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45.二人だけの儀式①
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「あ、あのっ」
「準備は出来た?」
私は服を脱ぎ終えると、カーテンの奥に向かい声を掛けた。
するとすぐにアレクシスの声が返ってきて、ドキッとしてしまう。
「まだですっ!」
「どうしたの? 何か問題でもあった?」
「あの、し、した……」
「した?」
今の私は『下着』と言う単語を口にするだけでも、恥ずかしくてたまらなかった。
それはこんな格好になっている所為だと思う。
私は布団をぎゅっと握りしめ、必死にその単語を口にしようとした。
「下着はっ……」
「出来れば、全て脱いでくれると助かるな」
「でもっ、そうしたら本当に全部見えちゃいますっ」
「可愛いな。照れているの? それなら下着は付けたままでいいよ」
私の戸惑った声とは真逆で、アレクシスの声はとても落ち着いていた。
返答を貰うと、私の表情はほっとしたように緩んでいく。
(良かった。恥ずかしいけど、全てを晒さなくていいんだ……)
「では、それでお願いします」
「準備は出来た?」
「大丈夫です」
私がドキドキしながら答えると、ゆっくりとカーテンが開けられてアレクシスの姿が視界に入ってくる。
肌を見られているだけなのに、体の奥から火照っていくように熱くなっているのを感じる。
(は、恥ずかしいっ……。お願いだから、そんなに見つめないで)
私は傍に置かれていた着ていた服を手に取ると、慌てて自分の体を隠した。
「やっぱり、リリアの肌はすごく綺麗だね」
「ありがとうございます……」
好きな人に、褒めてもらえることは正直嬉しい。
だけど少し恥ずかしくもある。
私がもじもじしていると、アレクシスは「失礼するよ」と言ってベッドに乗り上げてきた。
そしてカーテンをしっかりと閉じる。
閉じられると外の日差しは遮られ、少し薄暗く感じる。
これならば私の素肌は、アレクシスの瞳にははっきりとは映らないかもしれない。
そんな期待を持ち始めた頃、アレクシスの手が伸びてきて私の頬に触れた。
触れられる瞬間、ビクッと体を震わせてしまう。
「本当にリリアは綺麗だね。ほんのり肌が赤く染まっているのは、照れているからかな。可愛い」
「……っ」
アレクシスは艶のある声で囁くと、私の頬や首筋にキスを落とし始めた。
ちゅっ、と言うリップ音が何度も耳に響き、その度に鼓動が早くなる。
こんな格好でいる所為か、いつもよりも過敏に体が反応してしまう。
「これからリリアの全身にキスをしていくけど、横になっていた方が君的には楽かな」
「ぜ、全身って……」
「言葉通りだよ。さっきも少し説明したでしょ。全身に触れるって」
「それは……」
(触るってそっちの意味だったの!?)
「下着も後で外させてもらうけど、いいかな。多分その頃には、リリアはそれどころではなくなっていると思うけど」
「……っ」
今の私はかなり混乱していた。
私が困惑していることに気付くと、アレクシスは私の手をそっと握った。
「そんなに緊張しないで。それと誤解が無いように言っておくけど、私の力が適合したのはリリアだけだよ。こんなことをするのもリリアだけ。愛する人だから絶対に助けたいと思ったんだ。これからもずっとリリアと一緒に過ごしていきたい。今後の私の人生は、常にリリアと共に。本気でそう思ってる。少し恥ずかしいかも知れないけど、受け入れて欲しい。私の願いを叶えてくれる?」
「……アレクシス様」
そんな言い方をされると何も言えなくなる。
まるで求婚でもされているような錯覚を感じてしまう。
ここまで言われたら、断る理由なんて何も見つからなかった。
ただ、そんな風に思って貰えることが嬉しい。
アレクシスに大切にしてもらえることが幸せに感じて、一瞬恥ずかしさなんて忘れてしまいそうになった。
「お願いするのは私の方です。……私もまだ生きていたいし、これからもアレクシス様の傍にいたい」
それが私の素直な気持ちだった。
周りの色々な思惑を全て抜きにした、本当の思い。
私はこれから先もずっとアレクシスの傍にいたい。
多分その気持ちは変わらない。
「準備は出来た?」
私は服を脱ぎ終えると、カーテンの奥に向かい声を掛けた。
するとすぐにアレクシスの声が返ってきて、ドキッとしてしまう。
「まだですっ!」
「どうしたの? 何か問題でもあった?」
「あの、し、した……」
「した?」
今の私は『下着』と言う単語を口にするだけでも、恥ずかしくてたまらなかった。
それはこんな格好になっている所為だと思う。
私は布団をぎゅっと握りしめ、必死にその単語を口にしようとした。
「下着はっ……」
「出来れば、全て脱いでくれると助かるな」
「でもっ、そうしたら本当に全部見えちゃいますっ」
「可愛いな。照れているの? それなら下着は付けたままでいいよ」
私の戸惑った声とは真逆で、アレクシスの声はとても落ち着いていた。
返答を貰うと、私の表情はほっとしたように緩んでいく。
(良かった。恥ずかしいけど、全てを晒さなくていいんだ……)
「では、それでお願いします」
「準備は出来た?」
「大丈夫です」
私がドキドキしながら答えると、ゆっくりとカーテンが開けられてアレクシスの姿が視界に入ってくる。
肌を見られているだけなのに、体の奥から火照っていくように熱くなっているのを感じる。
(は、恥ずかしいっ……。お願いだから、そんなに見つめないで)
私は傍に置かれていた着ていた服を手に取ると、慌てて自分の体を隠した。
「やっぱり、リリアの肌はすごく綺麗だね」
「ありがとうございます……」
好きな人に、褒めてもらえることは正直嬉しい。
だけど少し恥ずかしくもある。
私がもじもじしていると、アレクシスは「失礼するよ」と言ってベッドに乗り上げてきた。
そしてカーテンをしっかりと閉じる。
閉じられると外の日差しは遮られ、少し薄暗く感じる。
これならば私の素肌は、アレクシスの瞳にははっきりとは映らないかもしれない。
そんな期待を持ち始めた頃、アレクシスの手が伸びてきて私の頬に触れた。
触れられる瞬間、ビクッと体を震わせてしまう。
「本当にリリアは綺麗だね。ほんのり肌が赤く染まっているのは、照れているからかな。可愛い」
「……っ」
アレクシスは艶のある声で囁くと、私の頬や首筋にキスを落とし始めた。
ちゅっ、と言うリップ音が何度も耳に響き、その度に鼓動が早くなる。
こんな格好でいる所為か、いつもよりも過敏に体が反応してしまう。
「これからリリアの全身にキスをしていくけど、横になっていた方が君的には楽かな」
「ぜ、全身って……」
「言葉通りだよ。さっきも少し説明したでしょ。全身に触れるって」
「それは……」
(触るってそっちの意味だったの!?)
「下着も後で外させてもらうけど、いいかな。多分その頃には、リリアはそれどころではなくなっていると思うけど」
「……っ」
今の私はかなり混乱していた。
私が困惑していることに気付くと、アレクシスは私の手をそっと握った。
「そんなに緊張しないで。それと誤解が無いように言っておくけど、私の力が適合したのはリリアだけだよ。こんなことをするのもリリアだけ。愛する人だから絶対に助けたいと思ったんだ。これからもずっとリリアと一緒に過ごしていきたい。今後の私の人生は、常にリリアと共に。本気でそう思ってる。少し恥ずかしいかも知れないけど、受け入れて欲しい。私の願いを叶えてくれる?」
「……アレクシス様」
そんな言い方をされると何も言えなくなる。
まるで求婚でもされているような錯覚を感じてしまう。
ここまで言われたら、断る理由なんて何も見つからなかった。
ただ、そんな風に思って貰えることが嬉しい。
アレクシスに大切にしてもらえることが幸せに感じて、一瞬恥ずかしさなんて忘れてしまいそうになった。
「お願いするのは私の方です。……私もまだ生きていたいし、これからもアレクシス様の傍にいたい」
それが私の素直な気持ちだった。
周りの色々な思惑を全て抜きにした、本当の思い。
私はこれから先もずっとアレクシスの傍にいたい。
多分その気持ちは変わらない。
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