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第3章 聖なる巫女の最後の願い
この人はこういう人でした
しおりを挟む「あはは、それ……毒あるやつ?」
「死ぬな、刺されれば」
ナイフを振ってポイっとサソリを投げたスラオシャは涼しい顔で答えた。
「毒を持つヤツは見つけたら直ぐに殺す」
ひょえー。
やっぱり、怖い人だよ。
絶対に敵にまわしちゃだめだよ。
「じゃないと、誰が犠牲になるかわからない」
けど、味方なら絶対の安心感ではある。
まてよ、こんなのがいる荒野に私は無防備で一晩過ごしたのか?
知らないって怖い。
もう、絶対に外では寝たくない!
「無事に連れて帰れるといいね、王女様」
「馬鹿王女だが、あれで国民には好かれているからな、気さくで親しみがあるとか」
また、言ったよ。
馬鹿王女って。
王女様に会ったら言いつけるよ。
「だから、隣国に嫁にいったはずの王女が処刑なんかされてみろ、暴動が起きるレベルだ」
「人気者なんだね」
「王家が存続するには、国民からの好感度も大事だ」
スラオシャが、馬の顔を撫でる。
「後少し、頑張ってくれ」
馬の背でうつらうつらしていた私は
スラオシャの声で目が覚めた。
「バルフのスラオシャだ。国王の命でバルフより、リュトンを持って今戻った」
「朝まで、あちらで待たれよ」
門兵が示した方に、小さな小屋がある。
私達は馬から下りて、素直にそこで待つことにした。
兵士の待機場所のようで、長いベンチのような椅子が壁にくっついているだけの、何もない部屋だった。
その後暫く経って急に門兵達が、バタバタと動き始めた。
「なんか、騒がしいな」
スラオシャが様子を見に外へ出ていった。
私もその後へ続く。
「刑場へ急げ」
馬上から偉い人が指示を出していた。
門兵の何人かが走ってどこかへ行く。
「何事ですか?」
スラオシャが馬上の人に尋ねた。
「あなたは?」
「イルファン国王の命でバルフから使いに来たものです」
「そうでしたか、夜明けに国王自らが刑場で処刑を執行されることになったので。国王への拝謁はその後になります」
「こんな急に、一体誰が?」
急いで何処かへ行こうとした偉い人をスラオシャが追いかけ、更に尋ねた。
「国王様の献上品を盗んだ賊のようです」
えっ?!
「それって……」
献上品て……
林檎と薔薇?
まさか、ユージンじゃないよね?
頭の中が真っ白になる。
あの後、ユージンは捕まってしまったの?
私はスラオシャの腕を掴んだ。
作業用BGM WayV―Bad Alive
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