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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ
初めてなんです、これに跨がるのは
しおりを挟む「ユージン危ない!」
兵士の1人がユージンへ剣を振り上げ向かってきた。
ユージンは素早く兵士の脇へ抜け、背後へ移動するとそのひざ裏を蹴った。
兵士が前傾で倒れこんだ所、首根っこを掴み勢いつけて後方の兵士へ投げ飛ばした。
遠心力の効いた兵士は勢い良く宙を飛び、2人の兵士をなぎ倒しその上に落ちた。
「つかまれ」
馬に飛び乗ってきたユージンに言われたけど、どこに??
馬は開け放たれたままの門から飛び出した。
そこで一旦急ブレーキがかかる。
行く手に、昨日のゴリラ兵と数人の兵士の姿が見えた。
「昨日のゴリラ……」
確実にそのゴリラ兵と目が合ってしまいました。もう嘘や言い逃れは通用しないだろうなぁ。
「どうやら、手配がついたみたいだ」
「えっ、それって。お尋ね者ってこと?!」
「まぁ、そんなとこ」
ユージンは馬の方向を変え、ゴリラ兵とは逆方向に馬を走らせた。
私はお尻が浮く度に落ちるんじゃないかと怖くて、馬のたてがみを必死に掴んでいた。
背後から馬の蹄の音が聞こえてくる、もちろん後ろを見る余裕なんてない。
近いのか遠いのか、どのくらいの追手がいるのかもわからない。
後ろどころか前だって、まともに見られないんだから。
人が自然に左右に別れていく、そうよ危ないから皆退いてぇ!!
私達は入ってきた門とはまた違う場所から街を出ていた。
ここまでは本当にあっという間だった。
馬は道を逸れ麦畑へ突っ込んで行く。
ビュン
えっ?!
今なんかちょっと先に何か飛んでかなかった?
ビュン!
ほら、また!!
偶然に視界に入ったの、あれ矢じゃない?
ビュン、ビュン、ビュン!
大量の矢が降ってくるぅー!!
チっ、とユージンの舌打ちが聞こえたような気がした。
「あそこまで、頑張れ」
前方に木々の生い茂る暗い森が見えた。
「頭を下げろっ!」
ぐっとユージンが私の頭を押さえた。
ブンっ!
今度は木の枝に打たれそうになった。
障害物が多いからか、矢は飛んで来ていない。
けれど、蹄の音は変わらず聞こえる。
景色がぼんやりとした緑色の線になって次から次へと流れていく。
背中からユージンの鼓動が頭の上で息遣いが聞こえる。
手に力が入らなくなってきた。
もう駄目だ、落ちちゃう!
危うく手が離れそうになった瞬間、ユージンの手が私の腕を掴んだ。
「悪い、もう少し頑張れ」
作業用BGM BLACKPINK―Kill This Love
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