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第3章 聖なる巫女の最後の願い
バルフの王様、初見です
しおりを挟む私はバルフの王様に会うため、スラオシャの後をついていく。
スラオシャが歩く度に黒い外套の裾がヒラっ、ヒラっ、と風に舞う。
裾に入った金色の刺繍は植物と鳥みたいだ。
何となく目を離せなくなって、それを目で追いながら歩いていたら、スラオシャが急に立ち止まって、危うくぶつかりそうになった。
天井から、舞台の幕みたいなものが垂れ下がっている。
その薄い織物にはやっぱり植物と鳥と星?が描かれていた。
仁王立ちしている屈強そうな近衛兵2人がその幕の左右に直立している。
白を貴重とした服に、白い羽根つきのターバン。手にはキラキラとした槍と盾を持っていて、なんだか華やかだ。
王様を守るというよりは飾りの置物みたい。
その兵士達が幕を左右に開いた。
幕の下を抜けると白い石の床に敷かれた絨毯の鮮やかな色彩が目に飛び込んできた。
等間隔に並んでいる近衛兵達の間を通っていくと、また幕が垂れ下がっていた。
今度はスラオシャが止まってもぶつからない。
ちゃんと前を見ていたからね。
そして左右に幕が開いた。
深い緑色の絨毯が玉座まで続いている。
玉座は階段上になった壇上にあって、王様らしきおじさんが座っていた。
スラオシャがそこで一礼したから、私も真似してお辞儀をする。
20歩くらい歩いた所で、スラオシャが止まり屈んだ。
片膝を付き、頭を下げている。
私も同じようにするべき?
迷っている間に、なんとなくタイミングを失って、結局そのまま立っている。
王様の顔をじっと見るのも失礼な気がして、その隣に立っている人をなんとなく見る。
えっ、めっちゃ、美少年じゃん。
ダッフィーみたいな髪の色に白い顔、青紫っぽい大きな瞳はウルウルしている。
全体的に淡い色素で出来ていて、まるで外国のお人形みたい。
「スラオシャ、何があった」
国王が口を開いた。
国王様は、短い口ひげのあるまだ若い感じのおじさんで、年の頃はうちのお父さんと同じくらいかな。
「国王陛下、申し上げます」
国王が片手をかざすと、スラオシャが立ち上がった。
良かった、このまま一人で立っているのは目立って嫌だなって、思っていたところ。
「ダリアン王女が巫女を騙った虚言とリュトンをイルファン国から窃盗したという罪で、アリアナ国王により投獄されました。リュトンを返還しなければ、王女と侍女を処刑すると。その期日は次の満月の夜、すなわ明日の夜となります」
「虚言と窃盗とは、どういうことだ?」
作業用BGM ONEUS―Come Back Home
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