文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

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第3章 聖なる巫女の最後の願い

イルファン国へ再び

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「虚言と窃盗とは?」
「前者は、王女がリュトンをご持参なさらず、魔神を呼び出せなかったため、後者はリュトンに両翼の獅子が描かれていることから自国由来のものであり盗難品である、という持論によるものです」
「馬鹿馬鹿しい。聞くに耐えないな。
……その者が異国のリュトンを持っている、という巫女か?」
「はい、バルフのリュトンは国外への持ち出しが出来かねますので、この者を連れていき時間が稼げれば、その間に王女様をお救い出来るかと」
「我々はイルファン兵を向かい打つ準備をする」
「国王?それはいったい……」
「どのみち、イルファンは攻めてくる。王女は役目を果たせないだろう」
「……」
「異国の巫女、そなたには時間を取らせた。わが国に暫し滞在し、旅の疲れを癒すが良い」

えっ、それって、王女は見殺しにするってこと?
助けないし、戦争をするって?

「スラオシャ」
「……はい」
「王女付き従者としての任を解く。これからはアデルのそばに」
「お言葉ですが、王様!」

私はスラオシャの代わりに声を上げた。

「巫女よ、名は?」
「ツキです」
「ではツキ、言ってみなさい」
「はい、ありがとうございます。実は私は人を探しています。命の恩人のような人です。王様のお力を借りて、その人とまた会いたいんです」
「その者は、バルフにいるのか?」
「わかりません」
「最後に別れたのはイルファンとの国境近くです」

スラオシャが助けてくれた。

「そのかわり、私が魔神の力で王女様をすぐに救ってきます!」
「ツキ?」

スラオシャが驚いた顔で私を見てる。

「巫女が一人で行くというのか?」
「はい。一人で大丈夫なので」

王様は階段を下りて、私の前にやって来た。

「巫女はいくつだ?」

いくつって、年のことだよね?

「18歳です」
「なんと。みかけは子供だが王女より2つも年上だったか」

へぇ、王女様って2つ下なんだ。
この世界の人達は、女性も男性も背が高いし、顔の彫りも深いから、私なんかは本当に子供に見えるみたい。

「王女様を助け、戦争もとめます」
「なんと、これは面白いことを言う巫女だな、その自信は一体どこからくるものか」
「ツキ、何を言っている?」
「そのかわり、言った通りのことが出来たら、その人を探して下さい」

「ははは、わかった。ならば、スラオシャを連れていけ」
「えっ、いや、でもぉ」

スラオシャはいらないです。
この人は本当に信用出来ません。

「さすがに巫女一人を使いに出すわけにはいかぬからな」



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