文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

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第3章 聖なる巫女の最後の願い

人間不信、もう誰も信じません!

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「スラオシャ?」

シミズが頷く。
長い名前、1回じゃ覚えられない自信ある。

「お前名前は?」
「ツキ。名前を聞くってことは、少なくとも今度はちゃんとした人として扱って頂けるってことかしら?」

スラオシャがまた黙って、私の顔をじっと見てくる。

「リュトンの巫女として、バルフの国王に会ってもらいたい」
「……ハハ。ちょっと突然ナニ言ってんのかわかんない」

巫女とか、リュトントとか、もうたくさん。
私はラシトに行ってユージンに会いたいだけ。
どいつもこいつも自分勝手すぎんだよ。

もう、騙されないから。

「あー、胃が痛いわー。まじであのくそババァに、なんか変なもの飲まされたよね」
「クソババァ?」
「そいつに全部取られたの。お金もアクセサリーも全部。ご飯食べさせてもらって、そしたら急に強烈な、もう逆らえないようなやつよ、そういう眠気に襲われて、気づいたらここに捨てられてたの。あちこち痛いし、吐き気も凄くて、胃液まで出してさ。ホントまじっすか?って感じ。もう死んじゃうんだ、と思って色々懺悔してたら……怖くなって」

私はそこで気付いた。
人の本能ってやつを。

「やっぱり死にたくないって思ったんだ……」
「眠り茸だ」
「え?ネムリダケ?」
「強烈な眠気だよ。キノコの一種で、意識を飛ばす。水をかけられても殴られても起きない。量が多いと死ぬこともあって、胃をやられるから暫くは何も食べられない。ただ相当苦いから普通は気付くはずだ」
「ああ、あの罰ゲームみたいなお茶か。真正ヤバイやつじゃん。残したら悪いと思って全部飲んじゃったんだよね」
「よく飲めたな。この村まではどうやって来た?」
「ああ、あなたに置き去りにされてから?たまたま羊飼いのお爺ちゃんが通りかかって、連れてきてもらったの」
「そうか、良かった」
「良かないでしょ、全然。私の話、聞いてなかった?また、最初から話そうか?」
「悪い、本当に急いでいてすぐに城に戻らなきゃならなかったんだ」
「それで、なんでこれを持っていったわけ?」

私はランプを撫でる。

「時間稼ぎになると思った。この下の川を渡った時に馬から離れたみたいだ」

「正直に話しなさいよ、何の時間稼ぎ?」
「それは……」




作業用BGM  Heize―Round 
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