文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ

モフモフの神様に拾われました

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さて、どうやって火をつける?
マッチ!……ありません。
ライター!……ございませーん。
火打ち石!……ありそうですけど、見つけるのは大変そうです。

あっ。
発見しました。
アイシャさんがつけてくれた太い腕輪が太陽の光をキラキラキラキラっと反射してるんです。
虫眼鏡のレンズ効果だよね!
理科の実験で火をつけるのは誰よりも早かったんだ。
転がる枯れ草のボールをギュッと潰してそこに光を当ててみた。

ふふふっ、キタキタキターーーー!

「私って天才じゃね?」

自画自賛してハシャグのはボッチでテンション上がってるのと、日が暮れてやがてくる夜に怯える気持ちをごまかすため。

灰色の煙は空高く、とはいかなかった。
ある程度まで行くと風に流されて消えてしまう。あれ?なんでだろう。
燃やしている量が少ないのかな。
少し生木を入れた方が良い?
試しに色々やっているうちに、とうとう夜が来てしまった。

小屋の中にも火を持ってきて、暖をとることにした。
昨夜も馬で走っているとき寒かったのを覚えている。背中にシミズ(鬼畜)がいたから凌げた感じだった。
今日もきっと日が落ちた途端に気温が下がるだろう。アイシャさんの服は袖がないから寒い。
こうなると分かっていたら、衣装のままでいれば良かったな。袖とベストがある分暖かかっただろうし、お金まで取られることもなかった。


―――ユージンに会いたい。
今、どうしているだろう。
元気になって、同じ月を見てたらいいな。

四角くくり貫かれたガラスのない窓から青白い月が見えた。
濃紺の空に少し欠けた銀色の月。
長方形に切り取られて、まるで1枚の絵のように見える。

こんなふうに異世界でひとり月を見るって、なんて寂しいんだろう……。

家に帰りたいな。
お母さんとお父さんと弟がいる家に。

ご飯食べて、お風呂に入って、お風呂上がりにアイスを食べて、ベッドに入って足を伸ばして寝るの……。



―――――地響きがする。

いつのまにか寝ていたらしい。
地面から伝わる振動で目が覚めた。

「メーーー」
「メェーーー」×大量
「メーーーエエエ」大量×大音量

何かメーメー聞こえるけど何なの?
しかもだんだん近づいてくるんですけど!

私は飛び起きた。
何か黒い顔を持つモフモフした物に囲まれていた。1匹や2匹じゃない。
小屋いっぱいの大量の白いモフモフ達。

「ナニコレーーー!」


珍百景。





作業用BGM  DREAMCACHER―Lucky Strike
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