文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

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第3章 聖なる巫女の最後の願い

侍女①の私が王女を救う?

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あ、なるほど。
お城の中も街になっているんだね。
城下町、というのかな。

バルフのお城の門を、スラオシャは顔パスでくぐる。一緒に馬に乗っている私も当然そのまんま、何のあらためもない。
さすが、王女付きの従者なだけあるね。

広場には色んな露天が並んでるし人の通りも多くて賑やかだ。
あちこちから、いい匂いがしてくる。
お腹がすいた。
お腹が空っぽだから、なんでも良いから食べたいと無限の食欲が騒ぐけど、眠り茸をのまされた後だから、急に食べるのは駄目なんだと。
胃に負担がかかるらしい。
何度も「お腹がすいたよ、ひもじいよぉ」
と訴える私に、スラオシャはそう言って、頑なに鬼のように、何も食べさせてくれなかった。

お城で、特製がゆでも食べさせてくれるんですかね。

ひもじさを我慢して馬を下りると、今度は長い回廊を延々と歩かされた。

「ここで、少し休んで」
「うっわっ!」

通されたのは、超豪華なスイートルーム、みたいに広いお部屋だった。
そして、お部屋にメイドさんがいるのよ、それも2人!
なんだか、お姫様になった気分。

あっ、いかん。
今までが今までだっただけに、これは疑わなきゃいけないパターンのやつじゃん。

「言っとくけど、私、あなたのことは、ひとつも信用してませんからね!」

今更、こんな厚待遇されたってね。
一応、釘をさしておこう。

「それは仕方がないと思う」
「ですよね」
「ここに連れて来たのも、王女様のため。あんたを利用するためだから」 
「ちょっと、それ、はっきり言い過ぎ」
「けど、ユージンとかいうやつ」

名前も口にしたくないほど嫌いなのか?
ちょっと、言いにくそうだ。

「そいつに会いたければ、協力してもらうしかない」
「お互いの利害のためにね」
「そういうこと」
「ああ、疲れた」
「すまないが、あまりゆっくりしている時間はない。国王様に全てお話しし、また、すぐイルファンに戻らなくちゃならない」

大きな天涯付きのベッドに横になろうとした私をスラオシャが牽制する。

「わかった」

そう、これがシミズの脚本通りなら、次に起こることは王女の処刑。
それを王子が救い、悪い国王をやっつけ魔神も戻って、めでたし!終わり!ジエンド!

な、訳だけど。

私の立ち位置が、よくわからない。
私は侍女その①で、ただの名もない役で、台詞と言えば「出でよ……」なんとかで(やっぱり思い出せないな)で、本当に魔神を呼び出すわけじゃない。

何故なら、魔神を呼び出せるのは選ばれし巫女だけ。


つまり王女様だけ、っていう設定。


だから、私は役に立たないかもしれない。

王女様を救うのは
昔から王子様って決まってる。



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