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19.婚約者の存在
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「彼女の名前はアンネリーゼ・オスヴァルト。公爵令嬢であり、今はまだ僕の婚約者になっている…」
「……婚約…者…?」
バルはスラスラと話していたが、私はその言葉を聞いて表情を曇らせていた。
(やっぱり…あの人はバルにとって特別な人なんだ……。それならどうしてバルは私の事を恋人だなんて言うの…?)
私が不安そうな顔をしていると、バルは困った顔を見せた。
「ごめん、シロが来る前にリゼとの婚約は解消しておきたかったんだけど…、中々周りが認めてくれなくて少し時間がかかっているんだ。だけど僕はリゼのに対して特別な感情を持っているわけでも無いし、リゼも別に好きな人がいる。周りがどう言おうと僕はシロ以外と結婚する気は無いから、シロは余計な心配はしなくて大丈夫だよ」
「え…?結…婚…?」
突然バルは何を言い出すのかと思った。
不安そうだった私の顔は困惑の色へと変わっていく。
「そうだよ。僕達はいずれ結婚するんだよ…。それはもう決められている事だから、ね」
バルはうっとりとした瞳で私の事を見つめていた。
私はその表情にゾクッと体を震わせてしまい、思わずバルから離れようとしてしまった。
(私が…バルと……結婚…?バルは…一体何の話をしているの…?)
「シロ…ちゃんと掴まってないとダメだよ」
「……あ、ごめんなさい…」
普段の優しい顔なのに、その瞳の奥はとても鋭く私の事を捉えている様に見えた。
まるで『逃がさない』とその瞳が訴えているかのように…。
少しバルが怖いと思った。
だけどそれ以上に、バルが婚約者よりも私を選んでくれたことが嬉しくて胸の奥が高鳴ってしまう。
私はこういう事には慣れていないから疑う事はせず、ただバルの言葉を信じて喜んでしまっていた。
***
そんな話をしていると私の部屋へと到着して、扉を開くとベッドのある奥の方まで連れて行かれる。
そしてゆっくりとベッドに私の体を下ろしてくれて、その途中で顔を上げるとバルと視線が絡んだ。
私は顔を真っ赤にさせて照れていると、バルはクスッと小さく笑い「シロは顔をすぐ赤く染めるね」と囁かれ、そのまま唇が重なる。
「……んっ……」
「やっぱり…シロの唇はいつでも甘くて美味しいね…」
私をベッドに仰向けに寝かせると、バルは組み敷く様に覆い被さって来て私の唇を深く奪っていく。
キスをされるのは久しぶりで私はドキドキしてしまう。
(私…またバルとキスしてる…。嬉しい……)
またこうしてバルに触れられていることに喜びを感じて、嬉しさが込み上げてくる。
私はくぐもった声を上げながらバルの与えてくれるキスに答える様に、自らも舌を絡め始めた。
「ふふっ、シロはいい子だね。そのまま僕の舌にしっかり絡めて…」
「はぁっ……んっ…」
バルの熱を持った舌と重なる度に胸の鼓動が速くなる。
薄っすらと瞼を開けると、綺麗なバルの顔がすぐ傍にあって更にドキドキしてしまう。
思わず私の舌の動きが止まってしまうと、それに気付いたバルは僅かに瞳を開き、そこで視線が絡む。
その瞬間、恥ずかしさが一気に込み上げて来て、私はきつく目を瞑ってしまった。
「ふふっ、シロのその反応…初々しくて可愛らしいね…」
「……婚約…者…?」
バルはスラスラと話していたが、私はその言葉を聞いて表情を曇らせていた。
(やっぱり…あの人はバルにとって特別な人なんだ……。それならどうしてバルは私の事を恋人だなんて言うの…?)
私が不安そうな顔をしていると、バルは困った顔を見せた。
「ごめん、シロが来る前にリゼとの婚約は解消しておきたかったんだけど…、中々周りが認めてくれなくて少し時間がかかっているんだ。だけど僕はリゼのに対して特別な感情を持っているわけでも無いし、リゼも別に好きな人がいる。周りがどう言おうと僕はシロ以外と結婚する気は無いから、シロは余計な心配はしなくて大丈夫だよ」
「え…?結…婚…?」
突然バルは何を言い出すのかと思った。
不安そうだった私の顔は困惑の色へと変わっていく。
「そうだよ。僕達はいずれ結婚するんだよ…。それはもう決められている事だから、ね」
バルはうっとりとした瞳で私の事を見つめていた。
私はその表情にゾクッと体を震わせてしまい、思わずバルから離れようとしてしまった。
(私が…バルと……結婚…?バルは…一体何の話をしているの…?)
「シロ…ちゃんと掴まってないとダメだよ」
「……あ、ごめんなさい…」
普段の優しい顔なのに、その瞳の奥はとても鋭く私の事を捉えている様に見えた。
まるで『逃がさない』とその瞳が訴えているかのように…。
少しバルが怖いと思った。
だけどそれ以上に、バルが婚約者よりも私を選んでくれたことが嬉しくて胸の奥が高鳴ってしまう。
私はこういう事には慣れていないから疑う事はせず、ただバルの言葉を信じて喜んでしまっていた。
***
そんな話をしていると私の部屋へと到着して、扉を開くとベッドのある奥の方まで連れて行かれる。
そしてゆっくりとベッドに私の体を下ろしてくれて、その途中で顔を上げるとバルと視線が絡んだ。
私は顔を真っ赤にさせて照れていると、バルはクスッと小さく笑い「シロは顔をすぐ赤く染めるね」と囁かれ、そのまま唇が重なる。
「……んっ……」
「やっぱり…シロの唇はいつでも甘くて美味しいね…」
私をベッドに仰向けに寝かせると、バルは組み敷く様に覆い被さって来て私の唇を深く奪っていく。
キスをされるのは久しぶりで私はドキドキしてしまう。
(私…またバルとキスしてる…。嬉しい……)
またこうしてバルに触れられていることに喜びを感じて、嬉しさが込み上げてくる。
私はくぐもった声を上げながらバルの与えてくれるキスに答える様に、自らも舌を絡め始めた。
「ふふっ、シロはいい子だね。そのまま僕の舌にしっかり絡めて…」
「はぁっ……んっ…」
バルの熱を持った舌と重なる度に胸の鼓動が速くなる。
薄っすらと瞼を開けると、綺麗なバルの顔がすぐ傍にあって更にドキドキしてしまう。
思わず私の舌の動きが止まってしまうと、それに気付いたバルは僅かに瞳を開き、そこで視線が絡む。
その瞬間、恥ずかしさが一気に込み上げて来て、私はきつく目を瞑ってしまった。
「ふふっ、シロのその反応…初々しくて可愛らしいね…」
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