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第3章 聖なる巫女の最後の願い
上司好きではありませんでした
しおりを挟む「ぶっちゃけ王女様、あなたにはそんなに期待してないと思うけど」
スラオシャ、サクサクと林檎をかじっている。
私も黙って林檎を食べきる。
スラオシャが食べ終わった林檎の芯を、その辺に投げ捨てたから、私もちょっと迷ったけどぽいっと捨てた。
いつもなら、ちゃんとゴミ箱に捨てるか持ち帰りますよ。
「そんなことは、どうでもいい」
「えっ?」
ええと、なんだっけ?
きっと、私が言ったことへの返事だよね。
相変わらず、時差がすごいんだが。
ナイフを水で洗って、スラオシャに返す。
「ありがとう」
一応、お礼をいう。
スラオシャ、ナイフの水を服の袖で拭いて鞘におさめた。
「俺が腹立たしいのは、みんなリュトンがないことがわかっているのに、こんな風にゴチャゴチャやってることだ」
「ゴチャゴチャって……」
語彙力が残念だよスラオシャ。
まぁ、伝わるけど。
「へぇ、ふうん。そうだね」
「あんただって、巻き込まれて迷惑だろう」
「ええと、その辺は、なんとも言えませんけど」
「いや、迷惑なはずだ。だいたい王女は何だって、イルファンに行ったんだ。こうなるのは予測出来たはずだし、国王だってバルフにリュトンがないことをわかってるんだ」
スラオシャが一度しまったナイフをまた鞘から出した。
「分かっていたが、知らない振りをして、王女を送り出した。なんなんだ?この茶番は!」
スラオシャは気がついているだろうか、さっきからもう、王女って呼び捨てていることを。
「それはさぁ、王女様が最後まで本当はリュトンなんてありません、ご免なさいって、王様に言わなかったからだよねぇ」
「だよな?そのせいでイルファンのあのクソオンナにいいように遊ばれてんだ」
ええと、え、クソオンナ?
「俺は、メロンジュースを買いに行かされた」
「はい?」
メロンジュース……て?
「呑気に市場見学だとか、メロンジュースだとか、馬鹿なのか?」
「あのぉ、一体なんの話?」
「動くな!」
「えっ」
「じっとしてろ」
ザクっと耳元で音がした。
甦る悪夢、また髪の毛切られた?
ナイフで串刺しになったサソリが目の前に差し出された。
私が寄りかかっていた木にいたみたいだ。
「馬鹿王女の話だ」
いや、この異世界に来て、こんなに鳥肌たったことないわ、コワッ。
この人、全然王女様のこと好きじゃないじゃーん!
作業用BGM PENTAGON―Dr. BeBe
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