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1話 いらない運び屋

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「うすうす気づいてると思うがクロ、君をパーティーから追放させてもらう」

「………」

 そりゃそうだ、今日のクエストも他のメンバーが戦っていた。
なのに俺はそこらへんに落ちている物資を拾うだけ。
剣士アーサー、術師マヤ、ガードタンクディヴァイン、弓使いアーチャーカレンーー皆命がけで戦っている。

 4人が命がけで戦って倒した相手の首を俺の収納能力で持って帰る。

 そこに皆は不満なのだ。
戦果として受付に首を差し出す時
「なぜ戦っていないやつが戦果をあげたみたいになっているんだ」
そう聞こえてくるーー。

 俺だってそう思う。
だけど俺のスキルはこれしかない。
しかも便利なスキルだなって誘ってきたのはお前らの方だろ。
「くそっ……」

「あんた、戦わないくせに無駄に敵を引きつけるのほんと迷惑。あんたが逃げ回るせいで敵がどんどん移動するもの」

「俺だって好きで逃げてるわけじゃない。なぜ敵が俺を狙ってくるのかもわからない」

 カレンが睨みつけながら言ってくる。
カレンは幼馴染で小さい頃に、裸でお風呂に一緒に入ったこともある妹のような子だった。
確かに弓使いにとって敵が動き回るのはストレスになるだろう。

「まぁお前が敵を引きつけてる間、俺は何もしなくてもいいがなっ!」
皮肉まじりにディヴァインが笑う。

「……」
ほんとは今にでも殴りかかろうと思った。

「んだよ!? その顔はよぉ?」
ディヴァインが睨みつけてくる。

 マヤは裏で何かを詠唱し始めた。
「これ以上喧嘩するなら、私が魔法を放ちます」
「おい、バカやめろ! 冗談だぜ!! こいつがいなくなれば喧嘩する事もないんだよ!!」
「同感だ。こんなとこさっさと出て行ってやるよ」

 何のあてもないが、ここまで嫌われているパーティーにいるのもうんざりだ。

「……はぁ」

とりあえず収納スキルを少しでも強くしておくか………

レベル確認っと………

運び屋 Lv40
 名前 クロ・エンジュ
 年齢 20歳
 性別 男
 種族 ヒューマン

 スキル 
 収納能力【Lv10】
 敵引きつけ能力【Lv4】
 ???【Lv10】 

「なんだこの???ってスキル。 今までなかったと思うが」
「それにレベルがかなり上がっている。 いつの間にあがっているんだ?」

『運び屋のLvが上限になっています。 収納スキルが強化できます』

「そうかパーティー外される前に最後に倒したモンスターでレベル上限になっていたんだな」

 正直レベルが上限に達したところで戦いに参加できそうもないし。
そんなに喜ばないけど。

「まぁしないよりはいいか。収納スキル強化っと」

『収納スキルが強化されました。 運び屋で扱えるスキルではない為職ジョブを運び屋からテイマーに進化します』
『それに伴いステータスが更新されますが、テイマーでも収納スキルを扱う事が出来ます』

「え? テイマー??」
テイマーってモンスターを従えるあの?

『なお収納能力により経験値が収納されていました。 その分の経験値を新職に振りますか?』

「経験値が溜まっていた?? 何を言っているんだ??」
いまいちピンときていないクロだが
「まぁ。振って困ることはないだろ。 あるなら頼むよ」




『おめでとうございますテイマーのLvが上限になりました。 上位職ですのでLv100が上限になっています』
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