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25.庭園カフェ
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暫く馬車に揺られていると、街が見え始めてきた。
「シンリーはどこか行きたい場所はある?」
「私は特には無いです…」
「そうか、それならまずはカフェに行こうか。ちょうど昼時でお腹が空いただろ?」
「そうですね…!」
それから少し走ると街に到着し、ルカルドに案内されカフェへと向かった。
***
案内された場所は、庭園の中にあるカフェだった。
生垣に囲まれている細い通路はまるで迷路の様だった。
その通路の脇には入口がいくつかあり、その中の一つをくぐり抜けると今度は薔薇の壁の様な生垣に囲まれた開けた空間に出た。
中央には木製で作られた円形のテーブルと椅子が置かれていた。
周りは生垣で囲まれているため、他の客を気にすることなくゆったりと過ごせそうだ。
「すごい…、こんなカフェに来たの初めてですっ…!」
私は周りの薔薇を眺めながら感動していた。
「気に入ってもらえたみたいで良かったよ。このカフェ最近出来たばかりで完全予約制なんだけど、この街ではすごく人気らしい」
「そうなんですね…素敵ですっ…!」
私の喜ぶ姿を見て、ルカルドは満足そうな顔を浮かべていた。
「とりあえず、座ろうか。料理は予約する時に俺が選ばせてもらったけど、多分シンリーは喜んでくれると思う」
「何から何までありがとうございますっ…、どんなお料理なんだろう…」
私がドキドキしながら待っていると、暫くして料理が運ばれてきた。
お茶の準備がされ、まずは軽食のサンドウィッチが運ばれてきた。
そして3段あるケーキスタンドが目に入った。
綺麗な白いお皿の上には色とりどりのケーキや焼き菓子、そしてフルーツが乗っていた。
見た目も可愛くデコレーションされているし、小さめに作られていて色んな種類を楽しめるものだった。
「……っ…!!」
私はそのケーキスタンドに目を奪われ、暫く言葉が出なかった。
(なんて可愛くて綺麗なんだろう…!なんだか食べたら勿体なさそう…)
「シンリー…?」
「あ…すいません。感動し過ぎて、目を奪われていました…」
ルカルドの声で我に返ると、私はあはは…と苦笑した。
「俺よりケーキに目を奪われたのは少し癪だけど…シンリーが喜んでくれたみたいで良かったよ」
ルカルドは冗談ぽく笑った。
「どれから食べようか迷っちゃいます…」
「こんな事で、真剣な顔をして悩んでるシンリーはなんだかとても可愛いな」
私が真剣な顔でケーキスタンドを見ていると、ルカルドはじっと私を眺めながら微笑んでいた。
「……っ…!」
そんなルカルドと視線が合うと思わずドキドキしてしまった。
ルカルドは昔から良く『可愛い』と言って来るけど、最近はその言葉を言われれる度に一々反応してしまう自分が悔しい。
「どうしたんだ?顔が赤いぞ…?」
「ルカ様が変な事言うから…っ…」
私がふいっと恥ずかしそうに視線を外すと、ルカルドはケーキスタンドに乗っているイチゴを手に取った。
「シンリー、こっち向いて?」
「何ですかっ?」
私が再び視線を前に戻すと、ルカルドは手に持ったイチゴを私の顔の方に伸ばしていた。
「はい、口開けて…?」
「…っ…!?」
突然の事で私は焦ってしまった。
「シンリー、早くして…?」
「……っ…」
私は顔を真っ赤にさせ恥ずかしそうにしながらも急かされ、仕方なく口を開いた。
するとルカルドはにこっと満足そうに笑って私の口の中にイチゴを放り込んだ。
「美味しいか…?」
「……はい」
正直ドキドキし過ぎて味なんて良く分からなかった。
ルカルドは「次はどれにしようか…」と再びケーキスタンドの方に視線を向けて悩み始めていたので、私は慌てて自分で選んで食べ始めた。
「私は自分で食べれるので大丈夫ですっ…!ルカ様も食べてください…!」
「折角俺が食べさせてあげようと思ったのにな…。シンリーって本当にすぐ顔に出るから面白いな…」
ルカルドは思い出してクスクスと笑っていた。
私はむっとした顔でルカルドを睨んだ。
ルカルドは結局私をからかっただけなんだとは思うけど、それに一々翻弄されてしまう自分が悲しい。
だけどルカルドといる時間は本当に楽しくて、もっとこの時間が続いて欲しいと思ってしまう。
(やっぱり私…ルカ様の事、すごく好き…)
「シンリーはどこか行きたい場所はある?」
「私は特には無いです…」
「そうか、それならまずはカフェに行こうか。ちょうど昼時でお腹が空いただろ?」
「そうですね…!」
それから少し走ると街に到着し、ルカルドに案内されカフェへと向かった。
***
案内された場所は、庭園の中にあるカフェだった。
生垣に囲まれている細い通路はまるで迷路の様だった。
その通路の脇には入口がいくつかあり、その中の一つをくぐり抜けると今度は薔薇の壁の様な生垣に囲まれた開けた空間に出た。
中央には木製で作られた円形のテーブルと椅子が置かれていた。
周りは生垣で囲まれているため、他の客を気にすることなくゆったりと過ごせそうだ。
「すごい…、こんなカフェに来たの初めてですっ…!」
私は周りの薔薇を眺めながら感動していた。
「気に入ってもらえたみたいで良かったよ。このカフェ最近出来たばかりで完全予約制なんだけど、この街ではすごく人気らしい」
「そうなんですね…素敵ですっ…!」
私の喜ぶ姿を見て、ルカルドは満足そうな顔を浮かべていた。
「とりあえず、座ろうか。料理は予約する時に俺が選ばせてもらったけど、多分シンリーは喜んでくれると思う」
「何から何までありがとうございますっ…、どんなお料理なんだろう…」
私がドキドキしながら待っていると、暫くして料理が運ばれてきた。
お茶の準備がされ、まずは軽食のサンドウィッチが運ばれてきた。
そして3段あるケーキスタンドが目に入った。
綺麗な白いお皿の上には色とりどりのケーキや焼き菓子、そしてフルーツが乗っていた。
見た目も可愛くデコレーションされているし、小さめに作られていて色んな種類を楽しめるものだった。
「……っ…!!」
私はそのケーキスタンドに目を奪われ、暫く言葉が出なかった。
(なんて可愛くて綺麗なんだろう…!なんだか食べたら勿体なさそう…)
「シンリー…?」
「あ…すいません。感動し過ぎて、目を奪われていました…」
ルカルドの声で我に返ると、私はあはは…と苦笑した。
「俺よりケーキに目を奪われたのは少し癪だけど…シンリーが喜んでくれたみたいで良かったよ」
ルカルドは冗談ぽく笑った。
「どれから食べようか迷っちゃいます…」
「こんな事で、真剣な顔をして悩んでるシンリーはなんだかとても可愛いな」
私が真剣な顔でケーキスタンドを見ていると、ルカルドはじっと私を眺めながら微笑んでいた。
「……っ…!」
そんなルカルドと視線が合うと思わずドキドキしてしまった。
ルカルドは昔から良く『可愛い』と言って来るけど、最近はその言葉を言われれる度に一々反応してしまう自分が悔しい。
「どうしたんだ?顔が赤いぞ…?」
「ルカ様が変な事言うから…っ…」
私がふいっと恥ずかしそうに視線を外すと、ルカルドはケーキスタンドに乗っているイチゴを手に取った。
「シンリー、こっち向いて?」
「何ですかっ?」
私が再び視線を前に戻すと、ルカルドは手に持ったイチゴを私の顔の方に伸ばしていた。
「はい、口開けて…?」
「…っ…!?」
突然の事で私は焦ってしまった。
「シンリー、早くして…?」
「……っ…」
私は顔を真っ赤にさせ恥ずかしそうにしながらも急かされ、仕方なく口を開いた。
するとルカルドはにこっと満足そうに笑って私の口の中にイチゴを放り込んだ。
「美味しいか…?」
「……はい」
正直ドキドキし過ぎて味なんて良く分からなかった。
ルカルドは「次はどれにしようか…」と再びケーキスタンドの方に視線を向けて悩み始めていたので、私は慌てて自分で選んで食べ始めた。
「私は自分で食べれるので大丈夫ですっ…!ルカ様も食べてください…!」
「折角俺が食べさせてあげようと思ったのにな…。シンリーって本当にすぐ顔に出るから面白いな…」
ルカルドは思い出してクスクスと笑っていた。
私はむっとした顔でルカルドを睨んだ。
ルカルドは結局私をからかっただけなんだとは思うけど、それに一々翻弄されてしまう自分が悲しい。
だけどルカルドといる時間は本当に楽しくて、もっとこの時間が続いて欲しいと思ってしまう。
(やっぱり私…ルカ様の事、すごく好き…)
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