文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

文字の大きさ
上 下
94 / 117
第3章 聖なる巫女の最後の願い

上司好きではありませんでした

しおりを挟む



「ぶっちゃけ王女様、あなたにはそんなに期待してないと思うけど」

スラオシャ、サクサクと林檎をかじっている。
私も黙って林檎を食べきる。
スラオシャが食べ終わった林檎の芯を、その辺に投げ捨てたから、私もちょっと迷ったけどぽいっと捨てた。
いつもなら、ちゃんとゴミ箱に捨てるか持ち帰りますよ。

「そんなことは、どうでもいい」
「えっ?」

ええと、なんだっけ?
きっと、私が言ったことへの返事だよね。
相変わらず、時差がすごいんだが。
ナイフを水で洗って、スラオシャに返す。

「ありがとう」

一応、お礼をいう。
スラオシャ、ナイフの水を服の袖で拭いて鞘におさめた。

「俺が腹立たしいのは、みんなリュトンがないことがわかっているのに、こんな風にゴチャゴチャやってることだ」
「ゴチャゴチャって……」

語彙力が残念だよスラオシャ。
まぁ、伝わるけど。

「へぇ、ふうん。そうだね」
「あんただって、巻き込まれて迷惑だろう」
「ええと、その辺は、なんとも言えませんけど」
「いや、迷惑なはずだ。だいたい王女は何だって、イルファンに行ったんだ。こうなるのは予測出来たはずだし、国王だってバルフにリュトンがないことをわかってるんだ」

スラオシャが一度しまったナイフをまた鞘から出した。

「分かっていたが、知らない振りをして、王女を送り出した。なんなんだ?この茶番は!」

スラオシャは気がついているだろうか、さっきからもう、王女って呼び捨てていることを。

「それはさぁ、王女様が最後まで本当はリュトンなんてありません、ご免なさいって、王様に言わなかったからだよねぇ」
「だよな?そのせいでイルファンのあのクソオンナにいいように遊ばれてんだ」

ええと、え、クソオンナ?

「俺は、メロンジュースを買いに行かされた」
「はい?」

メロンジュース……て?

「呑気に市場見学だとか、メロンジュースだとか、馬鹿なのか?」

「あのぉ、一体なんの話?」
「動くな!」
「えっ」
「じっとしてろ」

ザクっと耳元で音がした。
甦る悪夢、また髪の毛切られた?
ナイフで串刺しになったサソリが目の前に差し出された。
私が寄りかかっていた木にいたみたいだ。

「馬鹿王女の話だ」

いや、この異世界に来て、こんなに鳥肌たったことないわ、コワッ。
この人、全然王女様のこと好きじゃないじゃーん!



作業用BGM  PENTAGON―Dr. BeBe
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

転生騎士団長の歩き方

Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

立花家へようこそ!

由奈(YUNA)
ライト文芸
私が出会ったのは立花家の7人家族でした・・・―――― これは、内気な私が成長していく物語。 親の仕事の都合でお世話になる事になった立花家は、楽しくて、暖かくて、とっても優しい人達が暮らす家でした。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

処理中です...