文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

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第3章 聖なる巫女の最後の願い

私は都合の良いモブですか?

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あっ、
ていうか。

私がこの世界でなんで役に立つとか
立たないとか、
そういう使命感じみたこと
心配しなきゃならないんだ?

私はまず、私自身のことを
考えなくちゃいけなくない?

そうじゃない?

王女様?
会ったこともない知らない人だし。
なんの義理もないわけ。

スラオシャはどうやら私の持っているランプが本物だと思っているらしいけど……。
巫女だった王女様なら、魔神を呼び出せるかも、とか考えてるんだよな、きっと。

本当はランプだけが必要で、でも何故か私のもとに戻ってきちゃうから、しょうがないから私も連れてくか、っていう程度のこと。

それに何かあれば、

絶対、私より王女様のこと守るよね。

「失礼致します。お湯をお持ち致しました」
「?」
「よろしければ手足をお拭き致します」
「!」
「お召し替えのご用意がございます」
「!!」

メイドさんが次々と入ってきて、いろいろと置いていく。
そして、私の服を脱がそうとしたから、あわてて丁重にお断りをした。

「自分でやります」

私はメイドさん達に出て貰って、身体を拭き髪を洗った。
凄くさっぱり。
白いサラサラした生地の服は、アイシャさんから貰った服よりもずっとお高そう。

ゆったりとした袖のあるシャツは、合わせの襟になっていて、紐で結ぶ。
同じ生地のズボンを履いて、上から袖のない薄い生地のグリーンのベストを羽織る。
ベストは膝まで長くて、金や銀の飾りと刺繍がいっぱい。
かわいい、動きやすいし気に入った。

「失礼致します、薬膳のスープをご用意致しました」

メイドさんがお食事の盆を置いてくれた。
フワフワと湯気の立つスープ。
いい匂いがする。

「美味しそう」

でも、ちょっと待って。
私は同じ過ちをしたくないです。

「ちょっとすみません。これ食べていただけませんか?」

そこへ、衣装チェンジしたスラオシャが入ってきた。
なかなか凛々しくて格好いい。
正装かな?
黒い上下に黒い革の胸当てと太いベルト、頭には黒い布を巻いていて、その先は背中に垂れている。
飾り紐のついた剣を手に持っていたけど、私の前に座るとそれを脇に置いた。

「毒味か、俺がしよう」

スラオシャが自らお椀を持って、スープを匙ですくう。

「食べても、大丈夫だ」
「では、いただきます」

何だっけこの粒々したやつ、お母さんがたまにご飯に混ぜてる。
あ、ハト麦か。

「美味しい」

空腹は最高の調味料とはいうけど、そもそもこれは美味しい。
トロリとしたスープはあっさりとした塩味。
薬膳ていうから、味は期待して無かったけど。
そこそこ食べた、というところでスラオシャが立ち上がった。

「拝謁の準備が整った」




作業用BGM MAX―Chocolate
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