき時まで静かに従おうと考えた。
幼い頃から王子としての特権で、禁書庫への立ち入りは許されていた。
私はいずれ王になる人間だと、誰もが思っていたのだろう。
だから今の内から知識を蓄えておくことは、決して悪くないことだと思ったようだ。
おかげで始祖の歴史や、失われたとされる禁忌魔法について知ることが出来た。
そして魔力の上げ方、更には禁忌魔法の使い方を習得した。
私は早く実力を付けたくて、騎士団に志願した。
いずれはこの国を担う人間なので、もっと強くなりたいと適当な理由を付けたら、喜んで受け入れて貰えた。
そんな頃だった。
彼女に出会ったのは。
リリア・シュトール伯爵令嬢。
王宮の廊下を歩いていると、見慣れない幼い少女を偶然見かけた。
年齢は私より少し下くらいだろうか。
少し進む度に、落ち着きがなさそうに辺りをきょろきょろとしている。
僅かに瞳が赤く染まっているようにも見えた。
「どうしたの?」
「……っ!」
なんとなく気になり、軽い気持ちで声をかけてみる。
明らかに様子が怪しかったし、少し興味が沸いていた。
「もしかしなくても、迷子……、かな?」
私の問いかけに彼女はビクッと体を震わせていたが、警戒するように身構えているだけで何も返答してこない。
そこで更に問いかけてみることにした。
「ち、違いますっ! ……ち、違わないです」
「どっち?」
「うっ、……迷いました」
私が呆れたような口調で聞き返すと、彼女は漸く迷子だと認めて、しょんぼりと肩を落としながら小さく答えていた。
「王宮内は広いし、同じような造りになっているからね。慣れない人間は大人でも迷うみたいだよ。だからそんなに気を落とさないで」
「……はい」
「誰かの付き添いで来たの?」
「……いえ」
彼女は明らかに動揺している様子で、目を左右に泳がせていた。
そんな姿に更に興味が沸いてきてしまう。
「とりあえず、目的地を教えて。そうしたら案内してあげるよ」
「え……!? この王宮に詳しいんですか?」
「まあ、一応住んでいるからね。君よりは詳しいと思うよ」
「……っ!? も、もしかして、ラルス様ですか?」
彼女の口から弟の名前が出てきて少し驚いた。
本気で驚いているその姿を前にして、少し話をしてみたいと思い、私は簡単な嘘を付くことにした。
「私がラルスだけど……」
「や、やっぱり。も、申し訳ありませんっ!」
「どうして謝るの?」
「だって、迷子になるなんて失態を犯してしまって。前もって下見をするべきでした」
彼女は恐らく本物のラルスには会ったことがないのだろう。
私の付いた嘘に全く気付く気配も無く、本気で私のことをラルスだと思い込んでいるようだ。
少し悪い事をしたかなと思ったが、罪悪感はあまり感じなかった。
「とりあえず、こっちに来て」
「えっ……」
私は彼女の手を握り、歩き出した。
もしここで本物に遭遇してしまったら、話すことが出来なくなってしまう。
折角面白そうな人間と出会ったのに、みすみす逃したくはない。
私の周りには媚びを売る人間しか集まってこない。
いつも人の顔色を窺うように話して、作り笑顔を向けて来る者ばかりだ。
そんな人間といくら話していても、全く面白くもない。
だから彼女の戸惑った反応をもっとみたいと思ってしまった。
そして、これが私達の運命の出会いだった。
この可愛らしい寝顔を見ていると、それだけで何時間でも過ごせてしまえそうだ。
先程、漸く彼女と一つになった。
初めてなのに、私は興奮で気持ちが抑えられなくなり無理をさせてしまった。
そして最中の間、彼女は何度も『好き』だと言ってくれた。
そのことを頭の中で再生するだけで、顔が緩んで来てしまいそうだ。
「リリア、私の愛しい人。愛してる……。これからは一生傍にいるよ。もう離れられない関係になったのだから、ね」
***
私はアレクシス・ルーベン。
この国の第一王子であり、歴代一を誇るような強大な魔力を持って生まれてきた。
王族は他の貴族に比べて魔力の血が濃いとされており、それにはちゃんとした理由が存在している。
始祖の時代から存在していた貴族の中には、今の王族のように強い魔力を得てして生まれてくる者達が複数いたそうだ。
家の繁栄とその力を後世に受け継がせて行くために、強い魔力を持つ家柄同士だったり、親族間での婚姻が行われていた。
しかし戦乱が始まると、魔力を持っている者は敵国にとっては脅威になるため当然狙われる。
そして時代の流れと共に、考え方を変える者達も出てくる。
そういった様々な理由から魔力は衰退し、今では王族のみが強い魔力を保持した状況になっている。
それでも昔と比べたら、かなり魔力量は下がっているようだ。
王家はこのしきたりを今でも守っている。
この国を守るため、そして力を周囲に知らしめる為に必要なことらしい。
その為、王族の婚姻は定められた家の者としなくてはならない。
そんな中、私は何の因果か偶然の配合なのかは分からないが、強い魔力を持って生まれてきた。
私のことを、神の使いや始祖の生まれ変わりなんて言う者もいる。
過剰な程に将来を期待され、特別な人間だと頭にすり込ませるように育てられた。
しかし同時に、この力のせいで私を利用しようとしている者達が多くいることを、子供ながらに気付いていた。
ずっとそれが心の中に引っかかり、不満を膨らませていく。
だけどそんな心情は表には出さず、淡々と与えられることを熟していった。
まだ幼い自分には、知識と技量が圧倒的に足りないと理解していたからだ。
私は利用される側の人間では無く、利用する側に立ちたいと思っていた。
だから今は大人しく本心をひた隠し、来るべき時まで静かに従おうと考えた。
幼い頃から王子としての特権で、禁書庫への立ち入りは許されていた。
私はいずれ王になる人間だと、誰もが思っていたのだろう。
だから今の内から知識を蓄えておくことは、決して悪くないことだと思ったようだ。
おかげで始祖の歴史や、失われたとされる禁忌魔法について知ることが出来た。
そして魔力の上げ方、更には禁忌魔法の使い方を習得した。
私は早く実力を付けたくて、騎士団に志願した。
いずれはこの国を担う人間なので、もっと強くなりたいと適当な理由を付けたら、喜んで受け入れて貰えた。
そんな頃だった。
彼女に出会ったのは。
リリア・シュトール伯爵令嬢。
王宮の廊下を歩いていると、見慣れない幼い少女を偶然見かけた。
年齢は私より少し下くらいだろうか。
少し進む度に、落ち着きがなさそうに辺りをきょろきょろとしている。
僅かに瞳が赤く染まっているようにも見えた。
「どうしたの?」
「……っ!」
なんとなく気になり、軽い気持ちで声をかけてみる。
明らかに様子が怪しかったし、少し興味が沸いていた。
「もしかしなくても、迷子……、かな?」
私の問いかけに彼女はビクッと体を震わせていたが、警戒するように身構えているだけで何も返答してこない。
そこで更に問いかけてみることにした。
「ち、違いますっ! ……ち、違わないです」
「どっち?」
「うっ、……迷いました」
私が呆れたような口調で聞き返すと、彼女は漸く迷子だと認めて、しょんぼりと肩を落としながら小さく答えていた。
「王宮内は広いし、同じような造りになっているからね。慣れない人間は大人でも迷うみたいだよ。だからそんなに気を落とさないで」
「……はい」
「誰かの付き添いで来たの?」
「……いえ」
彼女は明らかに動揺している様子で、目を左右に泳がせていた。
そんな姿に更に興味が沸いてきてしまう。
「とりあえず、目的地を教えて。そうしたら案内してあげるよ」
「え……!? この王宮に詳しいんですか?」
「まあ、一応住んでいるからね。君よりは詳しいと思うよ」
「……っ!? も、もしかして、ラルス様ですか?」
彼女の口から弟の名前が出てきて少し驚いた。
本気で驚いているその姿を前にして、少し話をしてみたいと思い、私は簡単な嘘を付くことにした。
「私がラルスだけど……」
「や、やっぱり。も、申し訳ありませんっ!」
「どうして謝るの?」
「だって、迷子になるなんて失態を犯してしまって。前もって下見をするべきでした」
彼女は恐らく本物のラルスには会ったことがないのだろう。
私の付いた嘘に全く気付く気配も無く、本気で私のことをラルスだと思い込んでいるようだ。
少し悪い事をしたかなと思ったが、罪悪感はあまり感じなかった。
「とりあえず、こっちに来て」
「えっ……」
私は彼女の手を握り、歩き出した。
もしここで本物に遭遇してしまったら、話すことが出来なくなってしまう。
折角面白そうな人間と出会ったのに、みすみす逃したくはない。
私の周りには媚びを売る人間しか集まってこない。
いつも人の顔色を窺うように話して、作り笑顔を向けて来る者ばかりだ。
そんな人間といくら話していても、全く面白くもない。
だから彼女の戸惑った反応をもっとみたいと思ってしまった。
そして、これが私達の運命の出会いだった。
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