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14.ロベルトとの出会い③
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ロベルトに友人になって欲しいと言われた。
学年も、育ちも違うのに何故そんなことを言うのか理由が分からない。
「友人…ですか…?」
私はなんて答えればいいのか分からず、困った挙句聞き返すことしか思い浮かばなかった。
「こんな事を言ったら、困らせてしまうかもしれないけど…君は僕の知ってる人にとても…似ているんだ。だからシンリーの事が知りたいと思った」
恐らくロベルトが言う、似てると言うのはラヴィニアの事だろう。
ロベルトは切なそうな表情を浮かべていた。
ラヴィニアはロベルトにとっては亡き妹で、思い出させてしまって悲しい気分にでもさせてしまったのだろうか。
そう思うと少し申し訳ない気分になってしまう。
だけど今から10年も前の話なのに、5歳だったラヴィニアと、15歳の私は面影が残る程似ているのだろうか。
やっぱりこの琥珀色の瞳のせいなのかな…。
ラヴィニアの事はルカルドから聞いて知っていたけど、ロベルトは危険だと言われていた為、知らないふりをした方が良いのか悩んでいた。
「私は平民の娘です。ロベルト様の知ってる方とは…住む世界も違うし、全く関わりのない人間だと思います…」
「そうかもしれないな。だけど…それでも構わない。これは何かの巡り合わせなのかもしれない。こんな事を言って君を困らせてしまっていることは分かっている。だけど、たまにでいい。少しだけ僕の話し相手になってもらえないか?」
ロベルトは切なそうな顔で、まるで懇願しているかの様に見えた。
そんな相手を前にして、断るなんて私には出来なかった。
なんとなくだけど、そうしたくはなかった。
「私なんかでお役に立てるのでしたら…」
「ありがとう…、シンリー…」
ロベルトは私の言葉に嬉しそうな顔をすると、友情の証にと握手を求めて来た。
私は緊張しながらも手を差し出してロベルトと握手をした。
それから暫く私の手を解放してくれなかった。
*****
翌日、私はルカルドにロベルトと出会った事を話した。
隠していても、どうせすぐにばれる気がしたからだ。
私は以前連れて来られた連絡部屋にいた。
机を挟み、向かい合うようにしてルカルドと座っている。
「……それでシンリーは、ロベルト皇子と友人になったのか?」
「はい…、私に断れる権利なんてありません…」
ルカルドは私の事を何か言いたげな表情でじっと見つめていた。
明らかに不満そうな顔をしている。
居たたまれなくなった私は視線を逸らした。
「おそらくロベルト皇子はシンリーの身辺を既に調査済みなんだろうな。それで近づいた…、間違いないな」
「……私もそう思います。そうじゃなければ私になんて近づいて来ないと思います」
「シンリー、ロベルト皇子が行動に出て来た以上…これからはなるべく俺の傍から離れないようにして欲しい」
「私ならきっと平気です。それに…ロベルト様と話しましたけど、優しそうな方でした。私に危害を加えるなんて事はしないと思います」
「駄目だ。シンリーには分からないかもしれないけど、俺達の様な人間は周りに真意が読み取られないように訓練を受けているんだ。シンリーを油断させて何か企んでる可能性も無いとは言えない」
「……でもっ…」
ルカルドは、はっきりとそう告げた。
だけどロベルトが嘘を付いている様にはどうしても思えなかった。
「今は受け入れて欲しい。シンリーを危険な目に晒したくないんだ…、頼むよ。分かってくれ…」
「………」
真面目な顔でそう言われてしまい、私は反論出来なくなってしまった。
「今だけで良い。相手の出方が分かるまでは様子を見たい…」
「分かりました…」
私が納得すると、ルカルドはほっとした様な安堵の表情を見せた。
どうしてルカルドはここまで私の心配をしてくれるんだろう。
やっぱりまだ私がラヴィニアだと思っているのかな…。
それにルカルドの傍に居たら、ロレッタの友人達にまた睨まれる事は間違いないだろう。
ロレッタだって良くは思わないだろう。
私の平穏な学園生活は、まだ当分の間は送れそうになさそうだ。
学年も、育ちも違うのに何故そんなことを言うのか理由が分からない。
「友人…ですか…?」
私はなんて答えればいいのか分からず、困った挙句聞き返すことしか思い浮かばなかった。
「こんな事を言ったら、困らせてしまうかもしれないけど…君は僕の知ってる人にとても…似ているんだ。だからシンリーの事が知りたいと思った」
恐らくロベルトが言う、似てると言うのはラヴィニアの事だろう。
ロベルトは切なそうな表情を浮かべていた。
ラヴィニアはロベルトにとっては亡き妹で、思い出させてしまって悲しい気分にでもさせてしまったのだろうか。
そう思うと少し申し訳ない気分になってしまう。
だけど今から10年も前の話なのに、5歳だったラヴィニアと、15歳の私は面影が残る程似ているのだろうか。
やっぱりこの琥珀色の瞳のせいなのかな…。
ラヴィニアの事はルカルドから聞いて知っていたけど、ロベルトは危険だと言われていた為、知らないふりをした方が良いのか悩んでいた。
「私は平民の娘です。ロベルト様の知ってる方とは…住む世界も違うし、全く関わりのない人間だと思います…」
「そうかもしれないな。だけど…それでも構わない。これは何かの巡り合わせなのかもしれない。こんな事を言って君を困らせてしまっていることは分かっている。だけど、たまにでいい。少しだけ僕の話し相手になってもらえないか?」
ロベルトは切なそうな顔で、まるで懇願しているかの様に見えた。
そんな相手を前にして、断るなんて私には出来なかった。
なんとなくだけど、そうしたくはなかった。
「私なんかでお役に立てるのでしたら…」
「ありがとう…、シンリー…」
ロベルトは私の言葉に嬉しそうな顔をすると、友情の証にと握手を求めて来た。
私は緊張しながらも手を差し出してロベルトと握手をした。
それから暫く私の手を解放してくれなかった。
*****
翌日、私はルカルドにロベルトと出会った事を話した。
隠していても、どうせすぐにばれる気がしたからだ。
私は以前連れて来られた連絡部屋にいた。
机を挟み、向かい合うようにしてルカルドと座っている。
「……それでシンリーは、ロベルト皇子と友人になったのか?」
「はい…、私に断れる権利なんてありません…」
ルカルドは私の事を何か言いたげな表情でじっと見つめていた。
明らかに不満そうな顔をしている。
居たたまれなくなった私は視線を逸らした。
「おそらくロベルト皇子はシンリーの身辺を既に調査済みなんだろうな。それで近づいた…、間違いないな」
「……私もそう思います。そうじゃなければ私になんて近づいて来ないと思います」
「シンリー、ロベルト皇子が行動に出て来た以上…これからはなるべく俺の傍から離れないようにして欲しい」
「私ならきっと平気です。それに…ロベルト様と話しましたけど、優しそうな方でした。私に危害を加えるなんて事はしないと思います」
「駄目だ。シンリーには分からないかもしれないけど、俺達の様な人間は周りに真意が読み取られないように訓練を受けているんだ。シンリーを油断させて何か企んでる可能性も無いとは言えない」
「……でもっ…」
ルカルドは、はっきりとそう告げた。
だけどロベルトが嘘を付いている様にはどうしても思えなかった。
「今は受け入れて欲しい。シンリーを危険な目に晒したくないんだ…、頼むよ。分かってくれ…」
「………」
真面目な顔でそう言われてしまい、私は反論出来なくなってしまった。
「今だけで良い。相手の出方が分かるまでは様子を見たい…」
「分かりました…」
私が納得すると、ルカルドはほっとした様な安堵の表情を見せた。
どうしてルカルドはここまで私の心配をしてくれるんだろう。
やっぱりまだ私がラヴィニアだと思っているのかな…。
それにルカルドの傍に居たら、ロレッタの友人達にまた睨まれる事は間違いないだろう。
ロレッタだって良くは思わないだろう。
私の平穏な学園生活は、まだ当分の間は送れそうになさそうだ。
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