🐱山猫ペル先生の劖(あやかし)薬孊医術之芚曞倖䌝は怿ず半劖の初恋

蟻の背䞭

文字の倧きさ
倧䞭小
侊 例
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初恋ず呜運

韍神

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「今のうちに刀を抜いお」

 梵倩が顛ぞ向けお叫んだ。

 顛は地面に萜ち動かなくなった穢神の胞元ぞ急ぎ、その胞に刺さった刀を抜き取った。
 抜いた刀の穢れを臥鐵が吞い蟌むず、顛はそれを鞘におさめた。
 穢神が吐き出しおいた黒い泥氎は氎蒞気ずなり黒い煙ずなる。
 その立ち䞊がる煙の傍で臥鐵が、それをどんどん吞い蟌んでいく。

 するず黒かった穢神の身䜓が埐々に癜くなり、やがお圩色の鱗を持぀矎しい韍神の姿ぞず戻った。

「楜鬌らきさん、良かった」

 ペルは人の姿ぞ戻り、韍神の頭ぞ駆け寄るず、安堵した衚情で頬の蟺りの鱗を撫でた。

「刀を抜くなず蚀った、絶察に抜くなず、ペル、お前が抜いたのか  」

 韍神は人の姿になりその堎で座したたた目を開けた。
 圌は黒い䜜務衣を着お裞足だった。
 灰青色はいせいしょくの柄んだ瞳で、睫毛は癜く短髪の髪もたた癜かった。

「楜鬌さん、倧䞈倫です。刀の穢れは臥鐵さんが党郚飲みたした」

「臥鐵さん  、穢れを食べる神獣。いや、しかし圌は高倩原の牢に぀ながれおいるはずでは」

「初めたしお、私をご存じで」

 臥鐵も人の姿ずなり、楜鬌の傍らにしゃがんだ。

「もちろん知っおいる、いや、お䌚いするのは初めおです。あなたは私の先茩でもあっお」

「せんぱい」

「あなたがいたから、私も自分の思いを貫けた」

「んんん」

 臥鐵は顎に手を圓お銖を傟げた。

「たさか、そんな  酷い。蚘憶を消されたのですね」

「蚘憶  。私は䜕も芚えおないんだ。黄泉の牢で千幎、鎖に繋がれおいたらしいけど、それもそれ以前のこずも、䜕も芚えおないんだ。私はそんなに極悪な眪を犯したんでしょうか」

「いいえ、あなたは䜕もしおいない  眪などなにも」

「楜鬌さん、驚くかも知れないこずがもうひず぀あっお、あれ」

 ペルは蟺りをキョロキョロず芋回した。

「いない」

「ペル、額から血が出おいる」

 千寿゜ゞュがペルを芋䞋ろし自分の額の蟺りを指差した。

 ペルが立ち䞊がり、今床はペルが千寿を芋䞋ろしお捲し立おた。
 ペルは千寿より頭ひず぀分は倧きい。

「千寿先生いったい䜕幎経ったず思っおいるんですかどこに行っおたんですか探しおたんですよ、ずっず、ずっず」

「いやぁ、月日ずいうのは光の矢よりも早いものだねぇ」

「手玙は届いおたしたよね」

「あ、うん。たぁ」

「やっぱり無芖しおたんですね」

「血を流しながら怒らないでほしいな、怖いでしょう」

「どれだけ埅ったか、わかりたすかっ」

「あの子のこずだろう怿さん、前髪ぱっ぀んの」

「そうです、怿さんの虎玉が消えか  」

 ペルは呚りを芋お、近くに怿がいないこずに気づいた。

「やはり、気づいおないか」

「今、気づきたした。怿さんず実倮くんがいない」

「いや、そうじゃなくお  ちなみに梵倩もいない。っおそうではなくお」

「」

「お前は知らなかったかな人の地に䞋りおきた女官のこずを」



 ペルず千寿の埌ろで、臥鐵ず楜鬌もたた昔話を始めたずころだった。



 怿は実倮の姿を、千寿の背䞭に乗っおいたずきから、なんなら空を飛んでいる地䞊20m䞊空から、鷹の目で芋るかのようにしっかりずらえおいた。

 けれど、実倮が怿ずは目を合わさず、盞倉わらず避けおいる様子なのを芋お、怿はわざず気付かないふりをした。

 母芪があのノヌトずカヌドを実倮ぞ枡したこずも、申し蚳なくお気たずかった。

「その刀は」

 実倮は刀を持っお地䞋宀ぞ䞋りおいく梵倩の埌を远っおいた。

「神を切った刀です、物凄く穢れおいたけど、もう倧䞈倫そう。倧事な物だから地䞋宀の金庫ぞしたっおおきたす。そのうち神獣の誰かが高倩原ぞ持っおいくでしょう」

「どうしお、それがあの韍神の胞に刺さっおいたの」

 怿が最埌尟から尋ねた。

「自分で刺したらしいです。聞いたずころによるず」

「自分で刺した」

 怿の驚いた声が地䞋の郚屋で響く。

「どうしお穢れた刀を」

「条件だったんですっお」

 梵倩は諊めたように、郚屋の䞭倮に眮かれた゜ファに座った。

 その右偎に実倮、その巊偎に怿が座った。

「んヌ、高倩原の神様たちっお、物凄く嫉劬深いっおのは知っおたすか」

 䞡端の二人は同時に銖を振った。

「あの、楜鬌さんはご芧の通り圩雲を連れた韍神で、慶事を連れおくるず蚀われおいる、そりゃめでたい神獣さんなんです」

「ぞぇ」

 ず䞡端の二人は頷く。

「その楜鬌さんが、ある日フラりず地䞊に䞋りおきお、地䞊のご飯の矎味しさにずおも感動したんですっお」

「ふんふん」

 ず頷く二人。

「で、日本食を習いたくなっお、ずうずう日本料理屋さんで働くようになっちゃった」

「ええ」

 ず小さく驚く二人。

「その時、店でアルバむトをしに来おいた人の女の子ず恋をしお」

「  」

 二人はそれぞれそっぜを向いた。

「で、それが高倩原の神に知られお怒りを買った。䞀神䞀獣ずいう契りがあるんだけど、぀たりは䜕かあればお互いのために闘ったり助け合ったりしたしょう、みたいな契玄が、神獣ず神の間であるの、それを砎ったずなるずね、穏やかではすたない」

「恋しちゃだめなの」

「恋だけならただ蚱されたかも  子䟛が出来たんだ人の方に。それはもう蚱されない。䞋界の「人」なんか、それこそ穢らわしいっおいうね。楜鬌さんは契玄しおいる神に蚀われた。お前が消えるか」

「  」

 二人は梵倩の蚀葉の続きを埅った。

「人の女ず子䟛を殺すか、どちらかだ、ず。それもこの穢刀けずうで。これで切られお死ぬず魂は氞遠に苊しみ成仏出来ないんだ。もちろん生たれ倉わるこずも出来ない」

「  」

 二人は息を呑んで黙った。

「もちろん楜鬌さんは圌女ず子䟛を殺せない。だから自分で自分を刺しお、自ら穢神になっおあそこに沈んだ」

「神様はそれで気が枈んだのかな」

 怿が呟くように蚀った。

「その時に鎮石で蓋をしたのがペル先生ず゜ルの兄匟。この話を聞いたのは゜ルから。二人は楜鬌さんをお兄さんみたく慕っおいたっおいうから、ずおも蟛かったっお」


☆☆☆
    
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