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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ
マジで?ウケるんだけど!!
しおりを挟む「この人でなし!根性悪!!地獄に堕ちやがれ!!!」
完全に負け犬の遠吠えである。しかし負け犬でも何でも吠えずにはいられないこの悔しさよ。
―――マジでちょっとウケるんだけど。
待って、この状況って何?
私、この沙漠のど真ん中に置き去りにされた?
マジで?
ちょっ、ヤバくないですか?
暑い……なんか太陽が近すぎん?
空を仰ぐと、白々とした太陽がすぐそこにあった。
もう、熱いの日差しが刺さるの。
どうすん?
車もない、電車もない、バスもないのに?
携帯ないからタクシーも呼べないじゃん。
歩いて行くなんて絶対に無理じゃん。
確かにもう馬には一生乗りたくない、とは言いましたよ?言いましたね、確かに。
ごめんなさい、謝ります。心から反省してます。
だから神様、お願いです。
本気でお願いします。
助けて下さい。
―――にしてもだよ、あいつちょっとキレすぎじゃない?
ただのヤバ人じゃん。
そんなに怒る?
何がそんなに気に障った?
あそこまで怒る要素なくない?
それと、武器と刃物どんだけ持ち歩いてんの?
はっ。
そこで、私は重大なことに気付いた。
「私の全財産……」
巾着の中、ベストのポケットに入ったままだ。
つまり、シミズ(悪魔)にお金まで持ってかれたってことですよ!
私は小屋に戻って座った。
膝を抱え目を閉じた。
正直、何も思いつかない。
幸いなことに、時間だけは充分にありそうだった。多分。ゆっくり考えよう。
目を開けてぼんやりと焚き火の跡を眺めた。
「あー、お腹すいた」
声に出して言ったのは、寂しさをまぎらわせるためだったかも。
ニマのお母さんが焼いてくれた鶏は、凄く美味しかったな。また食べたいな。
「ちょっと、待って」
焚き火……?……閃いたかも。
そうよ、遭難したときはどうする?
無人島で遭難したら、みんな火をおこして、ノロシをあげてなかった?
大昔、ノロシを順番にあげて連絡してたとか、世界史の先生が言ってたような?
ここでずっと待っていても誰かが通りかかるとは限らない。水はあるから、1週間くらいは生きていられるけど、何もしないよりは、発見される可能性があった方が良いはずだ。
ただ待っているだけは嫌。
外に出て、小屋の付近を見回してみる。
背の低い枯れた(ような)木が何本か立っていた。みんなあれを使っているに違いない。
試しに枝を折ってみたら、枝は何の抵抗もせず乾いた音を立てただけでポキっと折れた。
私は大量に枝を集め、小屋から少し離れた所に置いた。
出来るだけ大きな火にしなければいけない。
なんなら木ごと燃やせばいいか、とも思ったけど、一帯が火事になったら怖いもんね。
暑い、いや熱いっ。でも、乾燥しているからか汗をかかない。
枝や枯れ葉をたくさん集めたところで、さて、と考えた。
どうやって火をつけようか?
作業用BGM EVERGLOW―No Lie
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