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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ
私は聖なる巫女ですっ!!
しおりを挟むえっ、私、首切られるの?!
嘘でしょっ!!
首なくなったら、死んじゃうよ?
つまり、死ぬの?私、ここで。
でも、まって、ここで死んだら目が覚めるの?
もし、そうなら―――――いつ?どこで?いつのまにか寝ちゃった?のかわからないけど、せめて暖かいお布団の中であって欲しいな……
「おいっ、殺されたいか!」
いやっ、待って下さい。
ちょっと今考えてます。
考えろ、考えろ、これが私の夢なら考えろ……私は手に持っていたランプを見て思い付いた。
そうだ、ワンチャン、私の夢なんだから私の思い通りに行くはずじゃない?
「お待ちなさい、私を誰だと思っている?」
意外な返答だったことだろう。
想像どうり、兵士達が一斉に私を見た。
よし、良い感じ。
私は胸を張って出来るだけ堂々と次の台詞を続けた。
「私は聖なる巫女です!その私に向かって刃を向けるとは、何たる無礼!!」
きょとん、ゴリラ兵が不思議そうに私を見ている。
「なんだ、巫女だと?」
「恐れるが良いぞ、このランプから魔神を呼び出し、お前らなど空の彼方に消し去ってやるぞ!!」
ふーっ、言ってやったぞ。
シミズの脚本にはまったくない台詞、アドリブってやつを。
「ほぉー、ならやってみろ」
ゴリラ兵が刃を鞘にしまい仁王立ちになった。
ええ、やってみろってか?
「恐れを知らぬ者たちよ、後悔しても遅いぞ!」
「いいから、さっさっと魔神とやらを出してくれ」
「ほっ、本当にいいんだな?」
「本当に巫女なのか?」
「まさか、はったりに決まってる」
「でも、見たこともない異国の服を着ているよ?」
そんな野次馬達の会話が耳に入ってきた。
そうだよなぁ、無理があるよなぁ。
ふと、押さえ込まれている少年と目が合った。
そうだ、あの子の命がかかっているんだ。
なんとか、上手くやらないと……
はいはい、とゴリラ兵は両腕を広げた。
まったく信じていない様子だ。
私はランプを高々と掲げた。
「ランプの魔神よ、我が願いを叶えよ!」
ごくり、私は生唾を飲み込んだ。
緊張でランプを持つ手が震えている。
お願い出て来て神様、仏様、魔神様!
「出でよ!火の魔神、アスリートぉぉぉぉ……!!」
時が止まった?
辺りは静寂に包まれている。
兵士も野次馬もピクリとも動かない。
「ぶっ、あはっはっはっはっ!」
一瞬置いて、ゴリラ兵の豪快な笑い声が頭の上から降ってきた。周りの兵士たちも野次馬も、ゲラゲラと笑っている。
少年の顔が絶望へと変わっていくのが見えた。
詰んだよ……私の人生。
「さぁ、茶番は終わりだ」
ゴリラ兵が再び腰の物に手を当てた。
作業用BGM Golden Child―Genie
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